建築家だからここまでできた!
お子さんのいる家庭では、マイホームの間取りを考える際、子どものためのスペースをどこに、どのように取るかは大きな悩みどころとなります。子どもの年齢によって必要な間取りは異なるうえ、子育ての考え方も家庭によってさまざまだからです。では、子育てに最適な住まいとは一体どのようなものなのでしょうか。今回は、子育てに重点を置いた「子育てハウス」のポイントをご紹介します。
子育てに求められる間取りのポイントとは?
子どもを持つ親にとって、子どもの「躾(しつけ)」は永遠のテーマ。そうしたなか、多くの親が最も重要視しているのが、あいさつや片付けといった「基本的な生活習慣を身につけさせること」であるという調査結果も出ています[※]。子育てハウスには、子どもにこうした習慣を身につけさせる工夫が求められると言えるでしょう。そのほか、子どもの様子がどこからでもうかがえる開放的な間取りや、コミュニケーションを取りやすい動線計画、子どもの成長に合わせて用途を変更できる間取りも、子育てハウスの大きなポイントとなります。以降では、これらのポイントを踏まえ、子育てに求められる間取りの考え方について具体的に見ていきましょう。
※ 出典:オウチーノ総研「『子どもの躾(しつけ)』に関する実態調査」(2014年)
-
自発性を育む「収納計画」を!
「子どもが自ら進んで片付けや家の手伝いができるようになってほしい」。親なら誰でもこのような願いを持っているはずです。そのためには、ただ口で言って聞かせるだけでなく、住まいのなかに子どもの自発性を育む工夫を採り入れることが重要になります。 例えば、開閉がしやすく、背の低い扉の付いたウォークインクロゼットをつくると効果的です。子どもでも手が届く場所にこうした収納があれば、おもちゃや本などを自発的に片付ける習慣が身につきやすくなります。また、スキップフロアの段差を収納に活用したり、階段の下を収納にしたりする方法もよいでしょう。これなら、子どもが楽しみながら基本的な生活習慣を学ぶことができます。こうした手作りの収納やスキップフロアは建売住宅などでは実現が難しいケースもありますので、収納のプロである建築家に相談するのがオススメ。子育てはもちろん、家の中のデッドスペースを存分に活用できるはずです。
-
子どもとのコミュニケーションを重視した間取り&動線
建売住宅などでは、壁や扉で仕切られた個室を子どものためのスペースとしているケースが多く見られます。しかし、小さな子どものいる家庭では、家中どこからでも子どもの様子がうかがえる間取りが理想的です。また、家族間のコミュニケーションを活発にするためにも、個室を複数つくるのではなく、全体をオープンにしてつなげた開放的な間取にし、その一部に子どものスペースを設ける方がよいでしょう。 具体的な方法としては、リビングを吹き抜けにして上下階につながりを持たせたり、「子ども部屋へ行くときは必ずリビングを通るように」という動線にしたりする、というものがあります。勉強のための場所も、個室ではなくリビングから目が届く場所にフリースペースを設けるとよいでしょう。こうした間取り・動線を得意とするメーカーや、子育て経験のある建築家をパートナーに選ぶことも、子育てハウスの重要なポイントです。
-
子どもの成長に合わせて可変する間取り
個室型の子ども部屋には、コミュニケーションが図りにくいという問題だけでなく、いつか子どもが成長して家を出た後に、その部屋が使いにくいものになってしまうという問題もあります。将来に備え、子ども部屋には可変性のある間取りを検討したいところです。たとえば現在2人のお子さんがいるのなら、個室を2つつくるのではなく、大きな1つの部屋を間仕切って使うという方法があります。間仕切りは取り外しのできる建具やカーテンのほか、移動可能な家具を使うのがオススメ。必要に応じて2部屋として間仕切って、子どもの独立後は大きなスペースとして使うことができます。
建築家による子育てハウス事例
建築家がさまざまな工夫を凝らしデザインをした、子育てハウスの事例をラインナップしてお届けします。
-
堺の家4
-
House in Sayama
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
小さい敷地ながら一段高くなった東南の角地であり、背後にはくぬぎの雑木林が美しく広がっていてとても印象的です。乳児を抱えた若夫婦にとって恵まれた敷地条件を活かそうと、白を基調に伸びやかなインテリアとし、ゆったりとした大らかな空間にしています。リビングダイニングルームを芯として、ハイサイドライトからの光を室内に充溢させ明るい光に優しく包み込まれるような雰囲気を作り込みました。
-
home KZ
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
リビング・ダイニングを真ん中に挟んで 北側にはエントランスと水廻りを 南側には寝室や子供室などの個室群をシンプルに配置しました。
また、リビングと子供室は4枚の木製ガラス引戸で仕切ることで、 子どもさんが小さい時、青年になった時、そして独立された時、 多様なシチュエーションにフレキシブルな対応ができるように計画しました。 -
元気あふれる狭小住宅
-
別所邸
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
敷地の広さに対しての建物のボリュームが大きく見え、斜めの外観がより存在感を引き立たせる木造の住宅です。玄関とウッドデッキの木格子がプライバシーを守りつつ、窓が適所に配置されているため室内から外の景観を楽しめ、さらに、室内に光が多く入るので快適な時間が過ごせそうです。
-
小牧I様 嫁さんが住みたい家
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
生活スタイルが充実するように、生活動線・家事動線を良く考えた間取りに仕上がっています。1階1フロアスタイルで広いLDKにお子様のスペースと階段下を利用した本棚、奥様のキッチンから繋がった家事室。釣りが趣味のご主人のための魚の調理スペースを設け、家族みんながLDKで集う中、目の届く範囲に各々のスペースを確保しています。外観はミルクたっぷりのカフェラテのようなかわいい色で明るい家に仕上がりました。
自然を感じることができ、日常的な空間が欲しいとの要望から、変形した敷地に沿った形で中庭を取り囲むコの字型のプランとしました。道路からは間口が狭く、内部のプライバシーが保たれているので子どもたちは安心して中庭で遊ぶことができます。