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14億分買うと6億円当たるかも!?数字の 「見た目」 で人を動かす!【キャリアアップの超基本】

  • 2022年07月06日公開

こんにちは、ヨムーノ編集部です。

元・国税調査官で現在は経営者である久保憂希也さんの著書『数字が苦手な人のためのいまさら聞けない「数字の読み方」超基本』は、数字が苦手な人でもわかりやすく学べるように、身近な問題やクイズなどを盛り込み、楽しみながら数字の読み方、数字を使った考え方を身につける方法を29のステップでやさしく解説しています。

ここでは、その内容を一部抜粋・編集してご紹介しています。

数字の 「見た目」 で人を動かす

「10回に1回の確率で当たる」の当選確率は何%か?

広告を見ていると、「この数字の見せ方はうまいなあ」と思ってしまうことがよくあります。先日もスポーツくじ「BIG」にやられました。

「6億円長者が400人以上も誕生!」社内で打ち合わせ中にこれを見て、思わず社員に「ちょっと『BIG』買ってきて」と言いそうになりました。言いませんでしたが(笑) 。

承知のこととは思いますが、こういったスポーツくじに当たる確率は、ものすごく低いんです。

「BIG」のホームページをよく見れば、1等(最高額6億円)の当選確率は理論上480万分の1と書いてあります。
1口300円ですから、480万口買うと、14億4000円。

理論上は、それでようやく6億円が当たります。
そんなことはちょっと調べればわかるのですが、広告コピーは「数字の魔力」をうまく使っているわけです。

もし、この広告コピーが「480万人に1人が6億円長者になっています!」だったら、買う気がしませんよね。でも、「6億円長者が400人以上も誕生!」と言われると、「自分もひょっとしたら当たるかも」という気がしてくる。
事実は1つでも、数字の見せ方を変えると、相手に与える印象が大きく違ってくるのです。

少し前に話題になったスマホ決済サービス「PayPay」の 「100億円あげちゃうキャンペーン」も、かなりうまいやり方だと思います。
購入金額の20%還元のほか条件を満たすと「10回に1回の確率で全額戻ってくる」という全額還元もあり、利用する人が殺到したといいます。

しかし、「10回に1回の確率」で全額が戻ってくるといっても、「10回買えば必ず1回は全額が戻ってくる」わけではありません。
10回買って1回以上全額が戻ってくる確率は、65%に過ぎないからです。

ちょっと詳しく説明しましょう。

「10回に1回の確率で全額が戻る」ということは、1回買い物をして当たる確率が10%、外れる確率が90%ということです。
10回買い物をして当たりを引く確率は、言い換えると「10回中1回以上当たる確率」です。

これは、「10回すべて外れる確率」を計算して、全体からその確率を差し引くことで求めることができます。

10回すべて外れる確率の計算は、0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9≒0.35(約35%)です。
ですので、10回中1回以上当たりを引く確率は、100%(全体)−35%(10回すべて外れる確率)=約65%(1回以上当たりを引く確率)となるわけです。

この数字がつかめていないと、つい「全額タダになるまで何か買わなくては」と思い込んで、必要のないものまで買って逆に損をしてしまうということにもなります。

数字のうまい見せ方の例としては、全日空が行なった「50人に1人無料」キャンペーン、ビックカメラが行なった「100人に1人無料」キャンペーンも話題になりました。

「BIG」は当たらなくても、50人に1人や100人に1人なら当たりそうです。
実際、旅行で使う航空会社を全日空に替えた人、「どうせ買うならビックカメラで」と思った人は多く、キャンペーンは大成功しました。

じつは、サービス提供側からしてみると、50人に1人無料というのは2%の割引、100人に1人無料というのは1%の割引と同じです。

景品表示法の関係で、無料にできる上限は10万円と決められているので、実際は、もっと低い割引率となるでしょう。

「全員に一律2%引き」と「50人に1人無料」は、キャンペーンにかかるコストはほぼ同じ。
しかし、消費者に与えるインパクトが大きく違います。

「2%引き」ではたいして心が動かないですよね。
世の中には1割引きから3割引きくらい当たり前にありますし、多くの人にとって値引きは慣れっこになっています。

そんな中で「無料=0円」という数字の魔力の効果は絶大だったわけです。

「無料」でも「0円」でも企業が損をしないわけ

このように「全額還元」や「無料」のインパクトは大きいようで、携帯電話もとくに普及時には「0円」でさかんにばらまかれていたものですが、携帯電話にだってもちろんコストがかかっています。0円で配布できるはずがありません。

しかし、サービス提供側は通話料という「ストック」で稼ぐからいいのです。
資金の回収に時間はかかりますが、最初のハードルを下げて契約さえしてもらえれば、あとは確実に収益が上がる仕組みになっています。

数字の魔力を使った広告は、他にもたくさんあります。

「そんなに大サービスしちゃっていいの?」「赤字になっちゃうんじゃないの?」と思うようなことでも、実際はちゃんとサービス提供側に利益が出るようになっているのです。
当たり前ですよね。わざわざ赤字になるようなことをやっていたら、企業は続かないんですから。

数字の魔力に踊らされるのではなく、「その手で来たか。うまいね」と思いながら、数字の「裏」を読む習慣を身につけてください。

【POINT】わかっていても数字の魔力には強いインパクトがある。

「ぼったくり」のトリック

「アンカリング」とは、簡単にいうと、最初に提示された情報に意識が行ってしまうことです。

アンカリングについて面白い実験があるので、ご紹介しましょう。NHKで放送されていた番組「ためしてガッテン」の中で、衝動買いの心理を説明していた回に行なわれた実験です。

