住まいのゲーテくん

神奈川の郊外・座間に建つ「ホシノタニ団地」が人気のワケ

ホシノタニ団地

「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2015」でグランプリに選ばれた「ホシノタニ団地」は、オープンから数カ月で9割の部屋に入居申し込みがあり、現在は満室。新宿から45分、池袋からは55分という神奈川の郊外に位置し、さらに最寄りの小田急線座間駅は各駅停車のみ。にも関わらず多くの人の注目を集め「住みたい!」と思わせる、その人気の秘密は何なのでしょう…?オウチーノ総研・池田が事業主である小田急電鉄 生活創造事業本部 開発推進部 向井隆昭さんを直撃しました!

向井隆昭さん

プロフィール

小田急電鉄株式会社 生活創造事業本部 開発推進部 向井隆昭さん
開発推進担当として、小田急沿線の各駅を中心とした地域に新たな商業施設やサービス施設を企画・開発し、「快適でゆたかなくらしと時間」を提供している。
向井さん

3号棟・4号棟

――「ホシノタニ団地」の誕生秘話を教えてください。

「ホシノタニ団地」はもともと小田急電鉄の社宅でしたが、2013年頃、築約50年を迎え建物の老朽化が進み、社宅機能を閉鎖することになりました。次の利用方法として、建替えや駐車場・商業施設が検討されました。しかし、駐車場では収益はあるけれど街の魅力を損ないかねない、商業施設はすでに駅前に存在する…駅前徒歩1分、4棟の昔ながらの団地で棟と棟の間隔も広い、「何かうまい方法で活用できないか!?」とリノベーション第一人者であるブルースタジオさんに相談し、団地の形を生かしてリノベーションすることになりました。

――たしかに、1から建替えたらこの雰囲気はなかなか出ないですよね。

今までは、賃貸住宅では特にエリアニーズで売っていることが多く、例えば当社ですと世田谷にいくつか物件を持っていますが「世田谷ブランド」の住宅はエリアニーズで呼び込めました。しかし座間駅ではそうはいかない。エリアニーズだけでは人を呼べない、ということで、コンセプトニーズを狙う方向にシフトしました。

――コンセプトとは?

「ホシノタニ団地」のコンセプトは「開かれた駅前団地」。今までの社宅という閉鎖された空間を地域に開放し、オープンな空間を作りました。人と人をつなぐ、人と街をつなぐ団地を目指しています。団地の真ん中には広場があり、そのまわりにはカフェやドッグラン、地域の人も使えるサポート付き貸農園や子育て支援施設があります。人が自然と集まる場所にしたいと考え、単に建物をリノベーションするだけでなく、団地全体の空間をリノベーションし、「住みたい!」と惹かれる雰囲気を目指しました。
星と星がつながり星座になるように、人と人が、人と街がつながる団地。1号棟から4号棟まで、それぞれの壁面には春夏秋冬それぞれの星座が描かれています。

▼3号棟1階にある農家cafe

農家cafe

――それぞれのお部屋について教えてください。

部屋は2~5階が37平米の1R、1階はそこにテラスと庭が付いています。1カ月の家賃が2~5階は70,000~72,000円、1階の庭付きが95,000円で各居室の共益費が5,000円です。

▼1階                        ▼2~5階

間取り絵1階間取り絵2-5階

――37平米1Rってかなり広いですよね、憧れます。

もともとの社宅は2DKでしたが、そのままの間取りだと扉や仕切りが多く狭く感じてしまうし、コミュニケーションに狭間ができてしまいます。「人と人がつながる」、開放的な空間にするため仕切りを取り払い1Rにしました。カーテンなどで仕切ることで1LDKのように使うこともできます。
内装で1番こだわったのはフローリングです。今回リノベーションをお願いしたブルースタジオさんはどの物件でも体がじかに触れる床を重要視されていて、今回もナラの無垢材を使ったフローリングで統一しています。あとは本当にシンプルに仕上げていて、天井も張っていないので配管は剥き出し。キッチンの下の部分にも何も入れていないので、入居者がカーテンや棚などで自由にカスタマイズできます。あまり作り込まずスタイリッシュに仕上げました。

モデルルームモデルルーム

――どのような方が入居されていますか?

