• 2017/09/05
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市街化調整区域が売れない原因とその対処法

売却したい物件であっても、売却できない物件というものがあります。それは、市街化を抑制するため原則として建物を建てることができないエリアである「市街化調整区域」です。具体的になぜ売却できないのか、その原因と対象法についてまとめました。

市街化調整区域が売れない原因

市街化調整区域が売れない原因

都市計画法第7条では、無秩序な市街化を防止するために、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に分けています。

市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域や概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域で、東京都の23区内の土地は河川敷を除いて、すべてこれに該当します。

一方市街化調整区域とは、少々乱暴にまとめてしまえば「市街地から離れている郊外や農地が広がる田舎の土地などの区域」のことを指します。
東京都では多摩の一部地域が、神奈川県や千葉県、埼玉県ではかなり多くの土地が調整区域となっています。上記のような市街地を抑制するエリアにある不動産は、居住用としても事業用としてもふさわしくなく、しかも既存の建物を建て替える場合には、都市計画法により行政の許可を受けなければなりません。
金融機関による担保評価も低いので、住宅ローンの申請が却下される恐れもあります。地目が「農地」の場合や、土地の面積が広大である場合など、さまざまな制約を受け、ますます一般的な売買は難しくなります。

また市街化調整区域では、行政による積極的なインフラ整備が施されていません。
たとえ土地を安く購入したとしても、電気がなければ最悪は自己負担で敷設しなければなりません。公道があれば、大抵はガスや水道が敷かれていますが、下水道整備となれば別で、浄化槽の使用も覚悟しなければなりません。
将来的な整備が確約されない点も、評価が下がる原因となります。

市街化調整区域を売るためには

市街化調整区域を売るためには

市街化調整区域で開発・建築を計画した場合、誰がどのような用途で土地・建物を使うのか、個別に審査を受け、許可されなければいけません。

売りたい不動産が土地の場合、許可申請するのは買主になりますが、売主として、その土地が開発可能か否か把握しておく必要があります。
というのも、市街化調整区域でも、地方自治体ごとの条例により開発を認めている区域が指定されていて、「おおむね40~50棟以上の住宅が数十メートルの間隔で集まっている」「上下水道が整備された地域である」「道路に接している」など一定の条件をクリアしたエリアなら誰でも住宅などを建てられるからです(ただし許可は必要)。区域指定が行われている土地なら、比較的、売却しやすくなります。

また市街化調整区域であっても、都市化を進めるための「市街地開発事業」の対象になっている区域もあります。
具体的には「都市計画事業」「土地区画整理事業」「市街地再開発事業」「住宅街区整備事業」などがこれに当たります。これらの事業として開発した区域であれば、建築の許可が不要なので、やはり売りやすいでしょう。

「区域」のほかに「地目」も大切です。
地目は、対象の不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)を取得することで、確認することができます。地目が「農地」の場合、基本的には農地のみでしか売却することができません。
買主が農業をやりたい人なら不都合はありませんが、そのような人を探すのは難しいので、農地の場合は非常に売りにくくなります。農地を宅地など他の目的にも利用できるようにするには、農地転用の申請をし、知事の許可を得なければなりません。

たとえ地目が「宅地」であっても、市街化調整区域の場合は建築の許可が必要です。
ただ、宅地なら少なくとも造成が不要であるうえに、周辺に住宅がある地域が多く、上下水道の整備や道路に接している条件も満たしている可能性も高いので、買主にとっての主な懸案は建築が許可されるかどうかだけになります。農地に比べれば、格段に売却しやすいはずです。

一方、売りたい不動産が建物である場合、「線引き」の前後どちらの物件であるかが重要です。
市街地調整区域の線引きをされたのは1970年(昭和45年)頃で、その前と後では建築許可の要件が異なります。自治体の固定資産課税台帳を閲覧して、建築年月日を確認しておきましょう。

線引き前から建てられた家の場合、元々そこにあった家に対して、後から所有者に厳しい法規制をかけるのは酷なので、規制緩和が行われています。
具体的には、買主が将来建て替えや増改築をする場合であっても、「用途が同じ(引き続き住宅用として建て替える)」「敷地が同じ」「延べ床面積が1.5倍まで」という要件を満たすことで、許可が不要(敷地を拡大する場合は許可が必要)となります。

残念ながら、線引き後に建てられた家の場合は、厳しい制限が課せられます。
過去の許可を引き継げるのは所有者の相続人や近親者だけで、第三者である買主に売却した場合は、家の用途を変更したとみなされ、所有者の変更だけで再許可が必要になるのです。

幸いここで許可が下りても、将来の建て替えや増改築も許可されるとは限らないので、購入をためらう買主も少なくありません。よって、線引き後の建物を第三者に売却するのは難しいといえるでしょう。

どこに売却を依頼する?

どこに売却を依頼する?

市街化調整区域の不動産は流通量が圧倒的に少なく、そのため不動産取引のプロであるはずの不動産会社でも、なかには誤った認識をもっている担当者がいることも考えられます。全般的に物件の評価額が低く、仲介手数料が安くなりがちです。

そのため「実利が少ないから」と、総じて取り扱いにも消極的な傾向があります。その一方で、競争相手が少ないことを逆手にとって、市街化調整区域を専門にしている不動産会社もあります。

市街化調整区域における不動産の売却は、買主の購入目的により開発許可の要件が変わってしまう性質があり、この点は売主側ではどうすることもできません。売れるも売れないも買主次第なのですが、だからといって、開発許可を得られそうな買主に絞って探すのは現実的に厳しいです。

「開発許可を得られないときは契約解除とする」という内容の特約を条件に、売買を交渉してくる買主もいるかもしれません。市街化調整区域に明るい不動産会社に売却を依頼することが、不測のトラブルを避ける助けになるでしょう。

また、新築が許可されにくい土地や建て替えが許可されにくい家であっても、例えば資材置き場や駐車場、太陽光発電システムの設置場所などにすることで、また隣地の所有者と交渉し、隣地を加えた一団の土地として売り出すことで、許可される可能性もあります。

開発許可を得るための様々な引き出しを持っている不動産会社を選ぶことも大切です。

市街化調整区域の制限や不便さは価格の安さに結びつくので、売るのは大変ですが、それゆえに買手の購入意欲を向上させる可能性をも秘めています。
「静かな暮らしを求めて移住したい」「そもそも土地の利用目的が住宅ではない」などの需要に期待して、諦めずに売却にチャレンジしてみてください。

ヨムーノ編集部

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