完全分離型の二世帯住宅をレポート 適度な距離感で快適なニ世帯同居

2015年3月、東京都調布市にて開催された「調布の家」オープンハウス。今回取材を行った家は、年齢も生活スタイルも異なる二世帯の同居をテーマにした「完全分離型二世帯住宅」です。建築家の手によって、それぞれの家族が手に入れた快適な暮らしをレポートします。

若夫婦世帯~子供の成長に合わせて変化できる間取り~

リビング・ダイニング
玄関奥扉を抜けると広々としたLDK。リビング、ダイニング、キッチンそれぞれに仕切りがないオープンな作りなので、一階のどこにいても家族との距離が身近に感じられます。LDKの中央にはカウンターキッチンが配置され、2階への階段、浴室など家族の動線の中心となるように設計されています。また、シンクの背面に収納、隣には大容量のパントリーが配置されており、動線設計も非常に効率的です。 カウンターキッチン前の壁には掲示板となる大きな黒板があり、お子様の落書きスペースにしたり、家族の予定を書き込むこともできます。この黒板はマグネット塗装もされているので、お子様の学校のプリント類などを貼り付けておくなど、楽しさあふれる工夫がされています。

可変性をもたせたことで、将来のライフスタイル

旦那様の個人部屋 玄関 クローゼット 寝室 キッチン前 洗面室 キッチン 2階には、ご夫婦の寝室、子供部屋、旦那様の個人部屋とそれぞれのプライベートルームがあります。ご夫婦のベッドルームには南と東に向いた窓があるので、寒い冬の時期でも暖かな光を取り入れることができます。 隣には広々とした子ども部屋。家具で間仕切ることで個室を二つ作ることが出来るため、お子様の成長に合わせて部屋の造りを変化させられる「可変性」のある空間になっています。窓の先には広いバルコニーがあり、そこから親夫婦世帯の住まいへ出入りできるので、世帯同士のコミュニケーションも問題ありません。

親夫婦世帯~階段の昇り降りの負担を減らした、庭を臨む暮らし~

リビング・ダイニング
親夫婦世帯の住まいも2階建てですが、1階にリビングを中心としたダイニング・キッチン、寝室、ランドリールーム等を廊下が少ない造りで配置し、各スペースの行き来や階段の上り下りの負担を少なくできるよう工夫されています。 また、お施主様の希望により、建て替え前の同じ位置に大きな窓が設置されているので、四季折々の景色が楽しめます。

壁面に設けた大収納で、趣味がもっと充実

ランドリールーム 納戸スペース 玄関 キッチン リビング・ダイニング お父様の趣味部屋 ダイニング・キッチンの隣にあるランドリールームには、洗濯物をたためるカウンタースペースがあり、正面の壁には小窓があります。この小窓はご夫婦の寝室に面しているので、窓を開けて、そこからそれぞれの洗濯物を直接寝室へ持っていくことができ、スムーズな動線を実現しています。そして寝室は、備え付けの家具で間仕切ることができるので、ご夫婦それぞれのスペースも確保されています。 LDKから繋がる階段を上ると、お父様の趣味部屋。音楽鑑賞や演奏がご趣味のお父様のために壁一面に大容量の棚を用意し、大量のDVD等をすっきり収納。趣味部屋のお隣には大きめの納戸が用意され、お母様が大切にされてきた嫁入り道具の家具など、思い出の品々を保管しておくことができます。

ABOUT
今回取材したのは…
kさん邸
Kさん邸
東京都調布市
敷地面積/372㎡
建築面積/164.69㎡
延床面積/238.09㎡
工期/6か月間
この家を設計したのは…
相川直子+佐藤勤
あいかわさとう建築設計事務所
相川直子+佐藤勤
依頼主の喜びの声
両親との同居と、将来賃貸に出すことも考えて、「適度な距離感」を取り、お互いのリズムを崩さずに生活できるような間取りをお願いしました。大変だった点は、二世帯だった為にそれぞれの要望をまとめることでしたが、今回、あいかわさとう建築設計事務所さんは、世帯ごとの意見を聞いてくださり、こちらの要望や分からない点を明確にお答えいただきました。工務店選びに関しても、お二人のお力添えのおかげで、良い工務店に巡り合うことができました。お二人にお願いして本当によかったと思っています。
建築家のコメント
二世帯住宅というのは、いくつかの難しさがあります。これまで別々に暮らし、生活習慣が違うので、干渉されたくないという方もいらっしゃる為、打ち合わせにおいて、お互いの世帯が本音で意見を出しているか感じ取り、ご家族がこれからどのように生活していくか想像して、それを形にする必要があります。今回は敷地が道路に接した部分に対して奥長いスペースだったため、この敷地に
  • 既存の庭はそのまま残す
  • 3台分の駐車場を確保する
  • 将来、分割して賃貸できる構成にする
という要素をどう配置していくかが問題となりました。
そこで、
  • 庭とダイニングの位置関係を以前とほぼ同じように再現
  • 北側をメインアプローチとしてそこに駐車場を設ける
  • 道路から手前が親夫婦、奥が若夫婦世帯という構成
にし、それぞれの窓からお互いの生活が明るみにならず、日光も遮らない角度で窓を設置し、プライバシーと採光を確保できるようにしました。

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