時代に新風を吹き込む建築家たち

2017.10.6

「空間」ではなく「空気感」をデザインする

石本輝旭(株式会社 CURIOUS design workers 一級建築士事務所)

もともと建築に興味があったわけではない――。この道に進んだきっかけを聞くと、意外な言葉が返ってきた。「高校くらいからずっとインテリアが好きで、当初はインテリアデザイナーになりたかったんです」。「モノ」より「コト」、建物よりインテリアの話のとき、石本氏の語り口は熱を帯びる。そこに込められた真意とは?

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

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――どうして建築の道に進もうと思ったのですか。

最初はインテリアに興味があったんです。インテリアをデザインする仕事がしたいなあ、と。
しかし、当時はインテリアデザイン関連の資格のようなものはなくて、どうしようかな……、と考えているうちに、「建築士ならやりたいことができるかも」とひらめいたわけです。

――インテリアと建築とはどんな関係なんでしょう?

ふつう「インテリア」というと、照明をはじめ、カーテンや家具、壁の色、床の素材……、といったことですが、僕が造りたいのは、そんなデザインの結果として生まれる「雰囲気」ですね。
建築の世界では、インテリアは最小限にしておくというか、色や柄をつけたがらない人が多い。しかし、僕はそこにデザインの可能性を感じているんです。

――建物のデザインに加えて、ということですか。

そう。まず建物の設計で「空間」という立体的デザインをすることができます。僕はそこにインテリアの要素を加えて「空気感」をデザインしたい。
そのためには、ただカッコいいものを目指すんじゃなくて、ちょっと癖をつけたり、ヌケた感じを出したりして、飽きのこないものにしなければなりません。その上で、住み手が親しみを感じるデザイン、「自分らしい家」と感じるような家ができるわけですね。

――そんな「空気感」をつくるためには、何が重要でしょう?

第一に「新しい家でどんな暮らしがしたいか」ですが、これがすんなり出てくる人は少ないので、コンセプトが重要です。趣味や関心、休日の過ごし方などの話から、潜在的な「やりたいこと」をじっくり掘り下げていきます。
その上で、土地の個性も大事ですね。写真の「展望台の家」は、プライベートを大事にしたい住み手の志向とガケ地という土地の性質をミックスしたデザインになっています。
「住み手の個性」+「土地の個性」で、そこにしかない「空気感」を表現できるのです。

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――最後に、家づくりを検討中の人にメッセージをお願いします。

家は「モノ」じゃない。そこで暮らす「コト」が大事です。ただ見た目のいいデザインを目指すのではなく、そこでどんな暮らしがしたいかをじっくり考えていくと、「自分らしい家」ができると思います。

石本輝旭(株式会社 CURIOUS design workers 一級建築士事務所)

photo 1983年 愛知県大府市生まれ
2005年 名城大学理工学部 卒業
2016年 CURIOUS design workers1級建築士事務所 設立

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