暮らしのゲーテくん

非正規雇用の拡大は、日本を幸せにしたのか

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住宅ローン制度についての考え方、住宅政策について、株式会社オウチーノ代表取締役社長兼CEO 井端純一はどう見ているのだろうか。

改正労働者派遣法施行こそ日本が希望を失った分岐点

住宅ローン制度について考えていたら、日本人はいつから幸せでなくなったのだろう、という疑問に行き着いた。

1950年代生まれの私は、高度成長期に育ち、大学を卒業した。子どもの頃は、つぎはぎのあるズボンをはいている友達も珍しくなかったが、幸いみなが平等に貧しかったから、貧しさなど感じなかった。

いや、むしろ幸せだった。「これからどんどん良くなる」と、世の中全体が将来への希望に満ちていたからだ。ところが、今の日本では「将来が不安だ」という人の方が圧倒的に多い。

希望が不安に転換したのは、いつか。私は、バブルが崩壊した1990年代初頭ではなく、改正労働者派遣法が施行された2004年が分岐点だったと思う。

派遣労働を規制緩和し、派遣社員の受け入れ期間を延長したこの改正は、当時「厳しい雇用失業情勢、働き方の多様化等に対応するため」などと謳っていたが、実際は、経営者の都合で雇ったりクビにしたりできる労働者を増やしただけだ。

派遣社員を含む非正規雇用者の数は2000年代に一気に増え、現在は2000万人を超える。それに伴い年収は下がり続け、今や年収400万円以下の人が全給与所得者の約60%を占める。年収200万円以下の人も1000万人を超えている。

私は、住宅を買える人には、ぜひ買ってほしいと思っている。だが、このような状況で、住宅を買える人がどれだけいるのだと、暗澹たる気持ちになる。

非正規雇用にメスを入れ住宅政策を見直すべき

日本の住宅ローンは、長期にわたり安定的な収入があること、つまり正規雇用と終身雇用を前提に出来上がっている。その前提条件が崩壊している今、一般庶民はどうやって住宅を買えばいいのか。

住宅ローンの前身である割賦支払方式は、一括支払いでは住宅購入が難しい庶民のために案出されたことを、国や経済界のリーダーは今こそ想起すべきだ。一方で、賃貸住宅のオーナーが、高齢者に部屋を貸したがらないという現実もある。万が一のことがあると厄介だと、年齢だけで決めつける。

こうした状況を若い人が見てどう思うか。年をとったら安心して住むところもなくなる、この先、年金も減るばかり……と不安だけが先立ち、前向きに生きる気力を失ってしまうだろう。

若い世帯が、生活の基盤である「安心して住める家」を確保できなければ、出生率はますます低下して子どもが減り、日本の未来に暗雲が立ち込める。

今こそ根源的な“雇用”を見直し、非正規雇用にメスを入れるときだ。同時に住宅政策も大転換し、誰もが平等に住宅ローンが組める仕組みと、幾つになっても賃貸住宅が借りられる社会を再構築すべきだ。米国には性別や雇用形態によって融資差別をすることを禁じる法律まである。住宅政策は経済成長のエンジンではなかったか。早急に正さなくては、この国に明るい未来はない。

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