• 2017/06/30
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賢く家を売買するために私たちには何が必要か

「人生で一番大きな買い物」と言われるマイホーム。夢や希望を抱いて不動産屋さんを訪れる人も多いでしょう。でも全ての不動産屋さんが、必ずしもあなたの味方になってくれるとは限りません。うっかりしているとだまされることも。では私たちが家の売買を考える際にはどんなことに気をつけたらいいのか、不動産屋さんとはどう向き合ったらいいのかを『不動産屋にだまされるな「家あまり」時代の売買戦略』(中公新書ラクレ)の著者、山田寛英氏に伺いました。

――「人生は不動産で決まる」「不動産業界のカラクリも公開」と、インパクトのある言葉が目を引きますが、この本を書くに至ったきっかけはなんだったのでしょう?

私は不動産専門の公認会計士・税理士として会計事務所を開いており、そこで不動産を売り買いする消費者、それを仲介する不動産屋さんから年間1,000件にも及ぶ相談を受けています。
そのなかで消費者と不動産屋さんとの間には圧倒的な情報の差、考え方のズレがあることに危機感を感じ、何らかの形で警鐘を鳴らしたいと思ったのがきっかけです。

――それは具体的にはどのようなことですか?

例えば不動産屋さんが伝えた情報を消費者がきちんと理解していなかったり、あるいは不動産屋さんが都合の悪い情報はあえて伝えなかったり、自らの利益のために嘘をつくこともあったり。
不動産の売買は、消費者にとっては一生に何度もあることではありませんから、知識が少ないのが普通です。そこでつい業者任せにしてしまうと、後から「こんなはずではなかった」「不動産屋にだまされた」とトラブルに発展するケースがとても多いのです。

不動産屋は私たちの味方?

不動産屋は私たちの味方?

――著書の中でも「プロである不動産屋を前に、アマチュアである消費者は圧倒的に不利」と書いていますね。私たちは住宅購入の相談でお店に行くわけですから、当然不動産屋さんは自分のために動いてくれるものと考えがちですね?

不動産屋さんの数はコンビニの2倍以上もあり、不動産屋同士の競争も熾烈を極めています。そのため重いノルマを抱えており、ノルマを達成するためにはお客さまに誤解を招きそうな話をしたり、大事なことをあえて言わなかったりする不動産屋さんも中にはあります。

また、売主には「業者しか買わない物件です」「その値段じゃ売れません」などと説明して自社で安く買い取り、リノベーションしたのちに利益を上乗せして販売する「買取再販」や、仲介手数料を売主と買主両方から取るために、他の不動産屋を関与させないようにする「両手仲介」など、一般の人には馴染みのない不動産業界の仕組みで、自分たちの利益を上げようとする不動産屋さんもあります。

あなたと不動産屋の利益は、一致するとは限らない!

あなたと不動産屋の利益は、一致するとは限らない!

――仲介手数料によって不動産屋さんは儲かる仕組みになっている点についても、著書の中では詳しく述べていらっしゃいますね。

不動産売買における仲介手数料は、上限が消費税別で「物件価格×3%+6万円」となっており、実際にどれくらいの額になるか計算してみると、3,000万円の物件で103万円、5,000万円の物件で168万円になります。
これは不動産仲介をするための資格である「宅地建物取引士」に支払われる報酬ですが、税理士や司法書士、公認会計士など他の士業と比べても高すぎるように感じます。資格取得の難易度や業務の複雑さ、専門性から見ても、個人的には上限30万円くらいが妥当ではないかと思っています。

また仲介手数料で「上限」が決められているだけで、本来はお客様との話し合いで決められるべきものなのに、8割強の不動産屋さんが上限いっぱいに受け取っており、まるで法律で決められた額のように扱っているのです。
この仲介手数料は売る場合と買う場合、それぞれに発生しますから、先ほど言ったようにどちらか一方の代理人ではなく、売る側と買う側双方の代理人になれば仲介手数料が2倍得られることになります。

――双方の代理人になることがどうして問題なのでしょう?

