建築家・相川直子+佐藤勤さんのブログ「20 | 土地の大きさを考える」

20 | 土地の大きさを考える

2021/06/22 更新

こんにちは。
シンプルモダン住宅を設計する相川佐藤建築設計事務所の佐藤勤です。
常磐線沿線で家づくり設計活動中です。
記念すべき20回目。
今回もよろしくお願いします。

前回は土地の不安要素として、造成工事や地盤改良、
インフラ整備の可能性があるというお話でした。
引き続き、土地よし、家よし、暮らしよしの家づくりを目指しましょう。

統計からみるみんなの土地は?
税金のことを考えても
土地の面積が大きいことは必ずしも良いことではありません。
きっと適正な大きさがあるはずです。
立地条件や法的制限などを確かめながら、必要な土地を入手しましょう。

土地の広さについて資料を漁っていくと、
住宅金融支援機構の調査資料が見つかりました。
2020年8月に発表された「2019年度フラット35利用者調査」。
その主要指標を見ていくと
2019年度フラット35融資利用者で注文住宅の数字は次のようです。
全国の平均値が
敷地面積が247.4㎡(中央値)で
住宅面積が125.8㎡となり
住宅面積の1.96倍が敷地面積のようです。
これを首都圏での平均値でみると
敷地面積が170.8㎡で
住宅面積が125.2㎡となり
住宅面積の1.36倍が敷地面積となっています。
共に2018年度のデータに当たると
1.97倍と1.37倍となっているので、この辺りがある程度妥当な数字であることがわかります。
住宅地域の建ぺい率、容積率を考えると妥当な数字ですし、
平均的なファミリータイプの分譲マンションの面積が70〜80㎡で
「高効率のレイアウト+コンパクトな居室+収納不足」であることを鑑みると
納得のいく数字ではあります。
それでも首都圏では大小の差が激しいことが容易に想像されます。

比較のために建売住宅で見てみると
全国での平均値が
敷地面積が129.3㎡で
住宅面積が101.1㎡となり
住宅面積の1.2倍が敷地面積となっています。
これを首都圏での平均値でみると
敷地面積が110.6㎡で
住宅面積が97.3㎡となり
住宅面積の1.1倍が敷地面積となり、厳しい値となっていることがわかります。
やはりという感じでしょうか。

家族構成からみる土地の面積は?
注文住宅では、3.7人の家族構成(建売住宅は3.2人)で、
「夫婦+子供一人」の数字に近いでしょうか。
「子供二人」となるとどうなのでしょうか。
延べ面積的に考えると、基本子供室6畳が一間増える感じでしょうか?
すると約11㎡の増床なので
敷地面積を大きくすることなく吸収できるのではないでしょうか。
私たちの設計する住宅の場合、
子供二人にそれぞれ個室ということは少ないです。
同性の兄弟姉妹では特にですが、少し大きめな個室を用意し
将来的には家具やカーテンでゆるく間仕切ってもらったり
壁の増築で対応するようなプランを提案しています。
そのために、当初より出入り口を複数用意したり、
面積も家全体の収納を考慮しながら調整します。
家具やカーテンの場合は同性の兄弟姉妹のことが多いです。
また、壁の増築は子供の成長年齢や
住まいのメンテナンスのタイミングがいつか
ということを当初から調整します。
家はいずれにしてもメンテナンスが必要ですから。

家族の成長と共に家も成長します。
これまで私たちの設計したきたお宅では想定外のことも起きています。
例えば、年齢が近く友達や生活環境が比較的共通していた兄弟は
仲が良かったからか兄が大学進学で家を出るまで
小学校からのレイアウトのままで過ごしたようですし、
ものが増えて行きながらもとにかくできる限りの共有をしている姉妹など
お子さんの素敵な成長に喜びを感じます。

話を戻しましょう。
多世帯の時は土地はどうなるのでしょうか?
今ちょっとデータが整理できていません。
おそらくですが、
敷地面積が取れない時はその後の生活の不安もありながらも
一緒に住むことを優先させなくてはならないため
共有させる項目を増やしているのではないでしょうか。
逆に多世帯での家づくりに踏み出しやすいのは面積が取れるときとなり、
必然的に面積は大きくなるはずです。
個室などの生活空間をそれぞれとする分離タイプでは、
床面積が2倍近く必要ですから、当然広い土地が必要になります。
水回りやリビングなどの共有ゾーンが多い共有タイプは、
少し大きめの個室が1〜2部屋増える程度で、
敷地が過剰に大きくなることなく対応できるでしょう。
今回の調査ではわかりませんでしたので、
「二世帯住宅・多世帯の実態」というテーマでいずれ。

経年変化からみる土地の面積は?
先の変化はなかなか見越せないものです。
5年、10年経つと家族構成やライフスタイルの変化が当然のように起きます。
子供の独立(巣立ち)に伴い
各部屋の用途変更でフレキスブルに対応するケースもあります。
高齢化への対応なども心配です。
これは大きくは
家にどう出入りできるか
家でどう移動できるか
家には誰がいるのか
いよいよになったら家をどうするか
などを想定・想像力が必要です。
高齢者の家づくりについても現在調査中。
近日途中報告をしたいと思います。
今回はここまで。

次回からはより詳しく土地について考えていきましょう。

(この項、つづく)

2021/06/22 佐藤 勤 記

この項続きます
次回、6月25日(金)に更新予定です。

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