この先あなたの家が大暴落?経済成長が戻らなければ労働人口減が地価を下げる

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経済成長が戻らなければ労働人口減が地価を下げる

物件価格は高騰気味。ゼロ金利、税制優遇など不動産取引の環境は好況な状況にもみえます。
とはいえ、買った家を将来は売る、あるいは、相続の際に手放す可能性のある人にとって、10年後20年後はどのようになるのかが気になるところ。

不動産地価は今後がどうなるか?
過去の地価の変動を振り返りながら、なぜそうなって、何が問題で、どうすればよいか?
東京大学大学院経済学研究科教授(当時・現政策研究大学院大学教授)の西村淸彦先生の講演「人口高齢化と地域経済の今後」から探ってみました。
参考資料(PDF):http://www.jfm.go.jp/support/pdf/forum/symposium_3_resume1.pdf

東京オリンピック景気やゼロ金利など、家を買うのに良いタイミングとも言われています。
加えて、都心なら将来不景気になっても住宅地価は下がらないから安心という人も。ですが、住宅の購入が、将来の「資産の購入」とシンプルに考えるは危険かと思われます。

というのも、『2040年、住宅地価は50%以上下落する自治体が出てくる』とうい調査データがあるからです。ここにある、過去からのデータをみながら、解説していきます。

◆日本の地価(住宅価格)、個人への貸出額、逆依存人効率推移
このグラフは、実質地価、金融の実質貸出、逆依存人口比率の3つの推移を示しています。
逆依存人口比率というのは、簡単にいうと『1人のお年寄りや未就学児など非労働人口を、何人の労働人口が支えているか?』ということを比率で表したものです。

実質地価、金融の実質貸出、逆依存人口比率

グラフの中の黒い線の二つのこぶ(山)。これは労働人口が多かった時代です。
1990年前後の2つ目のこぶ(山)は団塊ジュニアの世代に当たります。

ここで注目なのは、ピンク線の実質地価とグリーン線の実質貸出が、黒線の上昇と合わさるように上昇しているところ。この、1980年中ごろ~1990年前半は、日本がバブル景気と言われてた時期です。

この時期に何が起こったか。
一つは、このグラフにあるように、1991年に日本の働き盛り人口がピークになった事です。

加えて大事なのは、その10年前の1981年に金融が自由化されたことです。この時期には、いわゆる財テクと言葉も生まれました。

つまり、働き盛りがたくさんいて、金融革新が起こって銀行からの融資も出やすくなって、消費者の住宅資産購買意欲が大きく高まったわけです。お金もたくさん手に入る時代だから、高額なものを購入し、不動産バブルが生まれた。

住宅価格は、住宅が欲しい人が増加したから上がるということ以上に、もっと根っこには、人々が無意識に持っている、いわば「超長期的な期待」が高まったから急激に上昇したとも言えます。
その「超長期的な期待」とは何だったのでしょうか。

それは、人口は減らない、不動産価値は上がり続けるという期待感。
しかも色々な資産の中でも、不動産(土地)は確かに今その場に存在していて、そして将来も無くならないという意味でわかり易い資産であることも影響しています。

もう一つ前のこぶ(山)、1965年~1970年も、労働人口が増えていますが、銀行からの融資は一般の人には広がっておらず、バブルが起こらなかった。ですので、労働人口増加から生じた将来への強い期待と金融の自由化から生じた金融機関の融資競争があってこそバブルが起こった、購買意欲が向上したということがわかります。

ピーク以後は、3つの項目全てが下がり、バブルが崩壊します。
逆依存人口比率(黒線)が1995年くらいから下降し、それに合わさるように実質地価(ピンク線)、実質貸出(グリーン線)も下がっている。人口が減少したので、経済成長が続かなくなり、消費行動や銀行からの投資融資なども縮小していった。

これら変化を見ていくと、人口の変化が不動産という資産価格に直接影響を及ぼすということがわかります。

経済成長が回復しなければ、労働人口減少と非常に劇的な高齢化で地価が下がる

そして今後、重要なのは『人口が減少』するということです。
少子高齢化ではなく、ここで示しているのは、『労働人口が減り高齢化している=経済が回らなくなっている』という、人口構成の変化です。

