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【ことわざ】「猫の額」って使ったことある?

  • 2021年03月22日更新

「猫の額」とは、猫の額が狭いことから、場所や土地の面積が非常に狭いことを表す慣用句で「猫の額ほどの庭」などと良く用いられます。昔から使われてきた慣用句だけに、我々日本人の感覚には定着しているものの、改まって考えてみると不思議な表現です。そもそもなぜ「猫」なのかに始まり、謎が多数あります。

多くの慣用句に使われてきた猫

「額」とは、いわゆるおでこです。人間の額は、一般的に髪の生えぎわと眉に挟まれた部分だと認識されています。

ところが身体全体が毛で覆われている猫の額の部分は、人間ほどははっきりとしていません。したがって小さな顔の中でだいたいこの辺、と考えるほかないでしょう。「猫の額」はそのくらい境界線が漠然としており、あるのかないのかわからないような状態を指すのだといえそうです。

これ以外にも、日本で古くから使われてきたことわざや慣用句には、猫が登場するものが実にたくさんあります。誰も彼も、という意味の言い回しには「猫も杓子も」、溺愛する様子を指して「猫かわいがり」、忙しく人出が足りない時に「猫の手も借りたい」と言うなど、人と猫がいかに身近であるか物語るような慣用句があまたです。

また、「猫に小判」、「猫ばば」、「猫なで声」などもよく使われる表現です。いずれの表現にも、猫独特のかわいらしさ、無邪気さや人間臭さがそこはかとなく感じられます。また昔から、日本人にとって猫がとても身近な動物であったことがうかがえます。

猫の額ほどでも心が和む空間

ネズミやリス、小鳥、カエル、カメ、ヘビ、トカゲ、昆虫など、猫よりも小さい顔の動物は無数に存在します。
面積が狭い状態を表すのが目的であれば、猫以外の小さな動物を使っても良さそうですが、他の動物を用いた表現はありません。しかしながら「猫の額」という表現の由来ははっきりと解明されておらず、猫を用いる理由は謎に包まれています。また、いつごろからそう言われるようになったのかも不明です。

ただ「猫の額」といえば、大抵は庭や家といった住まいにまつわる表現であることは確かです。猫が住空間においても親しまれてきた動物であることが、この表現に自然と馴染む所以なのかもしれません。日本の住まいは、高度経済成長期以前はほとんどが木造の平屋あるいは2階建てでした。

都市部の集合住宅には長屋形式などが多く存在し、庭は大きさの差こそあれ人々の住空間に概ね付随してあるものだったといえます。広い狭いに関わらず、庭がある暮らしを日本人は古くから楽しんできたのです。たとえ「猫の額」ほどの庭であっても、緑や花を育てるなど思い思いに活用することができます。窓の外の、外界を感じられる空間であることにとどまらず、日常に彩りや癒しをもたらしてくれる空間となりえるのです。

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