こだわりポイント
新築当初にはなかった隣家の建ち込みにより、南側に配された広縁付の続き間は光が入りにくく、居住性が悪いため、納戸のような利用になっていました。思い切って広縁を撤去することにより、再びお部屋に光が差し、物置部屋から居間へ生まれ変わりました。広縁を撤去した部分には、居間の外部空間としての濡れ縁とお庭になる予定です。
一般的に住宅のリフォームと言えば、内装の張り替えや水廻りの交換、バリアフリーのための手摺り設置、または新たに床面積を増やす増築などが一般的です。ところが最近では、逆に床面積を小さくして住宅をコンパクトにする「減築リフォーム」も増えていることをご存じでしょうか。そこで今回は、この減築リフォームのメリットをご紹介しましょう。
減築とはその名のとおり、床面積を減らすためのリフォームのことで、増築とはまったく逆の考え方に基づくものです。「リフォームでわざわざ家を小さくする必要があるの?」と思う方もいるかもしれませんが、例えば子どもが独立して夫婦2人での生活となり、いいまの家では広すぎるといったケースなどでは、減築はとても有効なリフォームになります。 最も多い減築工事は、2階建ての2階部分をまるごと取り除き、平屋住宅にリフォームするというものでしょう。減築によって階段の上り下りをする必要がなくなれば、特に高齢者にとっては住みやすさがアップします。また減築後に残す1階部分の間取りを変更すれば、新しい家族構成に対応する効率的な動線をつくることもできるのです。
減築によって部屋数が少なくなれば、その分、冷房や暖房などの効率が上がり、光熱費を下げることができるようになります。また減築時に残す部分の間取りを変更したり、減築に合わせてエアコンの能力を見直したり、あるいは省エネタイプのものに買い換えることなどで、長期的な光熱費の削減につなげることもできるのです。
ふだん使わない部屋でも、湿気やカビ、ダニ対策などのため、定期的なお掃除(メンテナンス)は必要になります。しかし減築リフォームで不要な部屋の数が減れば、お掃除の手間をぐっと削減できるのです。
通常、床面積が増加する増築リフォームでは、役所などに「建築確認申請」と呼ばれる手続きを行う必要があります。減築の場合は基本的にこの手続きが不要なので、着工からリフォーム完了までの期間も短くて済むというメリットがあります。また、床面積に応じて課税される「固定資産税」をダウンできるケースもあります。
ふだん使わない部屋が2階にある場合などは、換気後の施錠をうっかり忘れてしまうケースもあることでしょう。減築によって2階部分を取り除くようなリフォームを行えば、外部からの侵入経路を減らすことにも繋がり、結果的には防犯性能の向上にも貢献してくれます。
建築家がさまざまな工夫を凝らしデザインをした、減築リフォームの事例をラインナップしてお届けします。
築30年以上の木造2階建住宅の全面リフォームです。建築主は若いご夫婦でご主人はこの家で育ちました。新築当時は建て売り住宅で、間取りが細かく大きな空間がなかったため、1部2階の床を撤去して吹抜け空間を造り光が降りそそぐLDKになりました。新築購入後にガレージ上部を増築されていましたが、今回それを撤去し2階のライブラリーの外にルーフデッキを造って快適な外部空間になっています。1階道路側は奥様の彫金アトリエを造り、トップライトから採光して落ち着いて創作できるスペースになりました。室内の仕上げは自然素材でまとめ、特にヘリンボーンのフローリングは大変表情のある床になりました。
2階建てを平屋+小屋裏部屋にする・住みながらの工事を行う!・2×4工法・予算厳守。 などの条件を元に工事業者と念密に工程を打ち合わせた結果、2階で生活している間に1階の工事を仕上げ1階に引っ越後、2階を屋根を残しながら解体と改築を同時に進めるという難工事にトライすることになりました。外観のデザインは軒を深く取り水平ラインを強調、サイディングは普及品ですが質感+汚れの目立たないよう熟考して選択しました。
Copyright© O-uccino, Inc. All Rights Reserved.