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【気になるお友だち関係】わが子が「あの子が嫌い」と言ってきたとき、親はどんな言葉をかけるべき?

  • 2022年05月28日更新

園でいっしょに過ごすお友だちの中には、どうしても合わない子や苦手な子がいることも。それをわが子が親に訴えてきたとき、どうアドバイスするべきでしょうか。

つい「どうして?」と理由を問い詰めたり、「お友だちのことを嫌いなんて言っちゃだめよ」なんて言ってしまったりすることも…。

気になる子どもへの寄り添い方を「森のようちえん さんぽみち」の園長"のんたん"こと、野澤俊索さんに教えていただきます。

「きらいな気持ちなんだね」とまずは受け止めよう

子どもが園から帰ってきて、神妙な面持ちで「あの子が嫌い…」と言ってきたら、なんだかドキッとしてしまいますね。いろんな子と仲良くしてほしいという気持ちがありつつ、何か意地悪をされているのかもと心配になったりもします。

子どもたちの言葉での訴えは、その真意と結びついていないこともよくあります。言葉はある事柄や気持ちを表現するものですが、上手に相手に伝えるには、まだまだ子どもたちは未熟です。

でも一方で、そんな自分の気持ちの表現として「嫌い」という言葉を使ったのは真実です。ですから、子どもたちの気持ちに寄り添う方法のひとつは、子どもの使った言葉で「そう、きらいな気持ちなんだね」と返してあげることです。

「きらい」という言葉は、大人にとってはとても強いネガティブな意味をもっています。でも子どもがそのままの意味で言っているとは限りません。本当の気持ちはどんなことなんだろうかと、ゆっくり聞いてみることも大切です。

「そうだったんだね」とまず共感したあとに、「どんなところが"きらい"なの?」と聞いてみたり、「何があったの?」と聞いてみたり。気持ちや出来事を聞いてあげているうちに、子どもも気持ちがすっきりしてくることもあります。

そして、そんなお話がひと段落したところで、「じゃあ、これからどうしたい?」と聞いてみると良いと思います。子どもが、自分の気持ちを自分で整理をつけて、これからのことを考えるその道すじを、一緒に歩んでいくようなイメージです。

ケンカの中身よりも"気持ちを伝えようとする姿勢"を認めたい

私の園での出来事です。お散歩からの帰り道4歳の女の子2人が「もうきらい!」「もうあそばない!」と言い合いをしていました。どうやら、遊びに入れてほしい!という一方の気持ちと、もう入れないの!というもう一方の気持ちのぶつかり合いのようです。

どちらも怒ったり泣いたりしながら自分の気持ちを伝えようと一生懸命です。

少し歩いては立ち止まって口ゲンカ。また少し歩いては、を繰り返していました。とうとうそのまま、帰りの会の時間になりました。ふたりはケンカしながら隣同士で座りました。

片方の子が、カバンから絵本を出そうとしましたが、ひっかかってうまく出せませんでした。その子は怒ったまま「ねえ、わたしをたすけて!」ともう一方の子に言いました。言われた子も「わかったよ!」と言って2人で力を合わせて絵本を引っ張りだしたのです。そしてしまいには「ありがとう」と言って仲直りしていました。

園生活の中では、お友だちと上手くいく・いかないは日常茶飯事です。いろいろな気持ちのぶつかり合いが起きますが、そのケンカの中身よりもまずは、お互いに自分の気持ちを伝えようと頑張っていることを認めてあげると良いかもしれません。

子どもたちは、こうしていろんな気持ちを聞くことで、自分の気持ちと相手の気持ちが違うんだということが分かり始めます。

幼児期の子どもは、「自分が楽しければ相手も楽しい」という風に考える性質があります。自分の気持ちと相手の気持ちが一緒だと考えているのです。そして、成長・発達するにしたがって、だんだんと相手の気持ちが分かるようになっていくのです。

その成長の過程で、自分のいろんな気持ちを味わうことや、自分とは違う相手のいろんな気持ちを聞くことは、とても大切な経験になります。「きらい」という言葉になったその気持ちも、子どもにとって視野の広がる経験をしているのだと捉えてみてはどうでしょう。

そうすると、「いろんなひとがいるって知ったんだね」と、頑張っている子どものことを穏やかに見ていられるかもしれませんね。

友だちとの関わりで”多様性を受け入れる心”が育っていく

「いろんなひとがいる」という人間の多様性の中に身を置くことが、子どもたちの健全な社会性を育てます。子どもたち同士、人と人の中で喜怒哀楽を味わい、いろいろな経験をしてこそ、そんな多様性を受け入れる心を持つことができるようになります。

いつか、自分と相手の気持ちが違うことが分かってきたとき、いま感じている小さな自分の心の痛みが、人の痛みがわかる原点になるのです。
そして子どもたちは互いの違いを認め合い、受け入れ合い、価値観も考え方も尊重し合うことができるようになっていきます。

子どものときの"心の経験"は、平和の原点になっていくのです。

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