時代に新風を吹き込む建築家たち

2012.07.27

“乗りもの好き”がつくる「100年持つ家」

吉田公彦(アトリエ2馬力)

趣味人である。幅広い関心から、クルマや産業デザインについて語る姿は、まるで乗りもの好きの子供のようだ。そんな吉田氏が追い求める住宅とは「100年持つ家」。意外と単純? いや、そこにはあらゆる分野のデザインに通じる本質がある。

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

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──家庭用品メーカーでもデザイナーの仕事をされていたんですね。

私は、昔から自動車や飛行機などの乗りものが大好きで、はじめはクルマのデザイナーになりたかったんですね。それで、工業デザイナーになる勉強の一環として建築学を学んでいたら、意外とおもしろい世界だとわかって、工務店に入った。でもやっぱりインダストリアルデザインもやりたくて、象印で収納家具などのデザインを。そうしているうちにまた大きな空間を作りたくなって、ついに自分の事務所をひらいたわけです。

──事務所名の「2馬力」というのも乗りものですか?

フランスの国民車、シトロエンにあやかっています。安くて、品質が高く、乗り心地もよく、デザインもシンプル。それもただのシンプルではなくて、フランス的な機能美のシンプル。私にとって憧れのデザインですね。

──ウェブサイトには絵も展示されていますが。

「ヨーロッパ 旅の街から」というタイトルで、東京・大阪・神戸で個展も開きましたし、絵の先生もやっています。絵は一応、趣味と言っていますけれど、地域の独特の暮らしや建物をじっくり観て描くことは、建築の勉強にもなっていますね。

家のプランをつくるときも、住む人の顔を思い浮かべながら図面やスケッチを描いていく。打ち合わせでも、その場でスケッチを描いて見せると、クライアントはイメージを膨らましてくれます。細部まで描かれたコンピューター・グラフィックスより、余韻があるというか、想像を膨らませられる点がいいようです。

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──家づくりで重視していることは何ですか?

ひとことで言うと「100年持つ家」ですね。つまり、孫の代まで、3世代が住めるようにつくる。せっかく建てるのだから、それくらいは持たないと、もったいないと思います。だから構造から素材、愛着の持てるデザインなど、常に「長く持つようにつくるには?」と考えて、本物の素材を使って、骨太の形を作り上げる。たしかにコストはかかりますが、エアコンは要らないし、痛みも少ない。子供や孫も住める。

自動車や電化製品のデザインではよく言われることですが、家も本当にすぐれたものは、時代の波を越えていくことができるのです。

吉田公彦(アトリエ2馬力)

photo 1975年 福井工業大学 建設工学科 建築専攻 卒業
1975年 1986年 (株)長谷川工務店(現 長谷工コーポレーション)設計部等
1986年 1989年 象印マホービン(株) 商品部・デザイン室
1989年 1991年 (株)U.D.D.(設計事務所)設計室
1991年 独立 アトリエ2馬力を設立

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