2017年の中古住宅・マンションは買い時?専門家による不動産市況予想

  • FaceBook
  • Twitter
  • Google+
  • はてなブログ
  • pocket

2017年の中古住宅・マンションは買い時?専門家による不動産市況予想

新築住宅の価格上昇や供給の減少に伴い、改めて中古市場が脚光を浴びた2016年。近年は中古価格も緩やかに上昇してきたとはいえ、まだ割安感があり、住宅ローンの低金利などの追い風も吹く。その中で迎える2017年の中古市場について、3人の識者に展望を聞いた。

2016年の中古住宅市場の振り返り

2016年の中古市場は、買いづらくなった新築に代わる受け皿として活況を呈した。住宅購入希望者も従来まず新築から検討する傾向が強かったものの、最近のリノベーション人気なども相まって、成約件数は中古が新築を逆転。新築の相場に連動して少しずつ上昇していた成約価格も、旺盛な供給を背景に一部で価格調整の動きが出てきた。

首都圏中古マンション在庫数の推移

首都圏中古マンション成約数の推移

首都圏中古マンションの価格の推移

2017年はどうなる!? みんなの不安に専門家が答える。

PROFILE

東京カンテイ上席主任研究員 井出 武さん
全国のマンションや土地価格をデータベース化した不動産専門の情報サービス会社。不動産市況レポートなども提供。不動産鑑定や土壌汚染調査なども手掛けている。
井出武
マンション評価ナビ代表 大久保 恭子さん
住生活評論中心に、東京23区の中古マンションの評価サイト「マンション評価ナビ」を運営。住まいに関する雑誌・WEBサイトのプロデュースやマーケティングなども手がける。
大久保恭子
価値住宅株式会社代表 不動産コンサルタント 高橋 正典さん
一般社団法人 相続支援士協会 理事。【著書】『プロだけが知っている!中古住宅の買い方・選び方』(朝日新聞出版)他
高橋正典

Q.住宅価格は上昇トレンドです。2016年の中古住宅市場の価格動向を振り返り、2017年の展望について伺えますか。

井出さん:一部で価格上昇が続いた2016年ですが、都心6区で頭打ち感が出てきて若干の値下がりも。2017年は上昇もせず極端な下落もない落ち着いた相場になるでしょう。再開発エリアや都心の好立地はあまり下がらず、値上がりが顕著だった湾岸エリアなどでは価格調整が出てきそう。ターミナル駅から1時間以上の郊外は下げトレンドです。

大久保さん:中古マンションの価格上昇は、2016年秋ごろに頭打ちの状態になったと考えられ、都心からじわじわと下落が始まっています。2017年は価格が落ち着く新築に連動して、中古マンションも価格の上昇は考えにくく、他方で大幅な下落もないでしょう。関西圏ではすでに価格下落が進んでおり、低位安定の状況にあります。

高橋さん:消費税増税の延期で想定した駆け込み需要がなかった新築市場は、2016年の秋口から在庫調整のため値下がりが見られ、これに連動して中古住宅も成約価格が下がる傾向にありました。2017年はアメリカ経済の動向しだいで価格調整が進展。4000万円以上の物件は在庫が3~4割増えており、過熱ぎみの市場が少し落ち着きそうです。

ポイント

    価格上昇が続いていた中古住宅は、新築と同様に2016年の秋ごろに転機を迎え、都心部などで下落が見られるようになってきた。2017年は、価格が高騰していたエリアや郊外などで調整局面へと向かうことが予想される。ただし、堅調な需要に支えられて大幅に下がることはなく、好条件の物件では引き続き緩やかな上昇も見られそう。

Q.2016年はマイナス金利政策の影響により、住宅ローン金利はかなりの低水準が続きました。2017年の中古購入の環境をどのように予想しますか。

井出さん:2017年もマイナス金利が住宅市場を変える要因にならず、むしろマイナス金利は終わりそう。ある調査によると2016年10月から金利の先高観が高まっており、トランプ大統領就任が決まってからプラスの方向へ。今は住宅ローンがリフォームにも使えるので、低額の中古+リフォームで組むのも低金利の上手な活用法かもしれません。

大久保さん:低金利は基本的に2017年も続くと考えられます。物件価格も下落していますが、多様な人が集まる魅力的な街は人気があるので値下がりしにくいのが現実。「広さ」をあきらめて「立地」を優先するなど、資産価値が下がりにくいことを重視する傾向が今後強まりそうです。幅広い年齢や世帯が集まる場所に注目するのがいいでしょう。

