不動産物件の購入だけでなく、売却の手続きも必要になる「住まいの住み替え」。いろいろと面倒が多そうなイメージですが、現状の住まいの不満を抜本的に解決できる、という大きな魅力も秘めています。今回は理想の住まいに近づくための「住み替え」についてご紹介しましょう。
2010年9月 ホームアドバイザー編集部
転職・結婚・子供の誕生・定年退職といった人生の節目は、住み替えのチャンスと言えます。人生の節目はライフスタイルの変化でもあり、その時々にマッチする住まいの選び方も変化していきます。
今後、特に住み替えのタイミングとして重要になりそうなのが「リタイア時」でしょう。
定年退職時に住まいを買い換える方が最近では増えています。高齢になって子供たちが独立したとき、子育てを想定した郊外の一戸建てでは、老齢の夫妻には広すぎて維持管理がなにかと面倒なもの。そのため「無理して郊外の広い家に住むよりも・・・」と思い、買い物やレジャーに便利な都心部や駅前立地のマンションに移り住むシニア層が増えているのです。
快適な住まいを実現する第一歩は、自分たちのライフスタイルに合わせた住まい選びをすること。家族の人数やライフサイクルを意識した住み替えによって、理想の住まいが一歩近づくはずです。
住まい選びでは尽きない、「新築と中古、どっちがいいの?」という悩みですが、住み替えの場合なら中古住宅を選んだほうが何かとメリットがあります。そのワケは大きく2つ挙げられます。
●中古住宅は「資産価値の目減り」が少ない
住み替えをする時にネックとなるのが、住まいの資産価値の目減りです。資産価値が購入時より大きく下がってしまうと、売却益のみでは多額の住宅ローン残高が残って住み替え費用をまかなえない、ということも考えられます。将来的にも住み替えを検討されるなら、資産価値の目減りが少ない中古住宅を選んだほうが良いのです。
一般的に住宅の資産価値は、新築時から数年の間で急激に目減りして、15年~20年くらい経つと低減率は緩やかになっていきます。この点から言えば、新築と比べて築20年程度の中古住宅は資産価値を長く維持できるといえます。
●中古住宅は物件豊富。住みたい場所に住める
「長年住んだこの街に住み続けたい!」「今度はパークビューの物件に住みたい!」といったように、立地にこだわる方には中古物件の方がおすすめです。
中古住宅の物件数は、新築住宅に比べれば圧倒的に豊富。例えば「○○駅の北口、徒歩5分以内のマンションが欲しい!」と思っても、新築の場合だと数年に一度出るかどうかの確率ですが、中古なら常にある程度の物件数が見込めます。
また中古住宅は物件数が多いため、日当たりや広さ・眺望など、立地面以外のディテールにもこだわれます。その分、現状の物件に対する不満点を解消できる可能性が高いのです。
住み替えの場合、単に住宅を購入するという作業に加え、現在の住まいを売却することも必要になります。また売却額がある程度想定できないと資金計画も立てられないため、購入だけの場面に比べると難易度は高くなります。なので、住み替えには余裕のあるスケジュールをたてましょう。
●売却と購入は出来るだけ同じタイミングで
多くの場合、住み替え資金は現在の物件の売却益を元手とします。そのため、売却時決済と購入時決済をほぼ同じタイミングにするのがベストです。
売却が遅れた場合には二重にローンを支払うこととなり、また売却が早すぎた場合には一時的に賃貸住宅を借りる必要があるなど、タイミングがずれると何かとデメリットが生じます。
大まかな流れは以下のようになります。売却時の「(4)決済・物件引渡し」と、購入時の「(5)決済・物件引渡し」が同時になるようなスケジューリングを目指しましょう。
【不動産売却の流れ】
(1)物件の査定依頼 ⇒ (2)媒介契約(売却活動) ⇒ (3)売却契約 ⇒ (4)決済・物件引渡し
【不動産購入の流れ】
(1)資金計画 ⇒ (2)物件探し ⇒ (3)購入契約 ⇒ (4)ローン手続き ⇒ (5)決済・物件引渡し ⇒ (6)入居
一般的には、売却にかかる期間は3ヶ月ほどとされていますので、事前の下調べ・入居時の引越しなども含めると、住み替えには6ヶ月くらいの期間を見込むのがよさそうです。
家を売り買いするとき、売主と買主の仲介者となるのが不動産会社。住み替えの際には、今ある家を売却するので「売主」の立場にもなるわけですが、住み替え時の不動産会社はどう選べばいいのでしょうか。
●「一般媒介」と「専任媒介」の違い
物件を売却する場合や、賃貸に出して入居者募集を依頼する場合、不動産会社とは「媒介契約」を結びます。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
「一般媒介契約」は、3種類の中では最も「縛り」のない契約方法です。複数の不動産会社に仲介を依頼できる、友人や親族など自分で探してきた相手との取引も自由に行える、などのメリットがあります。
「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」は、文字通り1社だけと契約するタイプ。複数の不動産会社と契約できない点を見ると相当不利なようにも見えますが、売主への活動報告の義務、「レインズ(各社の物件情報を共有する不動産情報ネットワーク)」への物件登録の義務などが業者に課せられている点は大きなメリットと言えます。
一般媒介と専任媒介のどちらがオトクか、とは一概には言えませんが、不動産会社から見ればメリットが大きいのは専任媒介。その分だけ広告掲載などにも力を入れてくれるので、スムーズな成約が期待できます。特に住み替え時は速やかに手持ちの物件を売却したい場面ですので、専任媒介の方が有利と言えるでしょう。
●売却・購入を一社に任せたほうが良い?
住み替えの場合、同じタイミングで物件の売却と購入を行うので、両方とも同じ不動産会社に任せてしまった方が窓口も一つになり、何かと便利です。担当者も住み替えを希望していることを認識しているので、売却と購入にタイムラグが発生しないように努力してくれます。
ただひとくちに不動産会社と言っても、地場に強い地域密着型タイプや、全国的なネットワークを持つ大手会社など様々です。転居したい場所が同じエリア内ならば地域密着型の会社でも問題はありませんが、遠い場所に移る場合は対応できない場合もあります。
一社に任せる場合は、同じエリア内での住み替えなら地元情報に強い地域密着型の不動産会社、異なるエリアを希望する場合は全国的なネットワークに強みを持つ大手、といった使い分けが考えられます。