建築家・古後信二さんのブログ「建築家はMC」

建築家はMC

2013/07/12 更新

吉本のお笑い芸人のフット後藤のMC能力はずばぬけている。
どんなややこしい状況においても、見事に裁いてまとめあげる力がある。
最後にはどや顔で根こそぎ笑いをもっていく姿は、爽快感すら感じる。
そして、誰も傷つけない。すばらしいものだ。

このMCという立ち位置、共感を覚える部分が多い。

たとえば、現場での打ち合わせの場合など、痛感する。
クライアントはもちろん、施工会社の現場監督、そして専門工事会社、一堂に会して打ち合わせをする時など、顕著になる。

事前にいろいろと打ち合わせを行っているものの、現場においては、いろんな話が噴出する。

クライアントにしてみれば、完成間際になれば、引越しの段取とか、家具の搬出入やらが気になる。
施工会社にしてみれば、完成までの秒読みがはじまっているので、段取で頭が一杯だ。
専門工事会社にしてみれば、のこりの工程で自分の仕事を完了させるために、必死。
だから、現場打ち合わせにおいては、話しが右往左往する。

ここでMCたる建築家登場。
さあ、きょうは、こういったテーマでトークしていきましょう、と始まる。

さて、まずは、このテーマ。
皆の意識をひとつの議題に集中させる。

まずは、建築家としての意図をざっくりと説明したうえで、こういった方向性で行こうとしていますよ、という事を伝える。
クライアントに確認し、その方向性を了解してもらう。
さて、これに対して、施工者側からどうでしょうか、とふる。
現場監督は全体の工程が見えているので、その工程を死守する前提で実現可能な検証をしながらの発言となる。
その発言に対して、専門工事会社の担当からは、そうなったときに、自分の仕事を遂行する上での問題点を発言する。
そこで、ごちゃっとなる。
ごちゃっとなっている状況をひもとき、一つづつ、問題を解きほぐしていく。
そして、再度、クライアントに確認。
いや、それだと困るとなった場合、じゃあどうするか。再びフリートーク。
そして、全員の表情が輝く方向性が見えてくる。
よし、決定。

そうやって、いくつもの議題をクリアしていく。

理想をいえば、図面段階ですべてが解決しているべき話だが、15年やってきて、感じる事は、そのつどメンバーが違うし、職人さんが現場に入ってからはじめて難易度が判明したりする事のほうが多い。
いま出てくる話かよ、というツッコミをしたくなる所だが、なんとかしないと進んでいかないのだ。
クライアントも、やっぱりこうしたい、という部分もある。こまかな変更も多々ある。

そんな混雑する現場をまとめていかねばならない。
そして、どういう方向に向かっても、きっちりとデザイン上破綻のない方向に誘導していかねばならない。
芸人でいえば、最後に根こそぎ笑いを取る。そういった力量が求められるのだ。

いつもの固定メンバーであれば、あうんの呼吸で進めて行けるのだが、毎回、登場人物が違う。
フリートークでアドリブでむちゃぶりを処理していかねばならないのだ。

年数を重ねていくにつれて、わたしのMCぶりも安定してきたと思う。

建築家は現場に来て、気にいらないから壊せ、といったとかいわないとかの都市伝説がある。
もし、そういう建築家がいるとすれば、私は真逆のタイプかもしれない。
ときおり、建築家のこだわりは、エゴになるケースもある。建築家以外は誰も喜ばない。
そういった姿勢も必要だと思うが、限度もある。

MCとしての建築家。そんな事を考える今日この頃だ。

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