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第二の人生を謳歌!路上園芸「転職鉢」コレクション

  • 2023年06月27日更新

こんにちは。まちかどのゲリラ的園芸活動をひそかに愛で見守る「路上園芸学会」会長の村田です。

ライター

路上園芸学会 会長 村田
街角で営まれる路上園芸に魅了され「路上園芸学会」名義でSNS等で細々と魅力を発信。植物への興味が尽きず園芸装飾技能士の資格も取得。人の手を離れオバケ化してしまった植物を見るとつい興奮。『街角図鑑』(三土たつお編著・実業之日本社)に路上園芸のコラムを寄稿。図画工作作家の木村りべか、写真家の中島由佳が結成した庭先系アートユニット「庭先PT」に新メンバーとして加入。
村田

街角で営まれる園芸活動・路上園芸。植物が植えられている鉢をよくよく見ると、既製品の鉢以外に、実に様々なものが植木鉢として利用されていることに気づきます。

植木鉢のバリエーションの豊かさは、路上園芸の魅力の一つ。なかでも見どころなのが、もともと別の目的で使用されていた容器が植木鉢として再利用される、いわゆる「転職鉢」です。

今回はそんな、路上園芸家たちの、アイデアに富んだ巧みな鉢使いをご紹介させていただきます。

転職鉢のメジャー選手・トロ箱

トロ箱

転職鉢のなかでもとりわけメジャーなのが、発泡スチロール製の箱、いわゆる「トロ箱」です。

トロ箱

「トロ箱」はもともと海産物を出荷する際に使われる容器。スーパーや魚屋などで容易に入手できるだけでなく、穴を開けるといった加工もしやすく、軽くて丈夫なことから、よく植木鉢として用いられているのを見かけます。

インターネットで「トロ箱」で検索すると、園芸資材としても売られているのも見かけることから、今や植木鉢としておなじみの容器になりつつあるようです。

トロ箱の周囲を簀で目隠ししているもの

そのままの状態だとどこか味気ないためか、トロ箱の周囲を簀で目隠ししているものも見かけました。一工夫が風流です。

アロエの生命力に飲まれたトロ箱

一方で植物の勢いがいいと、トロ箱が食い破られることも……。万能そうに見えるトロ箱も、さすがにアロエの生命力に飲まれています。

台所から路上へ。第二の人生は、食べ物じゃなく植物とともに。

お釜の鉢

カップ麺の空き容器やお鍋など、台所からの転職も、よく見受けられます。

もともと容器類が多い台所周り。プラスチックの鉢だと味気がない、かといって植木鉢を購入するのもお金がかかるし、家まで持ち帰るのも一苦労だ、なんて時。

台所にある様々な容器は、お金をかけることなくオリジナルの植木鉢に早変わりします。

お鍋に植えられたアロエ

お鍋に植えられたアロエ。路上なのに、なぜだかお鍋に入っていると、美味しくいただけそうな気がしてしまいます。

やかんから吹き出る多肉植物

やかんから吹き出る多肉植物。取っ手がついているので、ハンギングして垂れ下がる植物を植えるのにも最適です。

七輪の鉢

素焼きの鉢かと思いきや、なんと七輪!四方に広がる緑の葉っぱが、燃え盛る炎のようです。

コーヒーカップの鉢

コーヒーカップ。ソーサーまでついたこだわりっぷり!

升から顔を出すサボテン

升から顔を出すサボテン。お風呂に入っている目玉おやじのようにも見えます。

紹興酒の甕(かめ)が鉢カバーとして活躍

中華料理屋さんの前にて、紹興酒の甕(かめ)が鉢カバーとして活躍していました。

サイズ感が気になるところ。植木鉢が底に落ちてしまったらどうするのか、などと余計な心配をしてしまいます。

紹興酒の甕(かめ)が鉢カバーとして活躍中

こちらはなんと業務用の冷蔵庫。路上に持ってくるのも一苦労だったことでしょう。大ぶりの器で、スペースを贅沢に使った大規模な路上園芸が営まれていました。

路上にて装い新たに再出発図

ポリバケツが大胆にカットされたオリジナルの鉢

もともと路上で別の用途で使われていたものが、植木鉢として再利用されるケースもあります。こちらはポリバケツが大胆にカットされたオリジナルの鉢。たっぷりとミントが植えられていました。

切り口から顔を覗かせるさまが、かぐや姫を彷彿とさせます。

手洗い場の台が鉢に大変身

手洗い場の台も、路上園芸家の手にかかれば、植木鉢に大変身。

昔ながらの防火用水槽

昔ながらの防火用水槽。下町の路地などで、植物が植えられて植木鉢として転用されているのをたまに見かけます。

オイルの空き缶の鉢

お次は車周りの廃品。こちらはガソリンスタンドにて、オイルの空き缶が植木鉢として活用されていました。「エネルギー」の文字がキラリ。

タイヤの鉢

使わなくなったタイヤも、丸い窪みがちょうど良いのか、植木鉢や鉢カバーとして使用される例を見かけました。こちらはなんとタイヤのホイールが鉢カバーに。

タイヤの鉢

そしてタイヤの本体が植木鉢になったケース。半分にカットされ、中に植物が植わっています。

タイヤの鉢

こちらはなんと、タイヤに入ったわずかな土から植物が生えています。意図したかせざるかは謎ですが、なんとも斬新な植木鉢です。

そこに、わずかな“くぼみ”さえあれば……

以上、路上園芸の「転職鉢」をご覧いただきました。

そこにくぼみさえあれば、あらゆるものが植木鉢になるんだという可能性と、あらゆるものを植木鉢にするんだという路上園芸家たちのあくなき挑戦心。

そして、そこにわずかな土さえあれば、あらゆるものから生えてやるという植物のしぶとき生命力。路上園芸の器から、ますます目が離せません。

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