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中古住宅を巡る日本と欧米の違い【O-uccino(オウチーノ)】

中古住宅を巡る日本と欧米の比較

昨今では「中古住宅ブーム」と呼ばれるような活況ぶりを呈している日本の不動産市場ですが、実際にはまだまだ新築住宅が大きなシェアを占めています。しかし新築住宅が主流なのは先進国では日本だけ。欧米の住宅事情を見ていくと、今後は日本でも中古住宅が不動産市場のメインとなっていきそうです。

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2014年9月 オウチーノ編集部

日本の中古住宅流通は、欧米と比べて圧倒的に少ない!

国土交通省によれば、2012年の国内での「新築住宅着工戸数」が88.3万戸だったのに対して、中古住宅の供給量を示す「既存住宅流通戸数」の推計値(FRK発表)は50.3万戸であり、全体の住宅供給量のうち中古住宅が占める割合は36.7%に留まる、という結果が出ました。ご存じなかった方にとっては結構衝撃的な数字ではないでしょうか。

この数値は世界的に見ても圧倒的に低いものです。同じ時期の先進各国の既存住宅流通シェアを見てみると、フランスで66.4%、アメリカで77.6%、そしてイギリスでは88.8%という結果が出ています。同じ先進国の中でも、日本だけ中古住宅事情は大きく異なっており、「中古住宅後進国」と言われても仕方のない状況にあると言えます。

日本で中古住宅シェアが低いのは、日本人の「新築信仰」の高さの表れと言えます。国土交通省の『平成25年度住宅市場動向調査』によれば、分譲住宅購入時に「中古住宅にしなかった理由」として最も挙げられたのが「新築の方が気持ち良いから(75%)」というもの。この結果を見る限り、住宅購入者の多くは「そもそも中古に興味がない」ため、検討の段階から中古住宅を念頭に置いていなかった、と言えるかも知れません。

なぜ日本だけ新築住宅が人気なのか

なぜ日本では中古住宅のシェアが低く、そして異常と言ってもいいほど新築住宅に人気が集まるのか。その理由には「住宅に対する意識の差」と「かつての住宅の質の低さ」、そして「中古不動産市場の未成熟さ」などが挙げられるでしょう。

●日本の住宅の寿命が短いのは、住宅に対する意識の差が原因?

少し古いデータですが『平成8年建設白書』によると、日本の住宅の平均寿命は約26年程度という結果が出ています。対してアメリカの住宅平均寿命は44年、イギリスは75年であり、日本と比べてかなりの長寿命となっています。

この違いは日本と欧米との歴史・風土の差、そしてそれらによって培われた住宅に対する民族的意識の差によるものだと思われます。

「木造文化」を築き上げた日本では「住宅はいつか朽ち果てるものだから、適宜建て直すもの」という意識が根強いのに対して、「石造文化」の欧米では「住宅は永続的に残るものだから、使い続けて改良していくもの」と考える人が多いようです。この違いが日本では新築重視、欧米では中古重視の傾向につながっているのでしょう。

住宅への意識の違いは中古住宅の査定にも強く影響しており、例えば日本では築年数が経てば経つほど価値が下がるのに対して、欧米では築年数にあまり重きを置いていません。特にイギリスでは築年数の古いものほど価値が高くなる、といった日本とは全く逆の現象が起こっています。

●戦後日本の「特殊事情」も大きな要因

「かつての住宅の質の低さ」も中古住宅シェアの低さの原因となっています。このことは戦後日本が歩んできた歴史に由来するもので、欧米とは異なる「特殊事情」と言えます。

空襲で焼け野原になった戦後日本は、焼失による直接的被害と海外からの引揚者の大量帰国のため、極度な住宅不足から出発しました。終戦直後の混乱期を抜けた後も、急激な人口増加と経済成長によって慢性的な住宅不足が続き、政策的にも「質より量」が求められました。その時期に建てられた住宅は「量」が求められていたため、高品質とは言いがたい住宅が多く存在しています。

