電力自由化に学ぶ「オール電化リフォーム」
いよいよスタートする電力自由化。一般家庭への電気の小売が自由化されたことで、様々な会社が電力事業者として新規に参入。消費者に対しより安く(あるいはお得に)電気を提供できるよう各社プランにしのぎを削っています。電気代が安くなればオール電化へのリフォームにも注目を集めるはずです。電力自由化をきっかけにオール電化リフォームについて考えてみましょう。
電量自由化でオール電化向けの料金プランが激変
これまでオール電化にすることでメリットを得られる条件には、料金が安い「夜間電力」を利用していることが上げられました。電力自由化ではこの部分に明らかな変更が見られます。例えば東京電力では電力自由化後に料金プランの見直しが行われますが、これまでの「夜得プラン」が夜間時間帯12.48円(1kWh)だったのに対し、新しい「スマートライフプラン」では17.46円(1kWh)と大幅に上昇しています。一方で昼間時間帯での料金は「夜得プラン」が使用量に応じて1kWhあたり24.03円・32.03円・37.00円となっているのに対し、「スマートライフプラン」は一律25.33円(1kWh)です。こうしてみると、これまで日中の電気利用量が多くオール電化にするメリットがあまり見出せなかった家庭でも、電力自由化をきっかけにオール電化を検討する余地が生まれたといえるでしょう。
電力自由化後のプランでは昼夜の電気料金の差が縮小されている。
変わるのはキッチンと給湯器。マンションではできないことも
電力自由化で電気料金が安くなるかどうかは、簡単にシミュレーションできるWebサイトがありますので、いくつかご紹介します。
では、具体的にオール電化にリフォームとはどういう工事をすることなのかを確認してみましょう。工事は大きくふたつあります。ひとつめはキッチンをガスコンロからIHコンロに変えること。ふたつめはガス(または石油)給湯器をエコキュートに変えることです。どちらの場合も、マンションで行うには様々な問題があります。細かな検討をする前に、お住まいのマンションでオール電化へリフォーム可能かどうかを確認しましょう。いきなりリフォーム会社ではなく、マンションの管理会社や電力会社に問い合わせてみてもいいでしょう。
オール電化リフォームの工事内容と費用シミュレーション
それでは実際の工事内容について、話を進めていきましょう。キッチンのガスコンロをIHコンロに交換する工事ですが、ビルトインタイプでは簡単に交換できるのかが気になる点だと思います。これはよほど古い型のものでなければ、同サイズの商品で交換は行えると考えて大丈夫です。キッチンすべてを取り替えるような必要はありません。工事内で問題となるのはIH用の電源確保をどうするかです。キッチンから専用の電源が確保できる場合、近くの電源をIH用の200Vに改良する場合、新規に分電盤から引き込みを行なう場合が考えられます。ビルトインタイプの3口コンロをIHに交換する費用は以下に記したものが目安となります。IHコンロの本体価格・設置費用・既存廃棄費用・配線工事(電気工事)などが主な項目です。 続いて、給湯器の交換です。エコキュートへの交換ではまずその設置場所が確保できるかどうかが、事前に確認しておかなければならない点です。エコキュートは低周波音が問題となって裁判に至るケースも過去にあるなど、人によってはその音が大変気になるようです。できるだけ寝室からは離れた場所に設置することを検討しましょう。また、タンクの容量も予め検討が必要な項目です。通常の家庭では370Lか460Lのものが選ばれます。工事そのものは設置のための基礎工事と商品設置・配管工事などで概ね2日間はかかるものと考えておきましょう。
上記費用は目安です。建物の状況などによって金額は変動します。
オール電化リフォームのここに注意!
オール電化へのリフォームは案件数も少なくないので、経験のあるリフォーム会社であればそつなく対応できる工事です。リフォームを依頼する側として予め理解しておきたいのは、建物の状況により工事内容に変化がある点です。キッチンでは先に触れた電気の確保についての工事がどの程度になるかが上げられます。エコキュート交換にあたっては既存の配管が劣化していた場合、あわせて交換することを、リフォーム会社から提案されることも考えられます。その場合は配管の状態をきちんと自分の目で確認してからどうするか判断するようにしましょう。また、オール電化リフォームとは直接の関係はありませんが、電力自由化による省エネ効果・節電を目的とするのであれば、各種電化製品は省エネ仕様のものを使うように心がけましょう。特にエアコンは省エネタイプのものをうまく利用することで、消費電力を削減でき、節電効果が高くなります
取材協力
おしゃれ環境建設株式会社
株式会社Cornus