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「自慢の待機児童ゼロ」から一転!横浜市の苦悩

  • 2021年03月22日更新

「待機児童」の問題には、全国の自治体が頭を抱えています。その中で一躍脚光を浴びてきたのが、都市部でありながら「待機児童ゼロ」を達成した横浜市。しかし今、横浜市は再び待機児童への対応を迫られています。待機児童の問題と、横浜市が抱える苦悩に迫ってみましょう。

ワースト1位から待機児童ゼロへの取り組み

「待機児童」とは、保育所に入れたくても受け入れる保育所が足りず、空きが出るのを待っている子どものことです。定期昇給やボーナス、終身雇用があてにならない今の時代、出産後も働き続ける女性が増えていることから、保育所の需要は増しています。「家を建てよう」と考えている方の中には「共働きしたい」という家庭が多く、この問題は決して他人ごとではありません。厚生労働省の報道発表によると、平成25年(2013年)10月1日時点の待機児童は、全国で44,118人にものぼりました。その待機児童対策の取り組み例として、しばしば引き合いに出されるのが神奈川県横浜市です。かつて横浜市は、待機児童数が1,552人(2010年時点)と、全国ワースト1位の自治体でした。しかしBMW東京やダイエーなどの経営トップを歴任した林文子市長による改革で、2012年4月時点で待機児童数をゼロにしたのです。横浜市では単に認可保育所を増やすだけでなく、幼稚園の預かり保育や一時保育といった保育サービスの拡充を図りました。それと同時にそれぞれの保護者と対話する「保育コンシェルジュ」を区ごとに配置し、働き方に合った保育サービスを提案。「ハード面」「ソフト面」両面からのアプローチが、効果をあげていきました。もし住宅購入後も共働きを望むのなら、このように待機児童が少なく、取り組みをしてくれる自治体を選んで住むとよいかもしれませんね。

なぜ?再び増加した待機児童

2012年4月時点で、待機児童ゼロを達成した横浜市。しかし今、再びこの問題は深刻化しつつあります。2014年2月、横浜市の林文子市長は、待機児童数が前年同期比751人増の、3353人に達したと発表しました。この人数は同市が待機児童数全国ワーストワンを記録した2010年時点の倍以上。待機児童ゼロ達成が大きく報じられ、諦めていた申込者から申し込みが殺到したことが、増加の原因とみられています。林市長は「昨年よりかなり状況は厳しいが、ゼロを目指して最後の最後まで懸命に努力する」と明言しました。増加した待機児童の多くは1歳児。民間企業の多くが育児休暇を1年と設定しており、その時点で働きたいと望む女性が多い反面、受け入れ人数が少ないことが問題を大きくしています。さらに問題なのは、待機児童の定義。第1希望の保育所に入れなかった児童は「保留児童」としてカウントされず、認可外保育所を除外して公立のみを希望している人なども数に入っていません。待機児童の問題は、受入数を増やせば申込者が増えるといういたちごっこのような側面がありますので、完璧に解消できる自治体はなかなかないのが現実。少し早め(年明けごろ)に育休を切り上げ、認可外保育所で慣らしておき、4月入所で申し込むと入りやすい自治体もあります。行政任せにするには不安な待機児童の問題。自分でもできる範囲で、対策が必要かもしれません。

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