時代に新風を吹き込む建築家たち

2012.06.15

夫婦の視点で、機能性も楽しさも両立

鈴木恵介+牧野嶋彩子(株式会社空間計画提案室)

家を作ろう! と考えるとき、少し気になるのが、奥さんやほかの家族の声だ。ストレートに夢を追っていいものか、当たり障りのないものにして後悔しないか……。そんなとき、建築家の夫婦に相談できたら、どんなに救いになるだろう。建築家夫婦の鈴木・牧野嶋の両氏はそんな夢と現実の悩みを解決するプロだ。

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

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──ご夫婦で事務所を作って、どれくらいになりますか?

鈴木:もうすぐ10年近くですね。ずっと一緒に仕事してきたこともあって、最近すごく息が合ってきたと感じています。

──お二人で意見が違うこともあるのでしょうか。

牧野嶋:私は自宅で家事や育児をしているので、お客さんの家をつくるときにも、デザインや要望だけでなく「機能性」を大事にしたいと考えています。収納や掃除のしやすさ、動線計画、手入れの簡単な庭造りなど、「育児のしやすさ」「暮らしやすさ」といったことは、常に意識していますね。
鈴木:私はどちらかというと、家づくりの「夢」を大事にしています。ガレージでこんなことをしたい、風呂をこうしたいといった「楽しみ」の部分ですね。

ただ、この「機能性」と「楽しみ」は対立するものではありません。家づくりにとっては両方とも欠かせないものです。家事が楽になれば、遊ぶ時間もできるし、ご主人が家の中で楽しくすごせたら、家庭も円満になり、教育にもいい効果があるわけですから。両方とも必要なことなのです。

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──要はそこでどんな暮らしをするかですね。

牧野嶋:設計するときは、いつも新しい家での「暮らしぶり」をイメージして考えています。私が建築を学んだのは、大学に当時初めてできた女性だけのクラスでしたが、そこで教わったことも、「どういう建物を作るか」のではなく、「暮らしをどう豊かにするか」で考える、ということだったんです。
鈴木:つまり、建物は目的ではなく手段にすぎません。そこで楽しく暮らすという「体験」こそが目的であって、家自体はただの装置です。私たちは家というモノを作ることを通じて、その先にある「体験」を作りたいと思っています。

そのために、設計は二人で協力して完成度を高めます。昔は、互いにダメな部分ばかり指摘し合うこともよくありましたが、今は「それいいね!」という感覚でアイデアを出し合えるようになりました。今後も、互いにいい面を出し合っていきたいですね。

鈴木恵介+牧野嶋彩子(株式会社空間計画提案室)

photo 【鈴木恵介】
1973年5月 埼玉県生まれ
1996年3月 沖縄県立芸術大学美術工芸学部デザイン工芸学科 卒業
1998年3月 中央工学校建築学科 卒業
1998年4月 (株)アーツ&クラフツ建築研究所 入社
2003年3月 (有)佐々木善樹建築研究室 入社
2003年7月 空間計画提案室 設立
【牧野嶋彩子】
1972年7月 千葉県生まれ
1995年3月 日本大学生産工学部建築工学科 卒業
1995年4月 株式会社アーツ&クラフツ建築研究所 入社
2003年7月 空間計画提案室 設立

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