うちの子、テレビを観てるとき「お口ぽかん」になってない?小児歯科専門医が警鐘を鳴らす口呼吸のリスクを今すぐチェック!
- 2022年03月07日更新
昨年、新潟大学らの研究チームによって、子どもの約3割に見られることがわかり、ニュースにもなった子どもの口呼吸、通称「お口ぽかん」。
口呼吸によって、口腔環境にどのような影響があるのか、小児歯科専門のクリニック・キッズデンタルを運営する坂部潤先生に子どもの歯のケアについて聞きました。
子どもの“お口ぽかん”の有病率を明らかに -全国疫学調査からみえた現代の新たな疾病-(新潟大学)
口呼吸がもたらす悪影響
口で呼吸するために、いつも口があいている様子を「お口ぽかん」と呼びます。お口ぽかんは
- 鼻の粘膜や鼻毛を通さずに空気が直接体内に取りこまれるため、細菌やウイルスに感染するリスクが高まる
- 口の中が常に乾燥してしまうため、だ液の作用が弱まり、むし歯や歯肉炎などのトラブルを引き起こすリスクが高まる
- 口を開いて食事をする「クチャクチャ食べ」や、発音が不明瞭になってしまうリスクがある
- 口呼吸によって舌の位置が下がりやすく、上あごがきちんと発達しにくくなり歯並びにも影響を及ぼすことがある
- 気道を確保するために顎をあげて背中が丸まり猫背になりやすい
など、多くの影響があります。
医学的には「口腔機能発達不全症」といい、大人になってからでは治療が難しいことなどから近年、検査や指導などの一部が保険適応となりました。
口呼吸の原因
実は口呼吸は口だけでなく、風邪や鼻炎、喉の奥にある扁桃腺が原因になっていることもあります。また原因が複数ある場合もあるので、一つずつ取り除いていきます。
いずれにしても、本人の意思だけでどうにかなるものではなく、「いつもボーっとしていないで、口を閉じなさい」と言わず、きちんと治療をしてあげたいですね。
鼻炎や風邪によるもの
風邪をひいたり、花粉症などのアレルギー性鼻炎がある場合には、鼻が詰まって鼻呼吸ができないのでどうしても口呼吸になります。これが慢性化すると、お口ポカンが習慣化しやすいので、こうした原因が明らかな場合には耳鼻科で鼻づまりの治療をします。
歯並びやあごの発達に問題があるもの
口呼吸によって歯並びが悪くなる場合もあれば、歯並びが悪くて口呼吸になる場合もあります。上顎前突(出っ歯)があると、唇が閉まりにくいので口呼吸になりやすいでしょう。
また上あごの幅が狭くて舌を上げるスペースがない場合にも、口が自然に開いてしまうことも。かかりつけ医に相談して、矯正治療などを検討してみましょう。
扁桃肥大(へんとうひだい/アデノイド肥大)によるもの
喉にある扁桃腺が通常よりも大きくなった状態の場合、呼吸障害や食べ物が飲み込みにくく時間がかかる、いびき、寝起きが悪い、日中眠そうにしているなどの睡眠障害などの症状を引き起こすことがあります。
基本的には、6歳くらいに扁桃腺の大きさはピークになり、8歳〜10歳くらいの時期には縮小していくので、肥大によるひどい睡眠障害などがない場合には経過観察となります。気になる場合は耳鼻咽喉科へ相談してみてください。
子どもの口呼吸の見分け方
まずはテレビを観ている時など、リラックスしている時に口が常に開いてしまっていることに気づくでしょう。
またずっと口を開けているので、慢性的に上唇だけが乾燥していて白くなっていたり、粘膜が厚くなるので唇が厚くなって肌との境目があいまいになっていることがあります。
口呼吸の子は、唇が乾燥しているのが気になって、よく唇をなめるしぐさをすることも。 さらに口がいつもあいているため、前歯が乾きやすく前歯の先端が色素沈着で汚れる傾向があります。
子どものうちに治療を
まずは原因によってかかる診療科が違います。鼻づまりや鼻炎が原因なら、まずは耳鼻科にかかりましょう。あごや歯並びが原因であれば、歯科医が診ることになります。どちらもクセになっていることも多いので、原因を取り除いたら最後にクセの改善を行います。
歯医者の場合には子ども向けの矯正をやっていて、口腔機能まで診てくれる先生がいいでしょう。
口呼吸は大人になると改善が難しいので、子どものうちに気づいて治しておくことが大切です。
***
近年、子どもの虫歯が減ってきて新たなステップとなった口腔環境の改善。大人になってからでは治しにくいので、なるべく早いうちに気づいてあげたいですね。
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