山林が売却しにくい理由は?

  • 2016/06/22

映画のテーマにもなった、日本の国土においては欠かせない産業である林業。地方にいくと「親が山林を所有している」などという人もいますが、相続や売却などの事態に陥ったとき、山林は売却しにくい土地資産であることも事実。広いわりに地価が低く、山菜やジビエなど山の幸をひとりじめ、なんてことも期待できそうなのに、なぜ山林が売却しにくいとされるのでしょうか?山林を売却まで進められる方法はないのでしょうか。

安いのに売却しにくい、日本の山林

日本は世界有数の森林国家であることをご存知ですか。日本の約7割は、森林が占めています(世界平均は約3割)。先進国の中ではフィンランド、スウェーデンに次いで、国土に対する森林の割合が多い国です。太古の昔から日本は、森林とともに生き、日常的に木々への敬意を払いながら、山の恵みを生活の中に採り入れてきました。その森林のうち半分以上が私有林とされています。つまり、日本全国にある山林の約半分は、一般の土地なのです。いわゆる私有地ですから、相続などの関係で売却されることもあります。山林の売買に特別な許可は不要で、買い手がいれば通常の不動産売買と同じ手続きで売却できます。山林は土地代が安いため、場所によっては二束三文とも言えそうな値段で売却されることもあるので、買い手にとっては山ひとつが格安で購入できることになります。そのわりには、山林を売却すれば高値で売れるという状況にも、売れに売れて大変な事態になっているという状況にもなっていません。むしろ「売却しにくい」と言われます。古来より生活に欠かせない存在でもある山林が、売却しにくいとは、どういうことなのでしょうか?そこには、山と木で構成される山林ならではの事情が絡んでいます。

「山の幸」に価値を見出せるか

一般の不動産である以上、山林の売却にも需要と供給のバランスが影響します。ひとくちに「山林」と言っても、市街地に近いところにある山林から、山奥のそのまた奥にある山林までいろいろで、人気が高く、高値で売却できる山林は、住宅地または商業地に近い「都市近郊林地」と呼ばれる山林です。都市近郊林地は、開発が見込めるので、個人ではなく投資目的の事業者に高値で売却できる確率が高くなります。反面、山奥のそのまた奥にある「山村奥地林地」は、交通は不便、住むに住めない、開発して資金を回収する見込みは薄いと、少なくとも開発を考えて購入されることはないため、人気がなく、安値でも売れない事態に陥ります。つまり、山林も「価値」の有無で売却できるかどうかが決まるのです。逆に言えば、なかなか売却までいかない山林であっても、何かひとつでいいから買う相手にとっての「価値」があれば、売却まで進められるのです。山奥の山林は、市街地から離れている分、排気ガスに汚染されていない木材や、湧き水など、自然の資源に満ちています。近年は外国人が日本の山林を購入することが増えて問題視されていますが、購入者は日本の湧水を得ることが主な目的とされています。また、個人ではなく林業に従事する事業者が購入することも多いのが山奥の山林ですが、これは山林を活用して収益を上げることに価値を見出しています。農林水産省の統計によれば、林業の生産額のうちおよそ半分は、木材生産ではなくキノコなど山林で得られる農産物などによるものというデータが出ています。林業でお金に換えられる自然資源があるかどうか、いわゆる「山の幸」が、持っている山林に存在すれば、山間の山林といえども、売却の対象になるのです。親から相続した山林が、実は「宝の山」かもしれない希望を持って、売却するそのときまで、日本に古来から自然の恵みを授けてきてくれた山林を、大切にしましょう。

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