高橋さん:現在は低金利が当たり前のようになり、マイナス金利政策が購入の判断を左右することはないでしょう。ただ、物件数の充実や価格下落基調など、購入しやすいことは確か。また、最近のリノベーションブームを反映し、割安感のあるリノベーション済み物件が増えてきました。

ポイント

    長らく低水準で推移してきた金利だが、2017年はそろそろ上昇へ転じる気配も。とはいえ急上昇するわけでなく、当面は低金利の恩恵が続くと見られる。価格が高騰したエリアの物件は避け、安定した資産価値が期待できる立地を選んだり、リノベーションを前提に割安な物件を選んだりするぶんには、良好な購入環境といえるだろう。

Q.2017年の供給数はどう変化するとお考えでしょうか。首都圏・関西圏を中心に考察ください。

井出さん:2000年前後に買った人はキャピタルゲインが得られる状況のため、売り件数は増えると思われます。一方、新築価格の上昇でステップアップの買い替えは難しく、中古を選ぶ人が増加。これらを背景に中古市場は年々拡大し、出来高は2017年も上がる活況が続くでしょう。在庫の増加に伴い、値付けを多少抑える傾向も見られます。

大久保さん:マクロ的な見方でいうと、価格下落局面では、できるだけ高く売りたい売主の心理から、無理して売らず様子見する動きが多くなるため、供給数は減少。逆に価格上昇局面では高く売れるため、供給数は増加します。2017年は2016年よりも少し価格が落ち着くと考えられ、供給数は減少しそうです。選択肢が狭まる中においても、希望の物件に巡りあえるのであれば、低金利など社会情勢から見ると買い時といえるでしょう。

高橋さん:5年ほど前まで一般的だった「お金がないから中古」という考え方は、今はあえて「中古でも良い物件なら買いたい」という前向きな姿勢に移行。賢い買い方として中古を選ぶ人が増えましたが、中古マンションの供給は多いのに対し、中古戸建てはまだまだ足りていません。特に都市部では旺盛な需要に対して流通量が少ない状況が続きます。

ポイント

    良質で割安感のある中古住宅の評価が見直されるとともに、近年は需要が年々拡大。相場の上昇も相まって売り手市場となり、物件の流通量は順調に伸びてきた。その半面、2016年は価格が下落基調へ転じたこともあり、2017年の供給はやや鈍化する可能性もある。ただし売り時であることは変わらず、豊富な選択肢から選べる状況が続く。

Q.2017年に中古住宅の購入を考えるにあたり、注目すべき物件選びのポイントはありますか。

井出さん:2017年は価格調整期に入るものの、湾岸エリアなどはおそらく高いまま。他のエリアも含めて高値の物件を選んでしまわないように注意が必要です。比較的値ごろ感があるのは下町エリアですが、好みでないなら再開発エリアも検討を。資産価値を考えるなら「大手町・東京へダイレクトアクセス」「駅近」「大規模物件」がキーワードです。

大久保さん:「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、マンションの住宅性能表示制度が2000年に導入されました。そのとき性能評価を受けた構造・性能に優れたマンションが築16~17年目をむかえます。築15年超の物件は相当割安感のある水準まで売値は下ります。制度導入直前のものを含めて、2017年以降そうした良質かつ割安感のある物件が出てくるでしょう。

高橋さん:人気エリアや交通の利便性に恵まれた立地は出尽くした印象があります。今後は立地という基本的な指標も大切ですが、建物の質や状態がより重視されそうです。ポイントは、維持管理、修繕計画、室内の使用状況など。また、環境面では大型商業施設など、場合によってはなくなる可能性があるものも考慮する必要があるでしょう。

ポイント

    下がり始めた価格の動向は条件しだい。そのまま下落が続く割高な物件なのか、資産価値が安定もしくはまだ上がる余地がある物件かを見極めたい。立地重視なら都心ダイレクトアクセスや駅近、建物重視なら管理状態が良い物件や築16~17年の高性能マンションなど、2017年は特に住まい探しの基本を押さえることが成功のカギに。

2017年の不動産市況天気図

識者3人に2017年の不動産市況を天気図で表してもらった。

2017年の不動産市況天気図

ポイント

    価格上昇や供給増加の結果、2016年は売り手市場から買い手市場へ変わる節目の年となった。今後は、実需以上に価格が上がってしまった地域から順次価格調整が進むと見られ、2017年は買いやすい状況が続きそう。選択肢も引き続き豊富だが、まだまだ割高な物件も混在しており、将来を見据えて立地や物件を選ぶ目利きが欠かせない。

ライター/オウチーノ 編集部
  • FaceBook
  • Twitter
  • Google+
  • はてなブログ
  • pocket
ページトップへ