「中古マンション×リノベーション」というスタイルが人気を集めています。リノベーションにはいろいろな方法がありますが、デザイン性や自由度の高さを求めるなら、「建築家リノベーション」がぜひオススメ。そこで今回は、建築家によるマンションリノベーションの現場レポートを大公開! ある夫婦が建築家オウチーノで出会った建築家とリノベーションを進める一部始終をご紹介します!

取材協力:ハンズデザイン一級建築士事務所

間取り図1 間取り図2

左がリノベーション前、右がリノベーション後の間取り図。リビングに隣接していた既存の和室をなくしてリビングスペースを広げ、一気に解放的な空間に。開き戸もすべて引戸に変更し、暗くなりがちな廊下にも気持ちよい風が通るようになった

工程とポイント

初回打ち合わせ→現地調査→契約~解体→墨出し・配管・配線→下地工事→仕上げ・引き渡し

ここでは実際の事例をもとに、マンションリノベーションがどのような工程で進んでいくのかを、5つのステップに分けて見ていきます。細かな工程は施工会社などによって異なりますが、大きな流れは概ね上記の通りとなります

建築家に要望を伝える(初回打ち合わせ、ヒアリング)

マンションリノベーションの最初の一歩は、建築家との打ち合わせ(ヒアリング)から始まります。ここで、中古物件の図面など、リノベーションする物件の情報に加え、家族構成やライフスタイル、予算、希望するプランなどを建築家に伝えます。どんな素材や設備を使いたいのか、どんな空間にしたいのかなど、具体的な要望がある場合はこのときに話しておくとよいでしょう。逆に、まだ具体的な希望が固まっていなくても、大まかなイメージを伝えておけば、建築家がプランニングをする際のヒントになるので、きちんと伝えておきます。

建築家に要望を伝える(初回打ち合わせ、ヒアリング)画像

建築家に要望を伝える(現地調査)

建築家に要望を伝える(初回打ち合わせ、ヒアリング)画像1

現地調査時の物件の状態。古くなった壁紙やフローリングなど、内装もそのままだ

建築家に要望を伝える(初回打ち合わせ、ヒアリング)画像2

換気扇、コンロ、キッチン周辺。いまは使い古された水廻りも、建築家リノベーションで見違えるような姿に生まれ変わる

ヒアリングで要望を伝えたら、今度は建築家と一緒に実際の物件を見に行く「現地調査」に移ります。現地調査の所要時間は通常、1~2時間程度。現地では建築家が図面などを元に現在の状態を確認し、寸法などを記録していきます。このステップで、依頼主の要望がどのくらい満たせるか、どんなプランが実現できるか、建築家はアイデアを膨らませていきます。依頼主も同行し、間取りの変更がどの程度可能か、水廻りなどの設備が移動できるかなど、細かい質問を直接投げかけてみるとよいでしょう。

プラン完成&工事開始(プレゼン・契約~解体)

プラン完成&工事開始(プレゼン・契約~解体)画像1

設備や内装の撤去を終え、コンクリートの躯体だけが残された「スケルトン」の状態に

プラン完成&工事開始(プレゼン・契約~解体)画像2

コンクリートのスラブが露出した、解体後の玄関周辺。リノベーション後にはここにタイルが張られ、下足入れなどの収納もつくられる

現地調査から1ヶ月後。そろそろ建築家のアイデアが形になり、プランが固まってくるころです。ここで、建築家によるプレゼンテーションが行われます。プレゼンテーションは、リノベーション後の平面図やラフスケッチ、場合によっては3Dパースなどを使って行われます。頭に思い描いたイメージが一歩、現実に近づく瞬間です。プレゼンの後は建築家と契約を結び、いよいよリノベーションが本格的にスタートします。
その後、さらに打ち合わせを重ねてプランを練っていき、計画が固まったところで工事スタート。隣戸への挨拶などを済ませたら、古い内装や設備を撤去する解体工事が始まります。解体工事では、設備や内装、間仕切り壁をすべて撤去し、「スケルトン」の状態に戻します。

完成したプランをコンクリートに描き写す(墨出し~配管・配線)

完成したプランをコンクリートに描き写す(墨出し~配管・配線)画像1

「墨出し」の作業中。コンクリ-トの床や壁に線を引いていき、図面に描かれた間取りの情報を描き写していく

完成したプランをコンクリートに描き写す(墨出し~配管・配線)画像2

ピンクが給湯管、オレンジが電源ケーブル、グレーが排水管。排水管には、水が自然に流れるよう、角度(勾配)を付けている。スペースが限られたマンションリノベーションでは計画がもっとも難しい工程のひとつ