急激な経済成長と欧米文化の流入によってライフスタイルが激変しつづけた戦後日本では、住宅に求められる仕様・間取りも大きく変わり続けました。例えばキッチン周りに関して言えば、戦後直後のバラック住宅では土間・カマドがまだまだ一般的だったものが、公団住宅が大量に建設された昭和30年代からはダイニングキッチンが主流になり、さらに現在ではLDKタイプへと移り変わりました。

この点は、日本ほどライフスタイルが大きく変化していない欧米諸国とは大きく異なる点であり、「古い物件=現在のライフスタイルに合わない」というイメージにつながり、中古住宅への抵抗感となっていると思われます。

●日本の中古不動産市場はまだまだ未成熟

これまで膨大な新築需要があった日本の不動産業界では、中古住宅は脇役的存在として扱われました。また土地に関しては「土地本位制」と揶揄されるほど重視していたにも関わらず、その上に建つ住宅については「25年で上モノの価値はゼロになる」という不動産業界のかつての常識が示すように、資産価値としては重きが置かれず、「古い物件は更地にした方が売れる」という結果を生み出しました。

このため中古住宅の流通量は低調なものになり、査定の方法論や取引制度の発達が遅れるなど、市場としては未成熟なまま現在に至ってしまいました。

対して中古住宅市場が成熟しているアメリカでは、取引の諸制度がしっかりと整備されています。特に不動産の適正価格を客観的に評価する「アプレイザー(物件査定士)」や、建物の状態を調査する「インスペクター(物件調査士)」といった各州の認可・免許を必要とする専門家制度は、日本でも大いに見習うべきものと言えます。

今後、日本も中古住宅がメインになっていく

これまで活発な取引が行われていなかった中古住宅市場ですが、ここ最近では大きく状況は変化。「中古住宅ブーム」と言えるような活況ぶりを呈しています。

なぜこのように大きな変化を遂げたのか。それは、中古住宅市場を取り巻いていた問題の多くが解決されたことはもちろん、政策面での後押しや経済・社会状況の変化なども大きく影響しています。

●構造的・質的な問題は解消された

かつては耐震性や耐久性に問題があった日本家屋ですが、建築技術が進化し、また木造以外にも鉄筋コンクリート造など様々な工法が一般化した現在では、これらの問題はクリアされつつあります。特に耐震性については、度重なる建築基準法の改正や耐震リフォーム工事の普及により大きく向上しています。

今後は3世代に渡って住めるような、より優れた構造を持つ「長期優良住宅」「ロングライフ住宅」が主流になると予想されます。2009年には長期優良住宅の普及を目指した「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行。長期優良住宅取得時の税金優遇・住宅ローン控除が用意されるなど、この流れを後押ししています。

これらの成果で住宅寿命が伸びていけば、過度の「新築信仰」が消え去るとともに、イギリス・アメリカ型の住宅ストック市場が確立されることになるでしょう。

●政策による後押しと、諸制度の充実

人口減少時代に入った現在の日本では、かつてのような住宅不足は払拭されました。そのため政策面でも「量より質」へと転換しました。

その象徴が2006年に制定された「住生活基本法」です。この法律は住宅政策の中心を新築住宅から中古住宅へと変更した戦後以来の画期的な方針転換であり、中古住宅の流通率・耐久年数の向上などが目標に盛り込まれています。「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」も住生活基本法に関連してできたものであり、住生活基本法以降、中古住宅市場を活性化するための法整備が進みつつあります。

また中古住宅市場の成熟化を促すような諸制度も整備されつつあります。そのひとつである、専門家による物件鑑定制度「ホームインスペクション制度」はかつて民主党のマニフェストにも盛り込まれ、現政権においても継続的に議論されています。アメリカのようにインスペクションが普及すれば、中古住宅の査定がより明確になり、中古不動産市場の成熟化につながることでしょう。

今後の展望としては、予定されている消費税増税がどういう内容になるかが焦点になりそうです。現在の消費税はあらゆる商品・サービスに一律の税率が掛かりますが、他の国では生活必需品については非課税であることが一般的です。特にEU諸国では既存住宅の取得には消費税が発生しない、というのが一般的です。日本でも中古住宅取得やリフォームの際には非課税にする、といった議論が起こっても不思議ではありません。

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