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専門家に聞く、新築住宅は”買い時”なのか!?2017年の不動産市況を占う

2017年の不動産市況

2016年の新築住宅市場も、前年に続いて都市部を中心に価格高騰が顕著に見られた。他方で住宅ローン金利は、フラット35の一般的なタイプでも年率が一時1%を切るなど、購入環境自体は整っている。この流れの中で迎える2017年はどんな年になるのか、識者3人の意見を聞いた。

2016年の新築住宅市場の振り返り

資材価格や人件費および地価の上昇を受けて、2016年も物件価格は高水準で推移した。ようやく頭打ち感が出てきたとはいえ、高止まりに変わりはない。その状況が一般消費者に敬遠されて成約率は低調で、様子見から物件供給数も抑えられる傾向に。さらに消費再増税が延期されて、駆け込み需要拡大への期待も空振りに終わった。

首都圏新築マンション成約率・供給戸数の推移

首都圏新築マンションの価格の推移

2017年はどうなる!? みんなの不安に専門家が答える。

PROFILE

みずほ証券上級研究員 石澤 卓志さん
慶応義塾大学卒業後、1981年日本長期信用銀行に入行。第一勧銀総合研究所上席主任研究員を経て、みずほ証券チーフ不動産アナリストを経て、2014年より現職。
石澤卓志
東京カンテイ上席主任研究員 井出 武さん
全国のマンションや土地価格をデータベース化した不動産専門の情報サービス会社。不動産市況レポートなども提供。不動産鑑定や土壌汚染調査なども手掛けている。
井出武
不動産経済研究所 企画調査部 主任研究員 松田 忠司さん
2004年に㈱不動産経済研究所に入社。以後、一貫して新築マンションの調査に携わる。毎月「首都圏マンション市場動向」の発表を担当している。
松田忠司

Q.住宅価格は上昇トレンドです。2016年の新築住宅市場の価格動向を振り返り、2017年の展望について伺えますか。

石澤さん:一般サラリーマンが買えるマンションの目安は坪単価240万円ですが、2016年は東京圏平均で260万円超、23区で330万円超。面積を狭くして販売価格を抑えている状況です。2017年も坪単価は横ばいか若干上昇する一方、一部エリアで下がるなど価格の多様化が進みそう。今後は立地ブランドよりも、交通利便性など中身が問われるでしょう。

井出さん:湾岸エリアだけでなく、都下や横浜・埼玉エリアなどで実感値は近年2~3割高騰。2016年に入って都心で横ばいになり、価格の転換期へ。高額物件は鳴りを潜め、投資物件はコンパクト系やワンルームが活況に。2017年の展望は前半まで価格が下がるか割安になり、都下や郊外で4000万~5000万円台中心の物件が出てきそうです。

松田さん:昨年、億ションに引っ張られた平均価格は現在5000万~6000万円の水準に。価格はほぼ同水準か下がりぎみになってきたものの下げ幅は限定的で、職人不足問題が解決していないこともあり高止まり状態は続くでしょう。戸建ては施工費の乱高下がなく、安定供給が行われ、マンションよりも割安感があるため堅調な需要を保っています。

ポイント

    価格高騰は消費者や投資家の反感を買い、全体的に需要が減退。仕様を落として売値を抑える戦略も見透かされ、成約件数の回復には至らなかった。そろそろ価格調整へ向かうという見方が一般的だが、建築コスト上昇やオリンピック効果が続き、価格の下落は限定的。その中でハイコストパフォーマンスの物件を見つけられるかがカギ。

Q.2016年はマイナス金利政策の影響により、住宅ローン金利はかなりの低水準が続きました。2017年の購入の環境をどのように予想しますか。

石澤さん:日銀の金融政策で若干変更があっても大きな影響はありません。基本的に金融緩和が続くため住宅ローン金利は低水準が続くでしょう。住宅ローン減税の延長や拡充の可能性もあり、購入者にとって金融および制度面での環境悪化は今のところ考えにくく、むしろ改善の可能性大。マイナス要因は物件価格が上がったこと以外は多くありません。

井出さん:トランプ氏が次期大統領に決まり、金利は上昇。不動産バブルへ警戒やマイナス金利の影響も踏まえ、購入時に借り入れしにくい状況を想定して物件探しが求められそうです。夫婦の収入合算のような購入法はお勧めできず、全額ローンはそのリスクも念頭に。住宅購入の優遇税制は概ね延長され、買いやすい環境は続くでしょう。

