時代に新風を吹き込む建築家たち

2012.07.13

「その人にしか住めない家」をつくる

稲田康紀(設計工房I)

「好きな建築も建築家も特にはなくて、まあだいたい古民家は好きですね」。気負いなく、素朴な言葉で話す稲田氏だが、話が家づくりになると静かに熱気を放つ。「その人にしか住めない家をつくる」という強い言葉の原点には、ひとりひとりの普通の暮らしをていねいに見つめる視線がある。

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

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──建築のおもしろさというとなんでしょう。

私はもともと建築家になりたかったわけではなく、ただ何かをつくる仕事に就きたかったんです。つくるのはロボットでも料理でも、何でもよかった。

それでなんとなく建築の専門学校を受験したとき、面接官に「建築なら形になってずっと残るし、風景だってつくることができるよ」と言われて、「それはいい!」と。

今の仕事でも、紙に書いたものが、現実にできあがる楽しみというのが大きいですね。

──どんな家をつくりたいと思っていますか。

クライアントの生活スタイルに合った家がベストですね。家族で食事をするかとか、家で仕事するかどうかとか、絵を飾るかといった暮らしぶりに合っていなくてはいけないと思っています。

たとえば、持ち帰って仕事をすることがあると聞いた場合、医者なら資料を広げるスペースがいる、エンジニアなら広い作業スペースがいると考えるわけです。

極端にいえば、建て売り住宅が誰でも住めるオールマイティーであるのに対して、私がつくるのは、「その人にしか住めないような家」です。そのために、打ち合わせの時には、クライアントの手や使っている食器など、さりげなく見させてもらってます。

──新築とリフォームで違いはありますか。

新築はもちろんですが、リフォームも大好きです。
「この柱は残しておかないと家が倒れるから……」というふうに、すでにあるものに対して、どうするかを考えていくのがおもしろいですね。これが新築なら、どうにでもできるので。

お客さんにとってもリフォームはいい選択肢だと思います。いまの時代、予算に余裕があるという人は少ないでしょうから、「お金のことを現実的に考えながら、夢を追う」ということができるのがリフォームではないでしょうか。

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──本当に好きなんですね。

長年住んでいる家はやっぱり愛着があるでしょう。そういう気持ちを新しい暮らしでも感じられるのは、リフォームならではだと思います。「父が建てた家だから壊したくないなあ……」とか、そういう想いはものすごく貴重なものだし、こちらとしても大切にしていきたいですね。

稲田康紀(設計工房I)

photo 1998年 大阪府立鳥飼高校卒業
2000年 兵庫科学技術専門学校 建築デザイン学科 卒業
2000年~2006年 福田建築工房 福田浩明氏に師事
2006年~2007年 成喜建設株式会社
2007年 フリーで設計活動開始
2008年 設計工房I 設立

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