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統一ルールで、業界が大きく前進

2011年3月11日掲載

日本の民間賃貸住宅は約1340万戸ある。これは全住宅ストックの3割を占める。国民にとって重要な生活基盤だ。その賃貸住宅の8割強が個人所有で、個人オーナーの8割は何らかの業務を管理会社に委託している。 つまり約900万戸に管理会社が関与していることを考えれば、賃貸住宅市場の発展に管理業界が果たす役割は極めて大きい。今秋にも施行される見込みの賃貸住宅管理業登録制度は、このような認識のもと、スタートすることになった。 説明会の冒頭、あいさつした海堀安喜国交省不動産業課長は「国民生活相談センターに寄せられる賃貸住宅に関する相談件数が増加している。これは、貸し手・借り手の間に全国的な行政ルールがないこと、管理会社とオーナーや借り手との間にも統一的なルールがなく、守っていくことでトラブル防止につながるという、ある種の指針がなかったことなどが起因している」と語った。

名称は「管理業登録制度」だが、実態的には賃貸仲介会社の大半が同制度の対象となる。規模の大小に関係なく一定の要件を満たせば、国交省の備える登録簿に自社の登録を受けることができる。これは、我が国の賃貸住宅業界にとって大きな前進だと思う。登録業者になるための登録規定(手続きや要件)と業務処理準則(守らなければいけない業務上のルール)を見ると、ハードルはそれほど高くない。処理準則は現行でも、多くの事業者が8割方は実践している内容と思われる。 それでも、国交省の関与の下、業界が統一ルールを定めて市場の合理化・透明化に動き出したことは高く評価されるべきだろう。 懸念されるのは、話題を呼んでいる賃貸居住安定化法案(取り立て規制法案)の陰に隠れて制度の周知が行き渡らないとか、煩雑なイメージを持たれやすいことなどから登録件数が伸び悩むことである。同省が予定している説明会は今のところ7大都市のみだが、不動産業課では「(業界団体などから)要請があれば、全国どこへでも行って説明したい」としている。業界としても積極的アプローチをすべきである。 今回の登録制度は任意なので登録をしないことによって、従来からの業務遂行に支障が出るということはない。しかし、制度が施行されると登録業者と非登録業者という色分けが生まれる。事務所内に掲げる登録証や、登録業者マークも用意されることになっている。 業界のもう一つの関心事は、今回の登録制度が将来の賃貸住宅管理業法制定につながっていくのかどうかである。その点について国交省は明言を避けている。実際、同省としても登録制度の普及状況や、その効果(トラブルや訴訟の減少など)を見極めなければ、次の段階に進むべきかどうかの判断は難しいだろう。業界としても、管理業法制定を望む声は少なくないが、登録制度の実施状況を踏まえながら改めて、同法の趣旨や狙いを検討し直す冷静さも必要だ。 賃貸仲介と管理業は、その収益構造が極めて厳しくなりつつある。若年人口の減少、礼金や更新料徴収に対する逆風、賃借人からの手数料減額傾向などが今後強まるからだ。そうした時代に、賃貸仲介・管理業の新たなビジネスモデルをどう構築していけばいいのか。定期借家権制度の本格導入、滞納家賃の円滑な回収制度の創設、仲介報酬規定の改善など、様々な要素を同時施行的に取り入れていく難しい作業を迫られるだろう。その土台づくりとも呼ぶべき機能が賃貸住宅管理業法に求められることになる。

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