ショッピング客にルーレットを回してもらい、出た数字を見てもらったあとでハサミを見せて、「このハサミはいくらだと思いますか?」と聞きます。

60人にこれを行なったところ、ルーレットで200から1000のあいだの数字を出した人が答えた値段の平均は「937円」。
一方、ルーレットで1200から2000のあいだの数字を出した人が答えた平均は「1679円」でした。
700円以上の差があったのです。

さらにハサミの評価を聞くと、安く見積もったグループの人は「見た目だけ」「100円均一で売ってそう」といった意見が多く、高く見積もったグループの人からは「材質がよい」「よく切れそう」といった意見が多く出ました。

ルーレットの数字は、ハサミとは何の関係もありません。それなのに、最初に見た数字に判断がひっぱられているのです。
このように、アンカリングは関係のない数字ですら起こります。

外国で土産物屋に行くと、土地柄によってはとんでもない値段をふっかけてくる店員がいたりするものですが、これは意外と効果があって、買う側としては値切ったと思っていても、相場よりかなり高い値段で買っていたりするものです。

値付けの問題にかかわらず、商談や提案の場でも、まず最初にどんな数字を見せるのか少し順番を考えるだけで、提案が通りやすくなったり通りにくくなったりするわけです。

具体的な方法を紹介していきましょう。

人は得より損を過剰に評価する

買い物といえば、12月も半ばを過ぎたころ、とあるブランドのジャケットが気に入って、買おうかどうしようか悩んでいたことがありました。
普段、買い物にあまり時間をかけない私ですが、そのジャケットは7万~8万円もするので、即断できなかったのです。
半月待てば、バーゲンで安く手に入るかもしれません。そこで、店員さんを呼び止めて聞いてみました。

「このジャケットはお正月のバーゲンセールに出ますか?」
「いいえ、出ない予定です」

待っても安くならないのならいま買おう。そう決心して、私はジャケットを買いました。

ところが、半月後にたまたまその店を通ったとき、私が買ったジャケットと同じものが半額になっていました!

そのときの損した気分といったらありません。
店員さんがバーゲン情報を教えてくれなかったというのもショックですが……。まぁ、予定は予定なので仕方がないのかもしれません。

こういった経験は、多かれ少なかれ誰もが持っているのではないかと思います。

人間は「損したくない」感情の強い生き物です。
たとえば、「50%の確率で1000万円当たるが、50%の確率で800万円を失う」クジがあったとします。

あなたならチャレンジしますか?

期待値を計算すると、(1000万円×50%)-(800万円×50%)=100万円となります。

つまり、期待値から考えると、チャレンジするのが合理的な選択です。
しかし、実際にはほとんどの人が拒否するでしょう。

得をしたい以上に損をしたくないので、1000万円得する可能性より800万円損する可能性のほうが大きく見えるのです。人間はプラスとマイナスを同じように数値通りに認識することができず、マイナス部分を過剰に評価する傾向があります。

バーゲン前に買ってしまったという「損した気分」は、実際の金額の差よりも大きく感じられてしまうわけですね。

そう考えると、何か商品を売るためには、相手に「得」を感じてもらうだけでなく、いかに「損」を感じさせないかもよく考えなくてはいけないということになります。

百貨店などのバーゲンに「第一弾」と書かれていたりすると、「第二弾のときのほうがもっと安くなるのだろう」と感じます。
すぐに売り切れてしまいそうなもの以外は、「もう少し待とう」と思うのではないでしょうか。

しかし、当然ながら店側は少しでも高く買ってほしい。
最後には安くするけれど、その前に買ってほしいんです。それなら「第一弾」とは書かないほうがいいのではないかな……なんて思ってしまうことがあります。

「松・竹・梅」で「竹」を選んでしまう理由

人間の性向に関して、もう1つ面白い話があります。
人はうなぎ屋さんに行くと、多くの人がなんとなく「松・竹・梅」の「竹」を選び、お寿司屋さんに行くと、「特上・上・並」の「上」を選んでしまう。

つまり「3つあれば真ん中を選んでしまう」という行動特性があるといいます。
行動経済学者の友野典男氏の著書『行動経済学』(光文社新書)に、このことに関する実験について書かれていたのでご紹介しましょう。

経済学者のシモンソンとトヴェルスキーは、106人の被験者に対し、3種類のカメラを使って実験しました。

カメラAは品質は劣るが安く、カメラBは品質も値段も中くらい、カメラCは品質はいいけれど高額です。

まずは、被験者にAとBのカメラを見せて、どちらを買うかを選ばせます。
その結果、Aを選んだ人もBを選んだ人も50%ずつでした。

次に、品質がよくて高額なカメラCを加えて、再度3つの中から選ばせます。すると、Aが22%、Bが57%、Cが21%という結果になりました。
3種類にしたことで、真ん中がより選ばれるようになったのです。

シモンソン博士は論文の中で、「消費者が考慮している品揃えのグループに、高価格・高品質の商品を追加すると、元のグループの中における高品質・高価格商品の購買確率をアップさせられる」と述べています(祝辰也「消費者の選好への品揃えの影響」『流通情報』2000年3月号)。

これを応用すれば、売りたい商品の1ランク上と1ランク下の商品をつくればいいことになります。
たとえばお茶の販売なら、最も売りたい「健康茶3000円」のほかに、「高級茶5000円」や「お買い得茶2000円」を用意すればいいのです。

これは、お茶やうなぎといった物の値段のつけ方に限らず、保険でもウェブサービスの提案でも、あらゆるビジネスに応用できる考え方です。

いいものを安く提案すれば受け入れられるわけではないということです。ビジネスを効果的に進めるためには、見せ方においてさまざまな戦略を考える必要があります。

商品の値付けや売り方を考えるに際しては、消費者の行動特性をとらえて考えてみてください。

【POINT】人は、実際に「割安」なものではなく、「割安感」のあるものに惹かれる。

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