冬でも肌着で地域おこし!? 兵庫県加古川市のステテコ隊を直撃!

  • 2016/11/08

ステテコ・腹巻姿で街を歩き、突然店に入ってスタッフにガンガンしゃべりかけるおじさんたち。
動画サイトで見たインパクトある一団の名は「ステテコ隊」。2014年に兵庫県の加古川市で誕生した、地域おこし協力隊だという。
活動の拠点はJR加古川駅徒歩10分弱の「お墓の山石」。なぜ、お墓屋さん?

その店舗の一角にあるスタジオで、隊員ナンバー1・ステテコ隊隊長の山本俊之さん、ナンバー4・アレンジャー(編曲家)の嶋洋平さん、ナンバー5・元二子山部屋関脇の若翔洋さん、ナンバー12・飴細工師の馬場みのりさんに集まっていただき、話を聞いた。

隊員ナンバー1・ステテコ隊隊長 山本俊之さん
地元のテレビ、ラジオ、イベントなどで活躍する地域活性協力隊ステテコ隊隊長であると同時に、墓石に関する事業を行う「有限会社 山石」代表取締役を務める。
山本俊之さん

「墓石屋がずっと暗かったら、お客さんも元気にならへんから」

ステテコ隊・隊員ナンバー1の山本俊之さんは墓石を扱う「お墓の山石」の代表を務めていて、営業で様々な家庭を訪問している。
訪問先では家族の誰かが亡くなっていることが多く、その家庭の妻が亡くなった場合、後を追うように2、3年で夫も亡くなってしまうことが多いそうだ。

訪れるたびに夫が元気をなくす様子を見かねて、楽しく会話できる場を提供するために、お客さんが無料で使える喫茶スペースを開設(以前の店舗)。
さらに地域おこしも兼ねて、地元のアーティストや女優の卵を集め、山石ピクチャーズという宣伝広告部門を作ったという。

歌うステテコ隊

▲左から若翔洋さん、山本さん、馬場さん、嶋さん

なぜ、ステテコ!?

JR加古川駅の前で路上ライブなどの活動を始めた山石ピクチャーズだったが、当初はなかなか足を止めてもらえなかった。どうしたら聞いてもらえるか考え抜いた結果、山本さんはステテコをはいて腹巻を巻き、こたつに入ってうちわを仰ぎながら、演奏したり歌ったりしているメンバーに「がんばれ」と声援を送ることにした。

すると、道行く人もおもしろがって一緒に応援してくれるようになったという。「子どもや酔っ払いのおじさんがこたつに入ってくれ、宴会が始まるようになった」。
それが珍しい光景として注目され始め、ステテコを衣装とするようになったとのこと。

また、昔はよく町にいたステテコを着たおじさんの存在も、ステテコ姿で活動する理由の1つだという。
「僕が子どもの頃はステテコおじさんがたくさんいて、角で将棋してはったりとか、夕涼みしてはって、悪いことをしたら叱ってくれたり、ものを教えてくれたりしたんです。今の大人って、よその子が悪いことをしていても怒らないでしょ? 昭和のええとこも残さなあかんっていう意味もあるんです」と、山本さん。

あたたかな人と人とのつながりをよみがえらせようという思いも込められているようだ。

地元のイベントでライブパフォーマンス

▲地元のイベントでライブパフォーマンス

全国に広がる活動

路上ライブなどの音楽活動の他に、ステテコ姿で加古川の商店を訪れ、賑やかに会話する様子を独自で録画・配信していた山石ピクチャーズ。

その様子がお隣、明石市のケーブルテレビのプロデューサーの目に止まり、地元の人気店を紹介する「ステテコ隊がゆく!」という番組が誕生。
明石ケーブルテレビでの放送を皮切りに、兵庫県全体を放送区域とするサンテレビ、大阪・兵庫のケーブルテレビ局Baycom (ベイコム)にも出演。

さらには東京のJCOM本社でのテレビジャック、楽曲が静岡のラジオ番組のエンディングテーマに選ばれるなど、活動は関西の域を超え、全国に広がっていった。

ステテコ隊がゆく!

大切なのは仲間

2015年7月にCDデビューを果たしたステテコ隊は、神戸市のライブハウスでレコード発売記念ライブを敢行した。
「おっさんにファンなんかつくはずない」と、中年男性が多いステテコ隊にファンクラブを作るのは難しいと考えた山本さん。

ならばファンという形ではなく、一緒に地域を盛り上げてくれる仲間を集めようということで、ステテコ隊の隊員をラジオや新聞で募集した。
集まった70~80人の新しい隊員らとともに曲に合わせたダンスを練習し、ライブ当日は全員で踊った。ステテコ隊員らはその後のライブでも活躍。

またアルバムCD「幸子」の楽曲をもとにした芝居には、隊員からオーディションで選ばれたメンバーが明石市のアイドルグループYENA、元グレートチキンパワーズの北原雅樹さん(隊員ナンバー8)らとともに出演。

しかし、山本さんはステテコ隊の活動についてこう語る。
「歌うチームというより、地域を明るくしよう、仲間を増やしていこうっていうコンセプトなんです。人が集まれば笑顔が生まれる、人が集まれば知恵が生まれる、人が集まれば力が生まれるって思っています」

東播磨のコミュニティFM、BAN-BANの番組「ステテコ隊が行く!」が、インターネットを通じて全国で聞かれるようになると、北は東北、南は九州まで隊員の輪が広がった。

現在、隊員は4、5歳の子どもから65、6歳くらいの年輩の方まで約200人。遠方から遊びに来る隊員も多く、加古川のステテコ隊員が出迎え、集まって食事会などをするそうだ。

円陣

▲隊員みんなで芝居の上演前に円陣を組む

いつまでステテコ?

ところで、ステテコと言えばもともと男性がズボンの下にはく肌着。冬に向かって寒くなっていくなか、これからもステテコで活動するのだろうか。その質問に対して、山本さんはこう答えた。
「ここ数年ずっとステテコでやってきたけど、ずっと同じ格好。気温-4度とかでも。」

昨年、一昨年に出演したクリスマスイベントでは、雪を降らす機械の隣でステテコで歌い続けたそうだ。ちなみに上も肌着であり、何か羽おって寒さ対策をしないのか気になるところだが、「やっぱりステテコ隊なんでね。もともと真冬にステテコで始めたから(山本さん)」とのことである。

体を張って加古川を盛り上げる、山本さんはじめとするステテコ隊。最後に、加古川以外の人たちに送るメッセージを聞いてみた。
「加古川に何があるか、電車でお越しの際は1回降りてみてください」

山本さんいわく、加古川より西の姫路に住んでいる人は、電車に乗っても加古川では下車せず神戸方面まで行ってしまい、逆に神戸の人も加古川を通り過ぎて姫路まで行ってしまうことが多いそう。

「加古川には美味しい『かつめし(加古川のご当地グルメ)』などいろんなものがあります。下車してステテコ隊がおったら声をかけてください」

かつめし

▲「かつめし」カツの上にドミグラスソースがかかったボリュームあるグルメ

明るく親しみやすく、活動的なステテコ隊。兵庫県を訪れる際、加古川まで行ってみてはいかがだろうか。隊員は随時募集中とのことである。

かっつんとデミーちゃん

▲かつめしのご当地キャラクター「かっつん」と「デミーちゃん」

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