物件を売る場合、本来は不動産屋さんとしては「仲介手数料を増やすために高く売りたい」と考えますよね。だから「なるべく高く売りたい」と考える売主からすれば、「頑張って高く売れるよう営業してくれるはず」と考えるでしょう。
しかし「片方の代理人として売却金額がなるべく大きくなるよう駆け引きする」よりも「双方の代理人として売却金額を手ごろにまとめる」ほうが、結果として不動産屋さんが手にする仲介手数料が大きくなるのです。

例えば売主が「3,500万円の物件をなるべく高く売りたい」と考えた場合、不動産屋さんが得られる仲介手数料(税抜)は、

片方だけの仲介業務を通じて4,000万円で売却した場合
4,000万円×3%+6万円=126万円

売主買主の双方の仲介業務を通じて3,000万円で売却した場合
(3,000万円×3%+6万円)×2=192万円

となり、同じ物件を売るにしても双方の代理人になって安く売ったほうが報酬は66万円も高くなるのです。

物件自体が高く売れても自分の手取りが減ってしまうのでは損したと思えたりするので、不動産屋さんは売主を、多少安値でも手数料が多く得られる取引に持って行ってしまい、これによって売主は1,000万円を得る機会を逃したことになってしまいます。
つまり消費者と不動産屋さんの利益は一致しないし、不動産屋さんは自分たちの利益を最大化することを考えているので、消費者の利益が損なわれてもあまり痛みにはならないことがあります。

不動産屋さんとしっかり付き合うには何が必要か

不動産屋さんとしっかり付き合うには何が必要か

▲当日持参した著書に、サインを書いてもらいました!

――そのような圧倒的不利な立場で不動産の売買をしなければならない私たちが、不動産屋さんと対等に話すにはどのようなことに気をつけたらいいのでしょうか?

ひとつ目は「情報で負けない」ということですね。それまで不動産業界でのみ流通していた情報が、インターネットの浸透で、私たちでもある程度集められるようになってきました。
売るにしても買うにしても、まずその地域での物件の適正価格がどれくらいなのか、売買にはどのようなお金が必要になるのかをしっかり調べた上で不動産屋へ足を運んでほしいです。

ふたつ目は「常に自分の頭で考える」ということです。少子高齢化が進み、「家あまり」の時代となった今、0円でも売れない家が出てきています。家を買う際には「売ること」や「相続する」ということも考えた上で、立地やどのような物件にするかを選ぶとよいでしょう。
人任せにせず、多くの物件に足を運び、ようやく買ってもいいと思える物件が見つかっても、迷って悩んでとにかく時間をかけて選んでほしい。人生最大の買い物ですから、それくらいの努力は必要ではないでしょうか。

――不動産屋に行くにしても、1か所だけではなく、複数に足を運んだ方がいいのでしょうね?

不動産屋の営業マンは接客のプロですから、話術が巧みな方が多いです。はじめは「心配だなあ」と思った営業マンでも、付き合ううちに「実はいい人だった」と思うようになりがちですが、初対面で「なんか怪しい」と感じたら、その直感は信じた方がいいと思います。

また「会っていないところで自分のために動いてくれるかどうか」というのも見極めるポイントですね。会っている時はグイグイ話をしてきて、その場では「いいですよ、なんでもやります」「資料を作ってすぐお送りします」などと言うのに、結局は何もやってくれなかったり資料を送ってこなかったりする人は信用できません。口先だけだと思ってしまいますからね。
本当に自分のために動いてくれる担当者を見つけるためにも複数の不動産屋さんに足を運んでください。

これから先、不動産売買の方法は変わる?

これから先、不動産売買の方法は変わる?

――最後に山田さんが考える理想の不動産売買の形はどのようなものかを教えてください。

仲介業者を通さずに売り買いできるようになれば、コストは激減します。
これまでは売主が買主を自分で見つけられなかったために、一般的に行われてきませんでしたが、売主と買主をつなぐ仕組みさえできれば可能になると思われます。

個人間での不動産売買は法律上、全く問題ないですし、消費税もかからなければ仲介手数料もいらない。物件探しはインターネットなどを介して行い、実際に売買を行う時だけ司法書士に面倒な書類作成を担当してもらえばいいんです。
現にそのような仕組み作りに取り組んでいる会社も出てきているので、今後、不動産屋や関連業者とどう付き合うかは、あくまでも各自のニーズに合った形で、主体的に行えるようになってほしいです。

最後に、不動産屋さんにとっては手厳しい内容になってしまいましたが、全国の全ての不動産屋さんがここにお話した内容に当てはまるわけではありません。
確かに自社のことを優先して営業している会社もありますが、それはごく一部の不動産屋であって、みなさんが出会う多くの不動産屋さんは、しっかりと良い住宅を探してくれます。でも全部業者任せでは営業マンに言われたことが本当なのか?ウソなのか?判断できないのも事実です。

人生で何度も無い大切な買い物ですから、みなさんも情報収集した上で不動産屋さんと相談してみてください。

ヨムーノ編集部

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