マンションは一定期間ごとの大規模な補修や改修が必要です。快適に住まうために、またマンションの住人すべての共有財産としての価値を保つために、大規模修繕をどのようなタイミングで行えばよいのでしょうか。
大規模修繕・補修工事の適正時期
国土交通省が策定したマンション管理標準指針(※1)には、標準的な分譲マンションの所有者が参考とする修繕周期表が載せられています。(一部抜粋)ご自身がお住まいのマンション築年数と比較して、建物や設備の改修が必要な要件がないかチェックしてみましょう。
No | 工事部位 | 工事内容 | 周期(年) | ||
補修 | 改修 (交換) |
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1 | 屋根防水改修 | 陸屋根防水(塔屋共) | 12 | 24 | |
2 | 外壁等改修 | 一般外部 | 12 | 36 | |
3 | 床防水等改修 | バルコニー | 12 | ||
4 | 鉄部等塗装 | 雨がかり部 | 開放廊下手摺 | 4 | |
バルコニー手摺 | 4 | ||||
その他手摺等 | 4 | ||||
屋外鉄骨階段 | 4 | ||||
非雨がかり部等 | 住戸玄関扉 | 6 | |||
5 | 建具・金物等改修 | 手摺関係 | バルコニー手摺 | 36 | |
屋外鉄骨階段 | 36 | ||||
住戸建具関係 | 住戸玄関扉・アルミサッシ等 | 12 | 36 | ||
その他 | 郵便受・笠木・竪樋等 | 24 | |||
6 | 共用内部等改修 | 共用内部等 | 12 | ||
7 | 給水設備改修 | 給水管 | 築1975年以前★ | 20 | |
築1976〜95年★ | 25 | ||||
築1996年以降★ | 30 | ||||
貯水槽 | 受水槽 | 25 | |||
給水ポンプ | ポンプ | 16 | |||
8 | 排水設備改修 | 排水管(合流式) | 築1995年以前★ | 20 | |
築1996年以降 | 30 | ||||
9 | ガス設備改修 | 埋設部亜鉛メッキ鋼管の交換★ | 20 | ||
埋設部ポリエチレン管・同等管 | 30 | ||||
10 | 空調・換気設備等改修 | 共用室等設備 | 15 | ||
11 | 電気設備等改修 | 電灯設備(共用灯・外灯) | 15 | ||
幹線(容量アップ) | 30 | ||||
自家発電設備 | 30 | ||||
12 | 情報・通信設備改修 | 電話設備 | 30 | ||
オートロック設備等 | 15 | ||||
13 | 消防設備改修 | 自動火災報知設備 | 20 | ||
屋内消火栓設備 | 25 | ||||
14 | 昇降機設備改修 | カゴ内装・扉枠塗装 | 15 | ||
本体交換 | 30 | ||||
15 | 立体駐車場設備改修 | 2・3段プレハブ自走式 | 10 | 30 | |
機械式 | 5 | 2 | |||
16 | 外構・付属施設改修 | 敷地外構施設 | 24 |
★印は、1回目と2回目以降の修繕周期が異なるものを示しています。
日常的なメンテナンスで建物の寿命を延ばす
マンションを健全に管理する最もよい方法とは、信頼出来る管理会社とのコミュニケーションを密に図ることでしょう。管理会社とは、「建物」という「体」を不具合無く維持するために、建物の健康を管理してくれる会社です。しかし管理会社に管理を一任すれば、健全なマンションが維持できるというわけではありません。管理組合と管理会社は、日頃から相互の情報共有や大規模修繕工事について話し合う機会を設けておくことが重要です。管理会社は、マンション住民からの声をこまめに汲み上げることで、問題箇所を早期に発見し、事態が悪化することを防げます。このように日常的なメンテナンスが、結果的に大規模修繕工事費用を抑えることにつながります。
マンションの管理組合が管理会社とのコミュニケーションを図るというソフト面の充実が、建物というハードの寿命を延ばすポイントといえます。