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カラスはどれくらい賢いの?

  • 2021年03月22日更新

鳥に一本足りない、と書いて「烏」。黒くて大きなあの鳥、カラスは、とても頭が良い鳥と言われます(「鳥」に一本足りないくせに!)。賢いからこそ人が害を被ることもあって、真っ黒な外見ともども嫌われがちな鳥の代表格でもあります。実際には、どれほどの賢さを備えているのでしょう。

カラスは犬・猫よりお利口さん

カアー、カアー。黒い羽を輝かせて飛んでいく、カラス。昔話にも童謡にも登場する、日本人には昔から馴染んだ存在であるカラスは、都会では、ハシブトガラスという嘴の太くて濁った声で鳴くカラスが主です。都会のカラスは、その習性から嫌われがち。東京都中野区では、一年を通じて「ゴミ収集所がカラスに荒らされる」「道を歩いていたら威嚇・攻撃された」と、カラスによる被害が報告されています。野鳥は、人間を警戒して、人がいる所には近づかず、人に近づいても何かをすることはあまりないのですが、カラスは人の近くにいても平気。一般的に「カラスは賢い」と言われます。宇都宮大学農学部でハシブトガラスの研究が行われたことがあります。その結果、脳の重さはニワトリの約3倍、全体重に対する脳の重さは犬・猫より高く、脳細胞が高密度で、知能の高い動物に特徴的な配列構造になっていることが分かりました。他の鳥類とは全く異なる脳の構造を持っていることから、生物学者の間ではカラスは「羽をもった霊長類」と呼ぶこともあると言います。九官鳥は人の言葉を覚えて喋りますが、カラスは九官鳥よりもっと多くの言葉を覚えられるそうです。他の鳥と違い、「遊ぶ」のも、カラスだけの特徴。電線にぶら下がって体を揺らしたり、道路にクルミを置いてタイヤに轢かせて割ったりと、世界各地でカラスの「遊び」が報告されています。これは、カラスの知性の産物であり、都会に住めばエサが豊富にあると知って生活に余裕ができ、「遊ぶ」ことも覚えたと推測されています。カラスの学習能力の賜物ということですね。ゴミを荒らされる人間にとっては、困りものではありますが。

カラスは繊細。習性を知れば、対策が取れて、面白い。

カラスは暗い時間帯に飛ぶイメージがありますが、実際は昼間に餌を食べて夜は眠る昼行性。ゴミを夜間に狙うことはしません。また、カラスは雑食性で、ゴミだけではなくネズミなどの小動物も食べます。カラスにとって生ゴミは、狙うべき対象ではなく、「目についた場所にたまたま餌になりそうなものがあったから食べた」という認識でしかありません。また、餌が豊富にある場所を覚えてしまうので、いちど味をしめたらまたそこへ来ます。近年は防護ネットを張って、カラス対策を取るところが増え、カラスは餌不足を警戒して「貯食(餌を貯め込んで飢餓に備える)」するようになりました。カラスの巣の中には、その食料が貯め込まれており、繁殖期には巣の中にヒナがいます。カラスは実は、非常に警戒心と縄張り意識が強い鳥で、特に3月から8月にかけての子育て中は敵になりそうな存在すべてに攻撃的になります。人に近づくことのないカラスに「歩いていたら威嚇・攻撃され」るのは、繁殖期に入っているカラスの巣が近いため。カラスからすれば、半径20~100m程度と言われる縄張りの中に入ってくる人間こそ、嫌な存在なのです。もともと、カラスの巣は、巣作りしやすい大木や森の中などに作られているものでしたが、開発が進んで樹林が減ったため、餌も豊富な都会の街路樹に巣を作ることを覚えたとされます。カラスによる被害と苦情が増えたのも、そのことが関連しているとも言われます。つまり、カラスの被害は、実は受ける側の人間が生み出したとも言えるのです。カラスにとっては、昔からある習性を繰り返しているだけ。賢い鳥、カラスは、日本神話では天皇の道案内をした「八咫烏」であり、信仰の対象にもなっていました。神話の時代から生きるカラスに、私達人間は昔に立ち返って、もう少し尊敬の念を抱いてみても(?)いいのかもしれませんね。

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