建築家だからここまでできた!
家賃や住宅ローンなど、家計の支出の多くを占める住居費。この住居費を少しでも減らすための方法として、「賃貸併用住宅」という選択肢があります。今回は、賃貸併用住宅のメリットやデメリット、そして失敗しないための賃貸併用住宅のポイントなどをご紹介します。
賃貸併用住宅を成功させるポイントとは?
自宅の一部を賃貸住宅として貸し出し、家賃収入を得る「賃貸併用住宅」。1階を賃貸住宅にして2階や3階を自宅にするといったケースや、建物を自宅と賃貸部分とで縦方向に分割するケースなどが一般的です。賃貸によって得られた家賃収入は、住宅ローンの返済に当てたり、生活費として役立てたりすることができます。経済面でのメリットが大きい賃貸併用住宅ですが、賃貸経営を成功させるためには、ローンの返済計画をしっかりと立てながら、安定した家賃収入を得るための空室対策を考えたり、賃貸併用住宅に適した建物の計画・プランを練ったりすることが必要となります。以降ではこれらを踏まえ、賃貸併用住宅のメリットと、成功のポイントを具体的に見ていきましょう。
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住宅ローンが使えて節税もできる!
通常、アパートなどの建設費をローンで支払う場合は、住宅ローンではなく「アパートローン」と呼ばれる投資向けのローンを組む必要があります。このアパートローンは住宅ローンに比べて審査が厳しく、金利も高い傾向にあります。一方、賃貸併用住宅の場合、「自宅部分の割合が51%以上」という条件を満たせば、住宅ローンを組んで建てることができるのです。より低い金利の住宅ローンで賃貸併用住宅を建てて安定した家賃収入が得られれば、月々の住宅ローン返済にも余裕が生まれ、ローン完済後も収入を得ることができます。さらに、賃貸部分のローン利息や減価償却費などは必要経費として計上できるため、節税にも効果的です。ただし賃貸併用住宅は、賃貸部分の収支を踏まえてローンを組むことになるため、返済計画は通常の住宅よりも複雑になります。ファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家に相談し、より綿密な計画を立てることも検討するとよいでしょう。
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空室を減らし、安定した家賃収入を得るには?
賃貸併用住宅にはリスクもつきもの。なかでも大きな落とし穴となるのが、「入居者が見つからない」というケースです。入居者がいなければ空室となり、家賃収入は得られずローンの返済計画に大きな支障を来すことになります。そうならないためには、計画の段階での徹底的なリサーチが求められます。立地はもちろん、周辺地域の人口や年齢層、大学の有無などを調べ、そのエリアにどのような賃貸ニーズがあるのかを探るのです。また、家賃を設定する場合は、周辺の賃貸物件の家賃相場を調べ、その相場とかけ離れた金額にならないようにすることも大切です。その他、賃貸物件として魅力的であることも重要なポイントになりますので、リサーチした結果をもとに、どのような入居者が想定されるのかをイメージし、ニーズの高そうな間取り・内装にするとよいでしょう。ここでもやはり、専門家に相談しておくと安心。調査に関しては不動産会社やコンサルタントなど、間取りや内装については建築家に相談するとよいでしょう。
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いざという時に知っておきたい騒音トラブル対策
同じ建物に他人と一緒に住む賃貸併用住宅では、入居者とのトラブルが起こる可能性も否定できません。なかでも特に多いのが「音」に関するトラブルです。自宅と賃貸部分を上下に分割する場合は床や天井に、左右に分割する場合は壁に、防音材や断熱材を使って十分な防音策を施すことが、騒音トラブルを避けるための必須条件です。また、防音には間取りの計画も重要です。日々の動線のほか、音の出やすい水廻りや配管をどこに配置するかについて、十分に検討を重ねて間取りを決めるようにしましょう。 さらに、賃貸併用住宅を建てる際は、建築家に相談するなどして、将来の用途の変更にも対応できる間取り・構造にしておくことも大切です。例えば、賃貸部分をリフォーム・リノベーションして、将来的には二世帯住宅として暮らすケースもあります。このように用途の変更に対応できる柔軟性も賃貸併用住宅のメリットですが、そのためにはあらゆる自体を想定し、構造・間取りを決める必要があります。
建築家による賃貸併用住宅事例
建築家がさまざまな工夫を凝らしデザインをした、賃貸併用住宅の事例をラインナップしてお届けします。
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HIROO FLAT:地形への応答
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木造3F準耐火構造の賃貸併用住宅
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
お施主様から将来賃貸が可能になる三世帯住宅をご希望されており、狭小地での木三共の試みで、高品質でローコストの賃貸併用住宅が誕生しました。
土を捏ね焼成されたことでヒューマンなぬくもりを感じる、立体タイルによる大型透かし積みスクリーンをインテリアデザインの主要素とし、外壁では同様に手作業による仕上がりを意識させるコンクリートはつり仕上げとしました。カジュアルで寛いだ雰囲気の横溢する住まい空間実現を目指し、住み手が自信をリクリエイトする場を創ろうとしています。程良いスケールの美しいファサードを街並みに対して現出させようともしています。