経験の力
中浦弘嗣+中浦妙子(中浦建築事務所)
家を建てるにあたって建築家に相談するとは、単に設計図を書いてもらうためだけでなく、自分の要望を整理したり、家族とのこれからについて考えるきっかけにもなる。そんな時には、建築家が豊かな経験を持った人である方が良いに違いない。中浦夫婦はそんなベテラン建築家の一人である。
インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部
──建築家としての原点、建築家を志したきっかけをお教えいただけますか?
建築は、人を育む器であり、町並みを形成する街区の一因子として、より良い社会の環境に寄与貢献する事であると思います。この想いがきっかけとなりました。
──建築家として、どのような住宅を作りたいとお考えですか?
まず家・住宅をはじめ建物・建築は、人生をおくる為の舞台であり、家族が心と体を癒し・くつろぎ・明日の準備をする貴重な空間です。そして人は、加齢と共に段階的に、いろんな色の幸福を求め進化します。その為にも、家・住宅をはじめ建物・建築は、【単なる箱】という考えを捨て、人生の密接なるパートナーとしてお考え頂きたく思います。住む人が快適な生活を送られる事が私達の幸せであり、私たちの『明日への活力』の源です。『私達の創る建物は、住む人の魂・心を照らすたった一灯の明りだが、その燈火が集まれば、国全体の住環境が向上し、住む人が幸せになり、国が明るく照る事と相成ります。』をモットーにその一役を担えればと考えます。なお夫婦で設計業務に携わっているので、女性としての視点や育児・家事の経験をふまえた動線等のご提案も致しております。
──建築家としての喜びは何でしょうか?
数々の建物の竣工後、クライアント様の数々の無垢な笑顔に出会えた事が、私たちの設計業務に対してのお客様の反応であり、私共のかけがえのない喜びでもあります。
──リフォームが注目を浴びていますが、どのようなお考えをお持ちでしょうか?
住む人が年齢を重ねると共に、家族それぞれのライフスタイルが除々に変り、家族構成が変り無用の部屋が残るか、部屋の用途が変わります。 リフォーム・リノベーションは、次の『人生を送る為の舞台(ステージ)』への進展・発展の足がかり(ファースト ステップ)として、又、次世代へのより良い暮らしのありかたを促すような業務と考えます。 その舞台を年代に応じて最高のものに演出できるご提案ができればと思います。
──ご自身にとって印象深い作品と、そのコンセプトやエピソードをお教えください。
自宅を新築した時です。私どもの長女は、アトピーや小児喘息で、入通院を繰り返していました。「医食同源」という言葉がありますが、私たちは「医住同源」という考え方を持っています。健康は「住まい」からつくられるということです。長女も今は完治し、社会人として活躍しております。
中浦弘嗣+中浦妙子(中浦建築事務所)
【中浦弘嗣】1955年 大阪府生まれ。
1978年 近畿大学理工学部建築学科卒業。
1978年 ㈱近畿建設勤務。 松村建築設計事務所勤務。 欧州遊学。
1985年 中浦建築事務所設立。
【中浦妙子】1964年 大阪府生まれ。
1980年 大谷女子短期大学家政学部卒業。
1985年 ㈱イトーキ勤務。
1998年 中浦建築事務所参画