時代に新風を吹き込む建築家たち

2015.3.20

理系の建築家がつくる「素朴で力強いかたち」

荒木毅(荒木毅建築事務所)

「しゃべるのは得意じゃないんだけど、その代わり嘘はつけないから」。建て主との打ち合わせについてこんなふうに語る荒木氏のモットーは「簡素さ」「潔さ」だ。北海道出身。「牧場のサイロとか、子供のときから幾何学的でキレイなかたちだなと思ってましたよ」と理系ならではのコメントが飛び出す。そんな飄々とした話しぶり中、ときおりのぞかせるのが「人を引き立たせる建築」という強い信念だ。

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

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――北海道のご出身なんですね。

札幌生まれです。北海道大学の大学院を卒業するまで北海道で暮らしました。その後、大手の事務所に務めたあと、1990年から個人事務所をやっています。独立してもう25年になりますね。

――北大・工学部の工学研究科とは……

理系ですね。美術系の学部から建築家になる人もいますが、僕はバリバリの理科系です。そのせいか、建物をつくるときにも、理系的な発想がかなりあるような気がします。

――たとえば、どんなことですか?

まず、建物は骨組みと構造が一体になった「簡素で潔いかたち」にしたいというのがありますね。幾何学的に美しいかたちというか。まずは構造的にシンプルな建物をつくることを心がけています。
 そうすることによって、その空間での生活が引き立つからです。人あっての家ですから、やはり人間が主役でなければならない。家は人の暮らしを色づかせるためのもの、いわば「額縁」である、と。こんなふうに考えているわけです。

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――ウェブサイトには「簡素」「素朴」といった言葉がありますね。

装飾的なものじゃなくて、建物そのもので勝負したいという気持ちを込めています。ヘンな付け足しをせず、潔く、建物だけで力強い空間をつくる。素朴な建物の方が生活しやすいし、コストも抑えられる。さらに、主役としての人を引き立たさせることができます。  たとえば、ヨーロッパに行って小さな教会なんかを見ると、建物は石積みでシンプルそのものです。しかし、それ故に中でお祈りしたりしている人々の営みを調和した光景をつくることができるのです。

――手がけてきた家を見ると、土間があったりして「和」な感じもします。

西洋的な感覚を持っているつもりなんですが、和風だと思われることもよくありますね。きっと「和」というのも「シンプルモダン」のうちのひとつなんだと思います。実際、自然光や風を取り入れたり、
いろいろな用途に使える土間をつくるのは、合理的なんですよ。
なんとなく殺風景だからと壁に窓を取り付けるのではなく、「ここに窓をつけると、光をこう取り入れることができて、その結果、室内はこうなって……」と、すべて効果を計算しながら設計する。そうするとシンプルでも細部まで行き届いた空間ができるんです。

――「理詰め」なんですね。

理系ですから。それにシンプルな美しさをつかむ感覚と、ベテランとしての経験。これが私のウリです。

荒木毅(荒木毅建築事務所)

photo 1981年 北海道大学工学部建築工学科卒業
1983年 北海道大学大学院工学研究科修了
1983年 レーモンド設計事務所勤務
1989年 アーキテクトファイブ勤務
1990年 アレフアーキテクツ開設
2000年 荒木毅建築事務所に改称

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