FILE 1 賃貸リノベーション×建築家

福岡県福岡市・山王マンション

「新しいものにはない付加価値」を。
建築家×リノベーションで
輝きを取り戻した「山王マンション」

吉原勝己さ有限会社吉原住宅

老朽化に伴う空室率の増加が悩みの種
「古いものの良さ」で勝負をかける

かねてから自社所有物件の空室の多さに頭を悩ませていた「山王マンション」オーナーの吉原氏。1967年に建てられた「山王マンション」は経年による老朽化が進んでおり、バランス釜のお風呂や、バルコニーがないこと、また、細かく区切られた使い勝手の悪い間取りなどがネックとなり、空室が目立つようになっていた。簡易的なリフォームを繰り返したり、家賃を下げたりすることでなんとか入居者は確保していたが、今度は次第に家賃の滞納が目立つように。

そんな中、ある日偶然目にした米国の雑誌記事で、「リノベーション」の存在を知った吉原氏。このままその場しのぎのリフォームを続けるより、思い切ったリノベーションで「山王マンション」に新たな付加価値を生み出したいと考えたのだった。

とはいえ、当時はまだ日本では「リノベーション」という言葉があまり知られていなかった時代。リフォームの専門業者からは、思うような提案を受けることができなかった。そこで吉原氏は、これまでの単純な「リフォーム」にはない、古いものの魅力を生かした空間づくりをめざし、ある経営者の集まりで知り合った建築家の信濃氏に依頼を持ちかけた。

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問題点
  • 建物の老朽化が進み、古くなった間取りや設備などが敬遠されて空室が目立つようになっていた
  • 部分的なリフォームで一時的に入居者を増やすことはできたが、今度は家賃の滞納などの問題が
  • その場しのぎのリフォームを繰り返すのではなく、「古いものの良さ」を生かして、建物そのものに新たな付加価値をもたらしたいと考えた

建築家・信濃康博さん

「生まれ変わった流木オブジェは
“古きよきもの”の象徴なのです」

単純なリフォームではなく、古いものの魅力を新たな付加価値に変えるような改修を―――
「リノベーション」という聞き慣れない言葉に対峙し、建築家の信濃氏は何を思ったのか。

建築家・信濃康博さん

建築家・信濃康博さん1965年新潟県生まれ。1984年宇都宮大学建築工学科、1988年宇都宮大学修士課程卒業後、デザイン事務所勤務を経て、1994年 信濃設計研究所を設立。現在、福岡と埼玉を拠点に「新築」と「再生・リノベーション」の2本柱で幅広く活動中。

信濃康博さん
プロフィール

天井に現れたコンクリートスラブも“味”になる

当時はまだ「リノベーション」という概念が一般に普及する前でしたから、オーナーの吉原氏とともに手探りで進めることになるのだろうな、とは予感していました。それでも、「単にキレイにするだけなら新築に住めばいい。古いものには、新しいものにはない価値があるはず」という吉原氏の想いに共感を覚え、「山王マンション」のリノベーションをスタートさせました。予算に制約もあったので、壁や床などの内装材や一部の水廻り設備は新しいものに更新しつつも、全面改装ではなく「古くて“味”のある部分」はあえて残し、昔の建物の良さを残すことで、新築にはない付加価値を備えた空間づくりを目指しました。最初のリノベーション物件となったのは407号室ですが、この部屋の天井は既存のコンクリートスラブを現しにして見せています。これも、“味”のひとつであり、賃貸物件ならではの遊びごころですね。
407号室はもともと、各居室が細かく区切られていて使い勝手が良くありませんでした。そこで一部の間仕切壁を取り払い、広がりのある空間を目指しました。壁に曲線の穴を空けて視線の抜けをつくったり、飾り棚を設けたりして、視覚的にも広さを感じられるようになっています。

流木のオブジェに込めた意味

それからもう1つ、この部屋の中心には、ちょっと珍しい流木のオブジェを飾っています。このオブジェには、『山王マンションの姿をこの流木に重ねて見て欲しい』という想いを込めています。流木というのは、極端に言えばゴミのようなものですよね。それでも、こうして手を入れて飾ることで新たな輝きを放つんです。それはこのマンションも同じだと言えるのではないかな、と。古いからこその価値というものがあることを、この流木を通して多くの人に知って欲しかったのです。

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after
リノベーションプランのポイント
  • 不要な間仕切壁を取り払い、開放感のある一室空間に
  • 設備や内装は一部更新しつつも、“味”のあるものを残して中古+リノベーションならではの見せ場を
  • 壁に曲線状の穴や飾り棚の穴を設けて視線の「抜け」をつくり、開放感が感じられるように
  • 現しのデッキプレートや青い差し色の壁で、賃貸物件ならではの遊びごころを演出
    部屋の中心に流木のオブジェを設け、古いものならではの魅力がより感じられる空間に

~「山王マンション」のその後~

現在に至るまで、山王マンションは全45戸中31戸がリノベーションによって生まれ変わっています。そのうち建築家の信濃氏が手がけたのは5戸。これらの独創的な空間は、山王マンションがその後、メディアにも取り上げられ、福岡ではある種のブランドと言われるほどの人気物件となるきっかけになりました。
当初は、リノベーションという言葉が知られていなかったこともあり、その価値を認めてくれる人も多くはありませんでした。しかし今では、古さと新しさが同居したこのマンションの魅力を理解してくれる方も増え、入居希望者も後を絶たないそうです。そうして同じ価値観を共有できる住人が集まることで、マンションが1つのコミュニティの母体として機能するようになり、まるで住人全員が家族のように暮らせる建物に生まれ変わりました。

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建築家・信濃康博さんが手掛けた山王マンション・リノベーション事例。
左から305号室、402号室、502号室。

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