マンションの大規模修繕工事を行う場合、管理組合の下に修繕委員会という小委員会をつくるのが一般的です。マンションの資産価値を守るために、積み立てた予算の使い方を左右する修繕委員会と管理組合の役割について紹介します。
管理組合の重要性
マンションを購入すると、通常購入者は自動的にマンションの管理組合に入ることになり、管理費や大規模修繕のための積立金を管理組合に月々支払います。建物自体が共同の所有物で、資産価値を維持していくためにひとりの区分所有者として、また管理組合員としてマンションの保全に関わらなければならない点が、賃貸マンションの場合と大きく違います。例えば屋根に水漏れが見つかった場合、それはその真下の区分所有者の問題でなく、マンション全体の問題として考えなければなりません。放置したままでいれば、漏水の拡大や腐食によって「雨漏りするマンション」は結局、全体の価値を下げ、結果的に自分の財産価値が下がるという事につながりかねません。そのため、マンションの所有者は、最低でも管理組合の規約や細則について知っておくほうがよいでしょう。特にマンションの所有者全員の意思決定が必要な大規模修繕は、管理組合や理事会、修繕委員会が正常に機能していなければ、信頼できる設計事務所や管理会社の選定、大規模修繕工事が不正なく行われたかを確認するための業務監査などを滞りなく進めることが難しくなります。
修繕委員会と理事会の役割
マンションの管理組合には、最終決定を行う総会、その下に組合員から選ばれた管理組合の役員からなる理事会があります。理事会は、事業計画に基づいて組合運営を行うための執行機関です。概ね役員の任期は2年で組合員が持ち回りで職務を引き受けます。しかし大規模修繕工事などの場合は、設計事務所や管理会社選定から工事完了まで3〜5年程度の期間が見込まれますので、理事会とは別に独立した修繕委員会を置く場合が一般的です。工事期間が短ければ役員が兼任という場合も考えられますが、任期切れで引き継ぎが必要になる場合も考えられるため、修繕専門のプロジェクトチームが必要となります。組合員の総意を形作るという役割を担う修繕委員会は大変重要で、外壁塗装を例にとってみれば、業者の選定方法、見積り金額と予算の調整から始まり、下塗り本塗りの実施時期や塗料の種類、塗る塗料の厚み、最終的な工事完了の確認や検査などいずれも大切です。工事期間が長期となれば、ベランダで干せない洗濯物の干し場所確保やプライバシー保護の問題にも気を配る必要があります。