時代に新風を吹き込む建築家たち

2016.4.22

最小で最大を得る、サスティナブルな家づくり

滝川博之(アーキスタジオ)

アーキスタジオの設計理念は、「最小で最大を得る」。つまり、限りある資源を様々な工夫で、有効に使うサスティナブルな家づくりです。コストについても同じです。お金をかけるべきところにかけ、それを最大限に生かします。そんなアーキスタジオが、提案しているのは、太陽光や熱、風など自然の力を積極的に活用する「パッシブデザイン」。自然とよりそって生きる、ここちよい生活を省エネで達成する事です。

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

mainphoto

――建築の道に進んだきっかけを教えてください。

もともと大学は経済学部に通っていたのですが、4年生の時、実家を建て替えたことが人生の転機となりました。私は間取り図やパースを描いて計画に参加しているうちに、建築への思いが強くなり、結局、大学を再受験して建築の道を進みました。大学時代に行った世界の民家の比較研究と、卒業後に2か所の設計事務所で携わった、RC打ち放しの設計、パッシブソーラーが私の家づくりの軸になっています。

――家づくりにおいて、どんなことを大切にされているのですか?

「最小で最大を得る」を設計理念とし、パッシブデザインを提案しています。パッシブデザインとは、自然の力を活かす手法で、21世紀に求められているサスティナブルな設計手法です。例えば「RC(鉄筋コンクリート)外断熱」は、断熱性能をはじめ様々な面で優れていますが、価格が高い。これは車で言うと、ベンツやロールスロイスのようなもので、誰もが買えるものではありません。このRC外断熱のローコスト化にも取り組んでいますが、木造やS(鉄骨)造でも、パッシブデザインの手法でそれに近い性能をひき出すことが可能です。これは、RC外断熱の実績を多く持つ我々ならではですし、お客様に合わせてそういったプランを提案することも私たちの役目だと思っています。
家づくりにおいて皆さん気にされることの1つは、費用面です。費用について、私たちに高級住宅、ローコスト住宅の線引きはありません。投入可能な資金で「お客様の夢以上のもの」を実現することが目標です。そのためには、限りある資源やお金を有効に使い、「最小で最大の効果を得る」ことを大切にしています。それが私たちのパッシブデザインであり、その結果が、サスティナブルにつながっていきます。

  • photo
  • photo
  • photo

――パッシブデザインの認証を受けられているのですね。

パッシブデザインの優劣は、なかなか見極めが難しいのです。そこで、2015年9月に「パッシブデザイン協議会」に加盟し、「パッシブデザイン事業者認証」を取得しました。その認証の際、我々は全国で最初に3つ星と2つ星の評価を獲得しました。また、建築のサスティナブル性能を評価するCASBEE建築評価委員にも2010年から認定されています。

――最後に、これから家づくりをされる方に、メッセージをお願いします。

私たちは、お客様の話をよく聞き十分に理解することが設計者にとって最も大切なことと考えています。ぜひ、遠慮なくたくさんの要望を出してください。最初は無理かと思えることも、解釈を少し変えてみたり、組み合わせ方を工夫したりするなかで、これまでになかった形に昇華することがあります。事実、私たちには、そのような事例がたくさんあります。
家づくりにおいて、すべての元になるのは設計図です。ここに、「最小で最大を得る」ための知恵と工夫、そしてお金を投入するべきです。私たちはお客様の要望に対し熟考を重ねて図面を作成し、現場監督に施工方法を入念に伝え、最終的には見えなくなるようなところも自分の目でチェックし、必要があれば妥協することなく是正していただきます。このような見えないところでの努力が、よい建築を生むのです。

滝川 博之(アーキスタジオ)

photo 1990年 株式会社アーキスタジオ一級建築士事務所 設立
1990年 東京芸術大学 大学院 修士課程 卒業
1989年 ヨーロッパ建築視察旅行
1988年 東京芸術大学 大学院 修士課程 入学
1987年 野沢正光建築工房 勤務
1985年 黒川雅之建築設計事務所 勤務
1985年 工学院大学 建築学科卒業
1981年 法政大学 経済学部卒業

注目の建築家

ISSUE

新着お役立ち記事

記事一覧へ

how to use

建築家オウチーノの使い方

FAQ -よくある質問と答え-

TRUSTe

このページの先頭へ