解体工事を終え、まっさらなスケルトン状態になったら、「墨出し」と呼ばれる作業に移ります。墨出しでは、依頼主との打ち合わせを重ねて図面に書き起こした間取りの情報を、実際の床や壁、天井に書き写していきます。一見地味な作業ですが、墨出しされた線をもとにこの後の工事が進んでいくので、とても重要な工程です。
墨出しで間取りや設備機器、水廻りなどの位置が決まったら、今度は給排水管や換気ダクト、電源の配線、ガス管などの配置を決めていきます。配管・配線スペースの確保が難しいマンションのリノベーションでは、計画が難しい工程のひとつです。

仕上げのための”下地”をつくる(木工事)

仕上げのための”下地”をつくる(木工事)画像1

木工事では、スケルトンの状態に、木でつくられた壁や天井の下地がつくられる。工事はいよいよ佳境だ

仕上げのための”下地”をつくる(木工事)画像2

床の工事も同時に進行中。ゴム製の束で置き床にしてスペースを空け、遮音効果や配管のための余裕が生まれ、配置の自由度もアップする。これも建築家のアイデア

墨出しを終えたら、いよいよ最終工程の一歩手前に当たる「下地」をつくる工程へ。この工事は「木工事」と呼ばれ、大工さんが作業を担当します。
墨出しで描かれた線を基準にしながら、木材の骨組みや石膏ボードと呼ばれる板材を使って壁や床、天井の下地などをつくっていきます。下地の状態ではありますが、何もなかったスケルトンの状態から、新しい空間が初めて実際の形になっていく工程です。こうなれば工事も佳境。大工さん以外にもいろいろな業者が現場に出入りし、浴室にユニットバスを設置したり、設備の設置をしたり、配管・配線を行ったりといった作業が手際よく進められていきます。

ついに完成!(仕上げ工事~引き渡し)

ついに完成!(仕上げ工事~引き渡し)画像1

職人による左官仕上げの様子。天井はコンクリートに直接塗装を施し、無機質な質感を楽しめる仕上げに。新築にはない、中古×リノベーションならではの魅力を引き出すための、建築家のアイデアだ

ついに完成!(仕上げ工事~引き渡し)画像2

建築家の提案で、依頼主がDIYで壁を塗装。大変な作業だが、コストの削減にも効果的。「住まいに愛着が持てる」として需要も増えている

床や壁、天井などすべての下地をつくり終えたら、最後の「仕上げ」の工程へと移っていきます。仕上げ工事では、床にフローリングを張ったり、壁・天井にクロスや塗装などの仕上げを施したりしていきます。仕上げの種類ごとに職人さんも違うので、連日、いろいろな業者が出入りし、いよいよ現場の忙しさもピークに達していきます。
その後、約1ヶ月(現場によって異なります)の仕上げ工事の期間を経て、すべての内装の仕上げがついに完了!真新しい新築のようで、どこか味のある、中古×建築家リノベーションの魅力が溢れる空間がついに姿を現します。 最後に、キッチンやトイレ、建具などの取り付けを進めれば、全ての工事が完了。引き渡しとなります。

お施主様インタビュー

中古を購入してリノベーションしようと思ったきっかけ

もともと住んでいた賃貸マンションが手狭になり、子どもをのびのびと育てたい、とマンション購入を検討しはじめました。インテリア雑誌などもよく読んで情報収集をしていたので、初めての購入に、妥協はしたくありませんでした。また、マンションを買うなら、新築よりもコストパフォーマンスのよい中古物件、それを自分たちらしい住まいにリノベーションしようと夫婦で決めていました。
購入には2年ほどかかりました。そして納得できる物件に出会えたわけですが、家族の共有の場をつながった間取りにすること、主人が本をたくさん持っているため、それらを収納ができる書斎を設けたいなど、いろいろありました。
そんな中、建築家オウチーノを知り、「ご夫婦」で活躍されている方に相談をしてみました。女性側の意見をしっかりと汲み取ってくれるという思いから、他にハウスメーカー等にも見積もりを依頼しましたが、最終的にハンズデザインに決めた理由は、構造上の問題をしっかりとクリアしてくれたから。そこが一番の決め手ですね。あと、ハンズデザインさんの事務所がショールームを兼ねていて、私たち好みのナチュラルな雰囲気がとてもよかったということもあります。
ハンズデザインさんからはさまざまな提案をしていただきました。壁は実は私達が塗ったものなのですよ。
海外に在住していたこともあり、セルフペイントには抵抗はありませんでした。ようやく手に入れた住まいに、万感の思いです。

完成予想イラスト

完成予想イラスト

担当した建築家
ハンズデザイン星名岳志・星名貴子さん

ハンズデザイン
星名岳志・星名貴子さん

このプロジェクトは、たくさんの種類の色、素材、設備が選ばれ、表情がとてもカラフルな住まいづくりになりました。工事は、様々な素材がデザインされた形に施工されるたびにこころが躍る楽しい時間でした。お施主様も積極的に現場に足を運んでくださり、壁や木部のペイントで施工に参加してくださるなど住まいづくりを積極的に楽しんでいらしたのが印象的でした。これからのご家族の日常に、そんな時間が続いていくといいなと思っています。

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