時代に新風を吹き込む建築家たち

2011.4.22

家づくりは家族の新しい関係をつくる貴重な体験。

出上雅之(アーキベース一級建築士事務所)

建築家と家をつくることは「こだわり派」の人がやることなのだろうか。この問いに出上氏は「いいえ、特別なことではなく、むしろ当然のことです」と語る。その背景には「家族のための住宅」という考え方がある。

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

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――家づくりの第一歩として、どんなことから始めればいいでしょうか。

 お客さんとは「なぜ家を建てるのか、じっくり考えてほしい」という話から始めることにしています。家を建てる理由には、家族が増えたり、もっといい環境に住みたかったり、といったことがあるはずです。しかし、その理由の元をたどっていくと、本当に自分が好きなことや大事にしていることがあります。家族で住むなら、「本当に目指している家族の関係とは」といったことまで踏み込んで考えないと、理想の家はなかなか見えてきません。

――一緒に住む家族の関係も大事ですね。

 面白いことに、家づくりを通じて家族関係が作り直されることがあります。要望をめぐって夫婦喧嘩になって私が仲裁することもあれば、旦那さんの要望を聞いて、奥さんが「こんなことを考えている人だったなんて」と驚いたり、こちらの提案を見ているうちに旦那さんがキッチンに興味を持って「料理をやってみようかな」なんて言い出したり。そんなふうに、家族が何を思っているのかわかるきっかけになることも、自分で家をつくる魅力だと思います。

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――「家を建てる理由から考えるのは大変だ」という人もいるかもしれません。

 建築家が「家づくりは楽しいですよ」と言ったところで、なかなか伝わらないのはよくわかります。実際、家づくりには苦しい場面も多くあります。しかし、それを乗り越えたときに、既製の住宅を買ったのでは味わえない喜びや達成感が味わえるわけです。

――なるほど、「苦しみがなければ喜びもない」と。

 体育会系出身なので、よくスポーツに例えるのですが、お客さんには「苦しい練習を乗り越えて、試合に勝ったときのようなものですよ」と説明しています。もちろん、その苦しみに向きあうパートナーとして、建築家にはどんどん頼ってもらっても大丈夫です。

――最後に、これから家を持とうとしている人にメッセージをお願いします。

 家を持つチャンスは一生のうちにそう何度もありません。その少ないチャンスに既製の住宅を買って、「自分で自分の家をつくる楽しさ」を味わえないのは、あまりにもったいないと思っています。また、家づくりのパートナーとしてハウスメーカーや住宅開発メーカーの営業さんを選ばれる方がいますが、こういう方はあくまで販売のプロです。家を建てるのであれば、やはりその道のプロである建築家に相談いただくのが、ベストな選択だと思います。

出上雅之(アーキベース一級建築士事務所)

photo 1966年 広島県生まれ、1987年 徳山工業高等専門学校 土木建築工学科卒業、 1987年 株式会社 新井組入社、1991年 株式会社 ユーデーコンサルタンツ入社、 2006年 アーキベース一級建築士事務所設立

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