マンションを良好な状態に維持するために、管理と並んで重要なのが長期にわたる修繕計画です。大まかな修繕箇所と時期を長期修繕計画によって予め決定し、適切な額の修繕積立金を住民から集める必要があります。
修繕積立金とは
マンション管理組合は、建設当初に算定された長期修繕計画を実行するために、管理費とは別に将来想定される建物の修繕費を別会計で積み立てます。この修繕積立金は、マンション規模が大きい場合や共通で使用出来る施設の有無などによって違います。また地価の高い場合はその地価に比例して高くなります。修繕積立金は、長期修繕計画に基づく一定期間経過後の修繕費に充てられますが、修繕工事費ばかりでなく、事前調査費、修繕箇所の設計費、工事進捗の監理費や調査後の長期修繕計画の改定コンサルタント費用なども含むことになります。したがって管理組合は想定よりも余裕を持った修繕積立金の準備をするための準備をしておく必要があります。主な修繕積立金のあり方として、3つの方式を紹介します。
1)均等積立方式
長期修繕計画に基づいて計算された材料や工賃、管理会社へ支払うコンサルタント料などの総額を月数で割り戻した金額を修繕積立金として毎月積み立てる方式です。均等割であるためマンション所有者の負担も計画的に行なえます。
2)段階増額方式
総額の算出方法は、均等積立方式と同じですが、マンション所有者の初期の負担額を軽くするため、一定期間ごとに段階的な増額を行い、最終的には必要な総額と一致する金額まで積み立てる方式です。増額の割合や時期については管理規約などに付記しておくことになります。
3)一時金徴収方式
当初の管理規約に定められた積立金総額では、長期修繕計画に必要とされる金額より少ないことが明らかになっている場合、大規模修繕時に一時金として徴収することを予め定める方式です。
長期修繕計画の重要性
一般的にマンションの所有者とは、マンションの一部区分の所有者であり、所有者は、全員でマンション管理のための団体である管理組合を結成しなければなりません。建物や設備の保全を組合員=所有者が共同で維持し、国が示した将来的に修繕が必要なガイドラインに基づき、管理組合と理事会によっていつまでも安心で安全に暮らせるマンションにすることが大切です。もしマンションの購入を検討しているのであれば、新築・中古のマンションに関わらず、管理組合の作成した長期修繕計画の内容や管理組合の決算書がある場合には、見せてもらって説明を受けることもマンション選定の大切なポイントといえます。一方マンションの所有者にとっては、具体的な修繕計画の周期や実施された内容、どこが修繕されたか、今後されるのか、修繕工事の業者選定の方法について知っておくことは、マンションという資産価値を維持する上で大変重要なポイントといえます。