時代に新風を吹き込む建築家たち

2011.7.22

建てることで、地域や社会につながっていく家

土山達也(テラモンテ建築研究所)

オーダーメイドの家というと、自分の好きな形や材質、色に囲まれて暮らすといったイメージを持つかもしれない。ただ、家は住み手のものであると同時に、社会のものでもある。土山氏は「個人や家族の幸せのためにも、地域や社会といった視点は欠かせない」と語る。

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

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──建物以外も設計されていましたね

学校を出てから25歳で一級建築士になるまで、機械設計の仕事をしていました。たとえば大きな橋や自動車工場の製造ラインなどです。明石海峡大橋も一部手がけました。いま住宅の設計をしていても、機械設計をしていたおかげで、あいまいな部分にすぐ気がついたりします。設計精度には自信があります。

──クライアントとの打ち合わせではどんなことを重視しますか?

一番大事にしているのは、なるべく長い時間、何度も話し込むことですね。私は打ち合わせをとても重視していて、半年くらいかけることもザラです。もちろんクライアントの都合を優先しますが、こちらとしては、少しでも長く、何度でも話し込みたいと思っています。

──時間と回数、両方ともですね。

はい。まず家づくりは共同作業ですから、住み手の暮らしぶりをよくつかんだ上で、表面に出てこないクライアントの要望を探り当てないと、いい提案ができません。だから、言ってしまえば「友達以上」くらいの関係をつくる必要があります。

それに打ち合わせを重ねることで、家を建てて住むということをだんだん強く意識するようになるのもポイントです。

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──具体的には、どのようなことですか?

たとえば、家はまず住み手のものですが、俯瞰してみれば、街や社会のものとも言えます。だから、いい家を建てようと時間をかけて考えていくと、自然と、自分の家と街並み、地域社会とのつながりを意識しなくてはなりません。そうすると、社会の中での生き方を考えることにつながってくる。家づくりを通じて価値観や視野が広がるわけです。

──なるほど、家づくりは単純に建物をつくることではない、と。

クライアントの中には、家を建ててから生き方が変わった人もいます。それまで黒いクルマしか買わなかったのに白を買うようになった人もいれば、別の人は、近所の人が「きれいな家ですね」と言ってくれるから、家に上がってもらったりして、それまでなかった近所付き合いが始まったケースもありました。

──それは面白いですね。

家を建てることで、住み手の価値観や考え方に変化が生まれて、新しい生き方をするきっかけにもなるわけです。こういうことも家づくりの面白さですね。

土山達也(テラモンテ建築研究所)

photo 土山達也(テラモンテ建築研究所) 1964年 兵庫県生まれ 1985年 大阪工業技術専門学校建築学科卒業 1985-1997年 機械・建築設計事務所勤務 1997年 テラモンテ建築研究所 設立

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