グラフだと2000年くらいから徐々に逆依存人口比率は下降を初めて2017年以降も減少し続けていることが予測されています。

◆人口のインパクト推移

人口のインパクト推移 *Note:IP55 projeciton is based on natural increases/decreases calculation from the survival probability and the number of births by cohort and social increases/decreases due to movement between regions.
*国立社会保障・人口問題研究所中位推計

こちらは総人口と老齢依存人口比率という、働く人に対するお年寄りの比率を表したグラフ。
総人口は減少してきている一方で老齢依存人口比率は上昇、2040年の日本の人口構成はどんな姿なんでしょうか。あと20年ちょっとの話だから、そう遠くない未来です。

これらのグラフで、お年寄りが増えると地価も銀行の貸出額も下がることが予測できます。
では次に、実際どのような変化があるのか、首都圏と日本全国とで見てみます。

・今後の住宅将来価格はこうなる(かも)【首都圏の老齢依存人口比率でみてみた】

首都圏の老齢依存人口比率 *Source:Authors’ calcutaion. The map is provided by Ministry of Land,Infrastructure,Transport and Tourism,”National Land Numerical Information:Administrative Zones Data.”

これは1970年から2040年まで、東京、埼玉、千葉、神奈川の一都三県の地図で老齢人口依存比率をアニメーションで表現したものです。

色が濃くなるに従って、老齢人口の比率が高いのですが、1970年は全体的に薄いピンク色になっています。若者と高齢者の比率は大体10:1でした。これが年代を追うごとに少しずつ色が濃くなってきています。
70年間で起こるのは、非常に劇的な老齢人口の増加です。

・今後の住宅将来価格はこうなる(かも)【1都3県の住宅地価を見てみた】

今後の住宅将来価格 *Source:Authors’ calcutaion. The map is provided by Ministry of Land,Infrastructure,Transport and Tourism,”National Land Numerical Information:Administrative Zones Data.”

これは、経済成長がないとして、2015年の一都三県の住宅地価を表した図。
右下の水色が1(2010年)を表していて、2015年の時点でもうすでにどこも水色を下回って赤くなってきています。

2015年は、2010年を基準とした場合にもうすでに地価は下がってきているという事です。
2030年は真っ赤です。
つまり、『2040年、住宅地価は50%以上下落する自治体が出てくる』ことが手に取るように分かリます。

では日本全国の場合はどうかを見てみます。

・今後の住宅将来価格はこうなる(かも)【日本全国の住宅地価を見てみた】

日本全国の住宅地価 *Source:Authors’ calcutaion. The map is provided by Ministry of Land,Infrastructure,Transport and Tourism,”National Land Numerical Information:Administrative Zones Data.”

この地図は、1970年から始まりますが、この時点ではどこも薄いピンク色になっています。まだまだ住宅地価は下がり始め、これが年を追うごとに少しずつ赤くなり、やはり2030年代以降では真っ赤なところが多くなっています。
福島県は地震の影響があるため外しています。

人口構成をどうにかしないと、どうにもならない

労働人口が多かった時代は給料も多く、銀行融資も高額にできたため、不動産のような高い商品でも今より買いやすかった。

しかし今は、労働人口が減り、お年寄りも増えて、経済活動が停滞してきたから、買えなない人が増え、それに伴って住宅地価も下降してきています。

今まで見てきたことは、過去のデータを調査して出た結果なので必ずそうなる、とは断定はできないのも事実ですが、不動産を購入したり投資したりするときは、その時の良い面だけに踊らされるんじゃなくて、しっかり将来のことも見据えた上で判断することが大切かと思います。

人口構成を変えるという問題は、大きいテーマのため、その分行政や地方自治体など大きな括りでの取り組みが重要になってきます。
共働きでも子育てできる、待機児童問題など子育て環境の改善や子育てのための色々な補助や支援など、女性や若い夫婦世帯などが、出産、子育てをしやすい社会にしていくことが今後大切になっていきます。もちろんお年寄りの方が住みやすい社会であることも大切です。

ライター/オウチーノ 編集部
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