FILE 2 賃貸リノベーション×建築家

愛知県名古屋市・OS STAGE

“最低限の手入れ”でもデザインが光る
建築家とのコラボでよみがえった
「OS STAGE」

オーナーM氏

オーナーのM氏が購入した時点で築30数年が過ぎていたという「OS STAGE」。立地など不動産的な価値を考慮し、「リノベーション費用込みでも収支はプラスになる」という確信のもと、購入を決意した。M氏はもともとこの建物に「古いながらも何か光るもの」を感じていたという。しかし、築年数が古いことから、そのままの状態で入居者を集めるのは簡単ではない。そこで、「柔軟な発想で、リフォーム専門業者にはない面白い空間に」との期待を込め、設計をTOFUに依頼した。収支プラスは見えているが、逆に言えばリノベーションに使える予算も明確、ということ。そこで、内壁の塗装や一部の設備をのぞき、更新は最低限にとどめることに。ただし、外観や共用部など、入居希望者の目に触れる部分については特に力を入れてほしい、と依頼した。

このエリアでは、「緩やかにつながる大きな一室空間」よりも、単純な部屋数が重視される傾向が強いことから、3DKや2DKを広い1LDKに改修する今時のリノベーションにはやや抵抗があった。しかし、収支のプラスが明確になっていたため、「せっかくなら面白いことをやろう」と考えたことも、建築家に依頼をするきっかけの1つであった。

before 1
問題点
  • 格安ではあったが、不動産の購入時点で築30数年と古い建物であった
  • 築年数が古いため、設備や共用部の老朽化が進んでおり、入居者が集めにくい状態であった
  • 購入時から投資できる額が決まっていため、内装や設備の更新にかけられるコストは少ないが、それでも入居者に魅力的にうつるような室内に

建築設計/TOFU

「不要なものをそぎ落とす“引き算”で、
シンプルかつ心地よい空間を目指しました」

使用できる予算がはっきりと決まっている中、最低限のコストで最大限の効果が求められる案件。TOFUの小川氏と東野氏はどのようなコンセプトで設計に望んだのか。

建築家・小川文也さん・東野友信さん

建築家・小川文也さん1978年徳島県生まれ。2004年関西大学大学院博士課程前期課程修了後、2004年 楠原一明+アーバンフォルム建築研究所入所、2009年 TOFU共同設立。

建築家・東野友信さん1979年福井県生まれ。2004年関西大学大学院博士課程前期課程修了後、2005年 (株)コンパス建築工房入社、2009年 TOFU共同設立。
関西圏を中心に、全国各地で住宅、店舗、酒蔵、庭、リノベーションなど、幅広く手掛ける。「どこにもない深みのあるデザイン」には定評がある。

TOFUプロフィール

“引き算”の設計でシンプルな空間を目指す

予算に明確な制限がありましたので、全てを新しいものに更新するというわけにはいきませんでした。そこで、今あるものから不要なものを取り除き、最終的にシンプルで心地よい空間を作るという、いわゆる「引き算」の設計を心がけました。間仕切壁を撤去して空間を広げる「引き算」を行いつつも、空間のポイントとなる部分だけは最低限、新たに追加することで、最小の手間で最大の効果を得ようと考えました。今回の事例で言えば、木製のカウンターがそれに当たると思います。キッチンは構造用合板を幾重にも重ねて、木口をきれいに加工してつくったローコストなカウンターです。大きなカウンター(机)の方はメラミンの化粧板です。特別な材料を使ったものではありませんが、こうしたシンプルで使い勝手のよい家具は、使い手を選びません。住まい手のライフスタイルに合わせてどうとでも活用できますから、画一的になりがちな賃貸マンションでの生活に幅を持たせる効果も期待できると思います。

塗装だけでもファサードの印象が一変

外壁は特に人目に付く場所です。予算が潤沢なら全面をやり替えることも考えられますが、今回は最低限の手入れで最大の効果を得る必要がありました。そこで、もともとコンクリート壁にサイディングで仕上げていた壁に、その上から塗装をかけるだけという最低限の手間で外観のイメージを変えることにしました。結果、ダークブラウンをベースにしたグラデーションと、白く塗り直したベランダ部分とのコントラストが映え、個性と高級感のあるファサードとなりました。ベランダの手すりの脇には新たにアルミのパンチングメタルも設置して、プライバシーを守りつつも通風を確保できるベランダになっています。
予算の都合上、大がかりな変更はしていませんが、最低限の手間でも大きな効果が得られるということを今回は感じていただけたのではないかと思っています。

before
after
リノベーションプランのポイント
  • 不要な間仕切壁を取り払う“引き算”の設計で、シンプルな空間を実現
  • 予算の都合で設備や配管の更新は最低限に留めたが、見せ場の「木製カウンター」で心地よい空間に
  • 玄関戸やコンセント、湯沸かし器などはそのまま残した。それがかえってノスタルジックな雰囲気を醸し、魅力の1つとなっている
  • 共用部は真っ白に塗装することで清潔感と明るさを演出
  • 外壁は既存の壁に塗装をしたのみだが、ファサードの印象を一変させている

~「OS STAGE」のその後~

購入金額に比較して不動産価値が高く、「収支の心配はなかった」とオーナーのM氏が語った「OS STAGE」。急いで入居者を探す必要もなかったため、リノベーションをした12戸中4戸の部屋はかなり強気の賃料を設定していたそうです。しかし、見学依頼はコンスタントに来るものの、入居には至りませんでした。そこで最近、適正価格に改定したところ、すぐに1戸の入居が決まったそうです。

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