「男の子なのに」「女の子だから」無意識に決めつけてたこと多いかも…自分らしく生きるためのジェンダーレス時代の子育てとは
- 2021年10月18日公開
「ジェンダーレス」という言葉をご存じですか?
ここでの「ジェンダー」とは「男らしさ」「女らしさ」という、なんとなく世間で決められている男女の当たり前のこと。
そんな社会的な決めつけをなくそうという考え方が「ジェンダーレス」です。
中性的なファッションモデルやLGBTQと呼ばれる人たちのメディア露出が増えていることから、聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?
少し重たいように思えるテーマですが、じつはとても身近なことでもあります。
「ジェンダー」・「ジェンダーレス」を正しく理解することで、これからの社会で子育てがぐっと楽になる!
今回紹介する『ジェンダーレス時代の男の子女の子の育て方』(秀和システム刊)はそんな1冊です。
「ジェンダーレス」が教えてくれる現代の子育て
小学1年生になった筆者の友人の娘さん。
小さな頃から落ち着いた色の大人っぽいデザインが好きな女の子でしたが、選んだランドセルはなんと黒!
初めて聞いたときはびっくりしたのですが、実際に背負っている写真を見せてもらうとスタイリッシュでとってもきれい!
一瞬でも「え?女の子が黒なの?」と怪訝に思ってしまった自分が恥ずかしくなりました。
筆者が小学生だった頃は、男の子は黒、女の子は赤かピンクのランドセルという、誰に強制されたわけでもないけれど、なんとなくそんなルールがありました。
ですが、まさにこの感覚こそが「ジェンダー」!
「男の子だから」「女の子だから」という決めつけが、幼い頃から無意識に刷り込まれているのです。
しかしそんな男女差は確実になくなってきていると、著者の佐藤律子さんはいいます。
佐藤さんはウェディングプランナーとしてのキャリアを持ちながら、脳科学や心理学、生物学などから学んだあらゆるコミュニケーション方法を体系化した「異性間コミュニケーション」を考案。
「男性と女性の特性を認め合って活かしていくことで、日常に起こる異性間のコミュニケーションの悩みを誰でも克服できるメソッド」として好評を博しています。
この異性間コミュニケーションに基づき、子どもの育て方についてわかりやすく解説しているのが本書『ジェンダーレス時代の男の子女の子の育て方』です。
「ジェンダーレス」が当たり前になっていく時代。
街中で色とりどりのランドセルや流行のファッションを見ていると、男女の差がなくなってきていることを実感しますよね。
ジェンダーレス化が進むと、性別よりもその人の個性や多様性が明確になり、大切にされるようになります。
「男の子だから」「女の子だから」ではなく、その子自身の好きなものを尊重し、子どもが安心して「その子らしさ」を発揮できる環境を与えることが親の役割であると本書は教えてくれます。
男と女がそろうと最強!?子育てチームのあり方
とはいえ生物学的にいうと、男と女はやっぱり違うと感じることも多いもの。
体格差はもちろんですが、日常生活の中で異性と話していて、その行動や言動に「あれ?」と思うこともありますよね。
佐藤さんによると、これは男は狩猟・女は採集や子育てという役割を与えられていた狩猟時代の名残なんだそう。
仕事や生活での男女差がなくなってきている現代社会において、男女の脳の違いなんて古くさい!と考えるのが今のジェンダーに対する考え方じゃないの?という意見もあるかもしれませんね。
しかし、佐藤さんは「どちらの方が優れている」ということではなく、「男女それぞれの長所を活かす」ことが大切だと語っています。
例として挙げられているのは、アメリカNASAで行われた月面探索の実験。
様々な男女の編成による実験で一番いい結果を出したのは、男女混合チームだったんだそう。
探索が得意な男性、安全確保が得意な女性。それぞれの長所を活かして、安全に効率よく探索を進めることができたというわけです。
置き換えてみれば、これは私たちの日常生活でも同じこと。
仕事や家庭のあらゆる場面で男女の違いを理解しあい、協力すれば、最高のチームを作ることができるっていうことですよね。
子育てにおいても、性別の違いを理解することはとても大切なこと。
最高のチームが、子どもの成長における性別の違いをきちんと理解し、「その子らしさ」を尊重した子育てができれば…たしかに最強ですよね!
性のさまざまなカタチ
世の中には「男」「女」以外に「LGBTQ」「性的マイノリティ」と呼ばれる、多様な性があります。
最近ではそういった人たちのメディア露出が増えたり、公的書類の性別の欄に「その他」が増えたりと、日常生活において目にすることが多くなってきました。
しかし正直なところ、自分自身がその立場にいるわけではないこともあり、本書を読むまではどこか他人事のように考えていた部分がありました。
本書によると、日本には「LGBTQ」「性的マイノリティ」の人たちが10人に1人いるそう。
例えば40人のクラスであれば、4人が「LGBTQ」「性的マイノリティ」だということです。
これには、そんなに!?と驚き。こうして数字で見ると、実はかなり身近な存在ですよね。
もし我が子にLGBTQの友達ができたら?もし我が子自身がLGBTQだったら?親としてどう対応すればいいんだろう…。恥ずかしながら、今まで考えたことがありませんでした。
「性」はとても繊細で、大切なこと。
佐藤さんは、子育てにおいて「性の多様性」について学ぶことは必要だと強く訴えています。
子どもが「その子らしく」生きていくために、親が性についてきちんとした知識を持つこと。
なにがあっても子どもの味方でいること、そしてそれをちゃんと子どもに伝えること。
ジェンダーレス社会に生きていくからこそ、性について理解を深め、自然に「その子らしく」生きていくことの大切さを教えてくれる1冊でした。
『ジェンダーレス時代の男の子女の子の育て方』
著:佐藤 律子
発行:秀和システム
定価:単行本(ソフトカバー)1,650円(税込)/Kindle版(電子書籍)1,485円(税込
【わたし的評価】
満足度 ★★★☆☆
実践度 ★★★☆☆
読みやすさ ★★★★☆
わかりやすさ★★★☆☆
おやこのくふうは、3歳からの「まなぶ・ 運動・食べる」をはぐくむメディアです。心と脳、体、味覚などが急激に発達する3~6歳という大切な幼児後期に親として知っておきたい知育、運動、食育、習い事に関する専門性の高い情報を発信していきます。さらに、おやこで楽しめる動画の選び方や子どもクッキング、折り紙、工作などのアイデアも満載です。
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