当初、ターゲットは子育て世帯の2人入居もしくは2人+小さな子どもを想定していました。仕切りをなくして1Rにしたのも、子どもやご夫婦がコミュニケーションを取りやすいようにと考えられた部分もあります。結果的に2人入居が1/3、2/3は1人入居でした。1人入居の方の男女比は1:1くらいです。やはり37平米1Rにファミリーで住むとなると少し手狭感があるようで、1人で有意義に使いたいという方が多く入居されています。37平米の部屋に70,000円で住めるって、都心の人からすると衝撃的ですよね。

ドッグラン――そうですよね…都心だったら事故物件かと疑いますね。

年齢層は8割が20代後半~30代前半、団地全体の平均年齢は約33歳と、このあたりは狙い通りの印象です。
賃貸住宅ですし、私の予想では座間市近辺から引っ越してこられる方が多いと予想していましたが、座間市近辺からは1/3、横浜や川崎などから来られた方が1/3、残り1/3は都内から引っ越された方です。沿線住民を増やすことは当社のひとつの目標でもあるので、小田急線を使っていなかった人が座間まで引っ越してきてくれるのはとても嬉しいことです。
また、ペット可というのも大きなポイントです。犬と猫が可で、現在は犬7匹、猫5匹が「ホシノタニ団地」で暮らしています。

――“ペット可物件、意外に少ない問題”はゲーテくんもなげいているところです。ところで、“庭付き”の方が人気なのですか?

それが、金額的な部分で、「座間で家賃95,000円」はやはり少し高く感じられるようで、2~5階の部屋から埋まっていきました。当初、エレベーターもないので4、5階の部屋は多少懸念していました。エレベーターがあるなら眺望の良い上階の人気もうなずけますが、毎日5階まで階段を上るだろうか…?実際、ターゲットが若いこともあり5階分の階段をマイナスポイントと考える人は少なく、最初に入居が決定した部屋は5階でした。

ウッドデッキ

――子育て支援施設について教えてください!

もともと座間市には子育て支援センターが2つありますが、1つは駅から距離があり、もう1つはマンションの1室で手狭な状況だったので、座間市は座間駅周辺エリアで場所を探されていました。子育て支援施設は保育園や託児所ではありません。小さな子どもが遊んでいられるようなキッズルームがあり、親は職員さんに子育て相談ができます。親同士の情報交換、出会いの場所としても機能しています。地域の親同士のつながりが広がっていき、「ホシノタニ団地」のコンセプトとも合致しています。

子育て支援施設ざまりんのおうち

――農園は入居者以外も借りることができるんですよね!

そうですね。「開かれた駅前団地」として、入居者以外の方にもご利用いただいています。貸農園は特に作って良かったと思っています。外部の人と団地のつながりもできましたし、貸農園の運営はアグリメディアさんに任せていますが、指導員の方が丁寧に管理してくださっているので、美しい緑が広がり景観がとても良いです。

貸農園

――最後に、「ホシノタニ団地」の人気の秘密、ずばり何だと思いますか?

世界観だと思います。入居者の方々と話す機会がありましたが、「駅から降りてこの敷地に踏み入れたとき、この空間に圧倒された」という声が多く挙がりました。この雰囲気に「ピン!」ときて、入居を決めた方が多かったようです。
団地は棟と棟の感覚が絶妙で、1階の部屋でも日当たりは抜群です。晴れた日の「ホシノタニ団地」は特に最高ですよ!
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2015」では、単なる建物のリノベーションではない、「敷地全体の概念の創造や、従来の枠を1歩超えた空間のリノベーション」というところが、空き家問題が深刻化していくなかでの先進的な再生事例になったと評価していただきました。

――実際に訪れてみると、写真で見ているだけでは分からなかった、団地全体のまとまりを感じることができました。「圧倒される」、本当にその通りで、なんというかテーマパークへ入場するときと似たドキドキがありました。

「ホシノタニ団地」では「ホシノタニマーケット」というイベントも開催しています。地域の人とさらにつながりを深めることができるイベントです。

ホシノタニマーケット

――参加します!

取材先
ホシノタニ団地:ホームページ
        Facebook

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