「この部屋、思ったより狭くない？」の謎に迫る。あなたの知らない「畳」の世界【O-uccino（オウチーノ）】

思いのほか奥深い畳の種類と歴史

ひとことで畳といっても実は種類がいろいろ。その代表が、京町家など関西を中心に使われる「京間」、関東をはじめ東北や北海道などの「江戸間」、東海地方が中心の「中京間」、集合住宅で採用される「団地間」です。

そもそも畳は縄文時代に植物で編まれたムシロが起源とされ、現在に近い形となるのは平安時代。貴族の邸宅で置き畳として使われ、身分に応じてサイズや縁の色が決められました。武家の書院造が広まる鎌倉・室町時代には部屋全体に敷くようになり、数寄屋造が誕生する江戸時代には茶道の普及と相まって利用が拡大。畳奉行や畳職人が現れる江戸中期からは庶民の間にも徐々に浸透し、明治以降に一般住宅でも普及していきました。

これらの歴史において地域ごとの違いが生まれた理由は、主に2つの説があります。関東の5尺8寸、関西の6尺5寸など、地域によって田畑の課税基準となる「1間」が表す長さが違ったというのがその1つ。秀吉の太閤検地で6尺3寸、江戸時代には6尺と改められるうち、1間を基準にした畳にも地域差が生じたとも。もう1つの説は住宅の建て方の違い。畳を並べた広さに合わせて柱を組む関西の「畳割り」に対し、関東では柱を立ててから畳の大きさを決める「柱割り」が採用されたからだともいわれます。

基準になる畳によって
部屋のサイズが変わる

畳の種類による具体的なサイズと面積は以下のとおりです。

［京　間］

6尺3寸（1909mm）×3尺1寸5分（955mm）＝約1.82m²

［中京間］

6尺（1818mm）×3尺（909mm）＝約1.65m²

［江戸間］

5尺8寸（1758mm）×2尺9寸（879mm）＝約1.54m²

［団地間］

5尺6寸（1697mm）×2尺8寸（848mm）＝約1.44m²

一見すると大した違いに感じないかもしれませんが、面積を6畳の部屋で換算してみると、京間は10.94m²、中京間は9.91m²、江戸間は9.27m²、団地間は8.63m²。最も大きい京間と最も小さい団地間の差はなんと2.31m²、畳1枚分以上も違うことに。さらに広い部屋になるほどその差は広がっていきます。最近はハウスメーカーなどによって住宅の規格化が進み、全国的に江戸間が多くなっているようですが、一部では今もこれらの伝統的なサイズを用いるケースがあるので注意が必要でしょう。

ただし、不動産広告に関しては誤解やトラブルを防ぐため、公正競争規約で1800mm×900mm＝1.62m²以上を1畳と取り決めています。LDKや洋室の広さもこの基準で計算され、最近は畳の枚数を表す「○畳」ではなく、広さを表す「○帖」と表記することが多くなりました。和室も原則として同様の基準が適用され、江戸間や団地間なら本来1.62m²で計算しなおす必要がありますが、単純に畳の枚数で表記されることもあるので、これまたややこしい…。

というわけで、部屋選びにあたっては最終的に面積（m²）で確認するのが鉄則ですが、まずは下見の際にゴロンと寝転がってみては？ 「あれ!? 身長が伸びたかな」と感じたら、それは畳が小さいだけかもしれません。そもそも畳の魅力といえば、じかに座ったり寝転んだりしやすいこと。見た目や肌触りのぬくもりだけでなく、部屋の湿度を調整する機能などもあるので、日本が誇る畳文化を改めて見直してみるのもいいかもしれませんね。