建築家だからここまでできた!
バリアフリーという言葉が世の中に知れるようになってだいぶ経ち、もう耳慣れた言葉になっているのではないでしょうか。公共施設や乗り物などでバリアフリー化が進む中、個人の住宅ではそれぞれ事情が異なります。 バリアフリーとはどういうことなのか?を改めて考えながら、住宅の中にどのようにして取り入れていけばいいのか、今回の記事で触れていきましょう。
バリアフリーの考え方
バリアフリーと聞けば、だいたいの意味はイメージがつくと思います。これは障碍者や高齢者などの社会的弱者が、社会生活に参加する上で支障となる、物理的または精神的な障壁を取り除くための施策のことを言います。 公共施設などで言えば、玄関の階段などの横などにスロープがあったり、多機能トイレが代表的なものですが、駅の券売機のお金の投入口などが低い位置にあるのも、実はバリアフリーの一つなのです。 このように公共施設などでは様々なところでバリアフリー化が進んできています。
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住宅でのバリアフリー
都市部で庭を作る十分な広い敷地を得るのはなかなか難しいこと。 では、ここで住宅の中でのバリアフリーを考えるとき、どのようなところを意識すればいいのか考えてみましょう。 まずは住宅を建てる上で必ず生まれるのが段差。階段や部屋の境などには構造上避けられないこともあります。そういった場合、スロープなどを設置したり、屋内同士の段差であれば敷居や排水溝などの設置で段差を解消することができます。 また、玄関や浴室、トイレ、階段など立ったり座ったり、昇り降りがあるところなどはできるだけ手すりをつけるのがよいでしょう。また、滑りにくい床材や杖や車いすなどが引っかからないような段差の緩和なども考慮しておくほうがよいでしょう。 車いすを使うことがある場合は、玄関や廊下幅を広くするなども検討しておく必要があります。
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経験豊富なプロにアドバイスを
一見メリットばかりの中庭付き家ですが、当然デメリットもあります。 住宅のバリアフリーについて一般的なものをご紹介しましたが、健常者が日常生活する中では全く気付かないようなところに障害があることもあります。例えば、畳と敷居の境目に杖が滑り転倒してしまったり、トイレなどの狭い空間でペーパーホルダーやタオル掛けに引っかかり転倒するといったケースもあります。 既にバリアフリーをご検討されているのであれば、バリアフリー住宅の経験が豊富な建築家に相談して見るとよいでしょう。 また、リハビリセンターなどの方にアドバイスを頂きながら、ということもぜひオススメします。
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バリアフリーを考える
前述のようにバリアフリーは社会的弱者にとって生活上障害になるものを取り除く施策のことと言いましたが、バリアフルという考え方もあります。これはあえて何かしらの障害(バリア)を残しておくことで、身体の弱化を抑制しようという考え方です。 日常生活の中で補助や支援が必要な方にとって、自力で生活をするためにバリアフリーは必要ですが、初めからバリアフリーを考えるのではなく、今後の生活を見据えながらバリアフリーとバリアフルのバランスを考えていくと良いのではないでしょうか。
建築家によるバリアフリーの家事例
建築家がさまざまな工夫を凝らしデザインをした、バリアフリーの家の事例をラインナップしてお届けします。
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スキップテラスの家
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狭小地のバリアフリーローコストハウス
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
43条但し書き通路の許認可から始まり、狭小地での住まいの建替え計画。冬暖かく夏涼しい住まいを1000万台で実現させた。
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Shimokitazawa House
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
経済的に余裕のある生活を送るという要望から、1階には賃貸住戸を2つ設け、2,3階に施主住戸を設置する計画としました。玄関アプローチを共用とすることで人が集まり、コミニケーションが生まれ、活気あふれる元気な家になれるのではないか・・・そんな想いを込め設計しました。また、施主住戸の2,3階にはトップライトの有る「吹抜け」を配置。明るく上下をつなぐ計画としています。 各階が分断されがちな3階建てですが、人が集まり、縦空間を吹抜けにより繋ぐことで、人同士が平たく触合う、豊かな住まいとなっております。
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関町の2世帯住宅
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
親世帯と子世帯、お互いの床レベルは半層ずれているため視線が交わることはないが、庭木越しに光がこぼれ、リビングの雰囲気を伝える。親世帯の廊下とそれに沿って二棟に挟まれた中庭は、子世帯の屋内からはほとんど見えることはないが、樹木や壁に映る照明やブラインドの影で人の動きのあることが分かる。
坂に面して建つ住宅です。敷地の高低差を利用して、外部空間に地上から2階まで、段差のある外部空間を形づくり、室内と結びつけることで、多様な住空間を展開しました。白い四角の外観の中に、内部、外部、吹抜等を立体的に組み込み、広がりのある建築空間をめざしています。