松田さん:住宅ローン金利は上がる可能性がありますが、もとの水準がかなり低く、上げ幅も限定的でしょう。高層マンションの課税強化が予定され、2017年に超高層マンションの供給も増えそうですが、高層物件自体の希少性があるので影響は少ないと思います。むしろ低層階の課税額は下がり、課税強化策は大きなマイナス要因になりません。

ポイント

    ここへ来て金利が上昇する気配が見られ始めたものの、景気が十分に回復していないなどの事情もあり、住宅ローンの低金利状況は続くという見方が一般的。ただし、これまでどおり融資を受けやすい状況を今後も保つかは不透明で、無理のない資金計画がいっそう重要になる。住宅購入の支援政策は継続され、当面追い風が吹く。

Q.2017年の供給数はどう変化するとお考えでしょうか。首都圏・関西圏を中心に考察ください。

石澤さん:2016年上半期は消費増税の動向が不明だったこともあり、供給は前年同期比で2割ほど減少。全体として抑制傾向が続くものの、2017年は若干増加の兆しもあり、交通の利便性が高いエリアを中心に供給増が予想されます。また、早ければ2017年度から課税内容が見直される高層マンションは、駆け込み供給が増えるかもしれません。

井出さん:販売しても売れない状況が続き、2016年は事業の先延ばしが多く見られました。一方、東京オリンピックを控え、価格調整さえできれば需要は回復すると予想されます。好条件の物件が揃うかが課題ですが、供給増が数字に表れるのは2017年後半でしょう。大阪中心部や神戸はそもそも高額になっておらず、供給量の心配はありません。

松田さん:2016年はエンドユーザーの動きが鈍った1年でした。郊外の需要はかなり鈍化し、高価格状態が続くことによって23区の都心周辺部、特に城南・城西エリアの動きも鈍くなっています。その半面、今年後半に売り出した物件の期分け販売も出てくるので、2017年の供給のポテンシャルとしては2016年以上。着工数も増えています。

ポイント

    2016年は価格高騰による需要の減少に伴い、郊外・都心周辺ともに物件の供給が抑制傾向だった。とはいえ景気回復への期待感や根強い実需もあり、先細りしていた供給数は年明けから徐々に増えてくると予想される。実際にその効果が顕在化してくるのは、価格が落ち着いた2017年の半ばからと見るのが自然だろう。

Q.2017年に住宅の購入を考えるにあたり、注目すべき物件選びのポイントはありますか。

石澤さん:物件選びで交通の利便性はこれまで以上に重要性を増すでしょう。例えば、駅直結や駅前立地、ターミナル駅へ20分圏内など。首都圏なら東は船橋、北は大宮、南は藤沢、西は立川までが目安です。子育てや教育環境が充実しているエリアの評価も高まっており、資産価値を保ちやすい範囲で自己満足度が高い物件を重視すべきです。

井出さん:郊外エリアは戸建てとの競合が激しく、マンションは駅近や交通の利便性が重視される年になると考えられます。資産性を踏まえたキーワードは、東京や大手町などへのダイレクトアクセス。リセールバリューの観点からも「駅近」「大規模物件」「タワー物件」の優位性は崩れません。人気沿線に加えて再開発エリアにも要注目でしょう。

松田さん:2018年の消費増税の駆け込み需要が出てくるとすると、それを見越して物件価格はさらに上がる可能性も。ただし消費税8%という点で2017年は買い時といえ、物件の供給も増えていきそう。金利は相変わらず安いので、購入のチャンスの年といえるでしょう。なかでも超高層マンションは、都心に限らず検討の価値があります。

ポイント

    これまで立地のブランド力で高値が付く傾向も見られたが、一般消費者の手が届きにくい水準まで高騰した今、改めて“中身”が問われる流れに。特に重視されるのが、駅近や都心直結といった交通の利便性。大規模物件やタワー物件などと併せて希少性を持つ。ただし、コストパフォーマンスの良し悪しは冷静に分析する必要があるだろう。

2017年の不動産市況天気図

識者3人に2017年の不動産市況を天気図で表してもらった。

2017年の不動産市況天気図

ポイント

    価格高騰で需供ともに低調だった2016年の新築市場だが、価格調整の動きが出始め、2017年は供給の増加が予想される。若干上がりぎみの金利もまだまだ低水準で購入環境の追い風は変わらない。一方で価格を抑えるため仕様を落とす物件も出てきそう。立地の利便性や物件の希少性に加えて、建物のグレードなど本質を見極める目が今後は大切になる。

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