中古住宅を購入して、リフォームをしてから入居するスタイルが増えています。特に買い上手ほど「中古購入+リフォーム」を選ぶ傾向に。さて、そのコツとは?
中古購入やリフォームで利用できる優遇制度
「中古購入+リフォーム」では、それぞれの工程で費用がかかりますが、多くの優遇制度も用意されています。あらかじめ優遇制度とその条件を把握していないと、「ちょっとした条件の違いや手続きの遅れで利用できなかった」といった後悔をしかねません。利用できる制度があるのか、どんな条件で利用できるのか、早めに確認するようにしましょう。
中古住宅購入で利用できる優遇制度
中古住宅を購入する際に利用できる優遇制度の代表は、「住宅ローン減税」です。年末のローン残高の1%が10年間にわたり、所得税から控除されます。また、所得税で引ききれない場合は、翌年の住民税から最大9万7500円控除されます。この制度は、2017年まで延長されることが決まっています。
ただし利用するには、いくつか条件があります。購入する中古住宅に関する大きな条件としては、登記簿上の面積が50㎡以上であること、木造住宅など非耐火の建築物は築20年以内、マンションなど耐火建築物は築25年以内であるか、または新耐震基準に適合する建築物であるか、既存住宅売買瑕疵(かし)保険に加入していることなどです。ほかにも、返済期間が10年以上のローンを借りることなどの条件があります。
また、控除の対象となるのは、年末のローン残高の2000万円までです。ただし、今後消費税が8%または10%に上がった場合は、4000万円まで引き上げられます(売り主が免税事業者である個人などの場合は、現行の2000万円までのまま)。いずれの場合も、長期優良住宅や低炭素住宅に認定されている場合は、1000万円が上乗せできます。
なお、自治体の一部では、住宅ローンの利子の一部を補助する制度を設けている場合があります。最近では、購入に関する優遇制度は少なくなっていますが、念のために確認しておくとよいでしょう。
リフォームで利用できる減税制度
購入に比べて、リフォームのほうが利用できる優遇制度が多様です。ここでは、減税制度について紹介していきましょう。一定の「耐震」「省エネ」「バリアフリー」のリフォームを行った場合は、それぞれに減税制度が用意されています。2017年まで利用できる制度で、消費税率が上がった場合には控除額が拡大されます。
まず、リフォームでローンを利用する場合について。一定の省エネやバリアフリーのリフォームをした場合に、ローン残高の一定割合を5年間、所得税から控除できる制度があり、「ローン型減税」と呼ばれています。ただし、「住宅ローン減税」と選択することになります。
次に、ローンを利用しない場合について。一定の耐震、省エネ、バリアフリーのリフォームを行った場合に、工事費用(または標準的な費用とされる額)の10%相当額を、その年の所得税から控除できる制度で、「投資型減税」と呼ばれています。
このほかにも、一定の耐震、省エネ、バリアフリーのリフォームを行った場合は、固定資産税が減額される制度も利用できます(2015年まで)。
※2013年5月30日に、財務省から「所得税法等の一部を改正する法律」の一部改正規定の内容について発表があり、2013年1月1日から2014年3月31日までについては、税制大綱で最大控除額を15万円に引き下げるとしてところ、20万円とすることになりました。なお、2014年4月~2017年12月については、表に掲載したとおりです。
詳しくは、財務省ホームページ
ローン型減税(2014年4月~2017年12月)
最大控除額(5年間) | ||
税率5% | 税率8%または10% | |
省エネ | 60万円 | 62.5万円 |
バリアフリー | 60万円 | 62.5万円 |
投資型減税(2014年4月~2017年12月)
最大控除額(該当年) | ||
税率5% | 税率8%または10% | |
(1)耐震 | 20万円 | 25万円 |
(2)省エネ | 20万円(30万円) | 25万円(35万円) |
(3)バリアフリー※ | 15万円 | 20万円 |
(1)(2)(3)併用 | 40万円(50万円) | 70万円(80万円) |
( )内は太陽光発電を設置する場合
リフォームで利用できる助成制度
減税制度とは別に、工事費用の一部を補助する「助成制度」を利用できる場合があります。例えば、バリアフリーリフォームであれば、介護保険による助成制度があります。また、今年度の予算案に盛り込まれている「住宅・建築物省エネ改修等推進事業」として、省エネリフォーム及び省エネと同時に行うバリアフリーや耐震リフォームについて、工事費用の1/3(耐震は11.5%)を補助する(省エネで50万円、バリアフリーか耐震リフォームも行った場合で75万円が上限)制度が予定されています。
さらに、地方自治体でもそれぞれ助成制度を設けている場合があります。特に、旧耐震基準の住宅の耐震リフォームなどでは、多くの自治体が助成制度を設けているほか、省エネ設備の設置に関する助成制度なども多く用意されています。年度ごとの予算によって、詳細が異なるので、今年度については今から確認をしておくとよいでしょう。
なお、「住宅エコポイント(復興支援)」の受付は、東日本大震災の被災地を除き終了していますが、新たに2013年4月からは、林野庁の「木材利用ポイント」が開始されることになりました。また、住宅のスマート化については、太陽光発電普及拡大センターによる「太陽光発電」導入支援補助金、環境共創イニシアチブによる「定置用リチウムイオン蓄電池」や「HEMS」の導入促進助成などもあります。

<参考サイト>
住宅リフォーム推進協議会:「地方公共団体における住宅リフォームに関する支援制度検索」
林野庁:「木材利用ポイント」
太陽光発電普及拡大センター:「太陽光発電導入支援補助金」
環境共創イニシアチブ:「定置用リチウムイオン蓄電池やHEMSの導入促進助成」
いずれの制度も利用できる条件や申請方法が定められているうえ、併用できない場合もありますので、事前にそれぞれの問い合わせ先やリフォーム事業者などに相談することをお勧めします。
上記の記事は、2013年4月19日現在のものです。掲載情報の著作権は株式会社オウチーノ(以下:弊社)に帰属します。情報内容は保証されるものではありませんので、万一この情報に基づいて被ったいかなる損害についても、弊社および情報提供元は一切の責任を負いません。予めご了承ください。
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