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住宅に著作権ってあるの?

  • 2021年03月22日更新

著作権のある著作物を、著作権者の許諾を得ないで無断で利用すれば、著作権侵害となります。ただし、許諾なく使える場合に該当するときは、無断で利用しても著作権侵害にはなりません。住宅に関する著作権についてまとめてみました。

住宅に関する著作権

例えば、散歩していたら気に入った外観の家を見つけたので、同じような家を建てて住んでみたい。その場合、建築士に住宅デザインを依頼するよりも、オシャレな家の外観をカメラで撮影し、同じような家を工務店に依頼すれば、手間が省けて安上がりです。でも、これってデザインの模倣ですから、著作権法上の問題は生じないのでしょうか。確かに、著作権法では、建築物について著作権を認めているので、デザイン住宅の写真を撮ってきて、無断で同じような家を建てれば、著作権法に違反するようにも思えます。しかし、建築の著作物に関する判例によれば、著作権法で保護される建築物とは、建築芸術といえるような創作性を備えている必要があり、建売されているような一般住宅は、著作権法で保護される建築物には該当しません。また判例によれば、グッドデザイン賞を受賞したデザイン性のある一般住宅の建築物についても、著作権法での保護が否定されています。したがって、建売住宅は勿論ですが、グッドデザイン賞を受賞した程度のデザイン住宅であれば、その外観を模倣して、同じような住宅を建てても、著作権侵害の問題が生じることは無いといえるでしょう。

実際にあった著作権侵害の判例

大手受託メーカー・積水ハウスの商品の外観に良く似たモデルハウスを建てたサンワホームが著作権で訴えられた事件がありましたが、積水ハウスの主張を棄却する判決を下す判決が出ています。著作物や著作者の権利を守る法律である著作権法は、著作権として保護される建築物について、建物の著作権という特別の定義を行っています。この一審判決では、サンワホームのモデルハウスが積水ハウスの商品に似ているかどうかを議論する以前に、積水ハウスの商品は「建築物の著作物」にあたらないと著作権の侵害を門前払いした形になっています。積水ハウス側は建物に著作物性があることを認めさせるために、審美性や芸術性があるとして、グッドデザイン賞を受賞したことを挙げましたが、裁判所は、グッドデザイン賞は大量生産が可能か否かという工業製品の生産性に関わる事項(再現性)が相当考慮されており、更に本件の受賞に際しては美観よりも機能性が強調されているとし、グッドデザイン賞の受賞によって美術性、芸術性が具備されていると認めることはできないとし、建物の著作物性を認めませんでした。

図面の著作権

住宅の著作権を巡っては、図面の著作権という別の切り口もあります。ある建物と寸法、形状が全く同じものを第三者が勝手に作るということは、その建築前に、元の図面と寸法、形状を全く同じにする新しい図面が出来上がっていることを意味しており、これが元の図面の著作権侵害に当たると考えられているためです。ただ、この場合も著作権侵害と認められるには、ほとんどの部分が全く同じでなければならないという高いハードルがあることを付け加えておきます。

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