建築家だからここまでできた!
1970年代にハウスメーカーの提案から誕生したと言われる二世帯住宅。その後、人々のライフスタイルは急速な変化を遂げ、現在では2.5世帯や3世帯、さらには4世帯住宅まで登場しています。多様化する多世帯住宅に対応するには、やはり建築家のデザイン力が不可欠。今回は、建築家とつくる二世帯住宅の魅力について、その種類やメリットを交えながらご紹介しましょう。
こんなにある!2世帯住宅のメリット
また、親世帯と子世帯の共同出資により、予算が増える点もメリットの1つ。最近では都市部の狭小地に建つ多世帯住宅も決して珍しくありませんが、それでも広めの家に住みたい場合は、資金を出し合って余裕のある土地選びをするという選択肢もあります。
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家族の存在をさりげなく感じる「内部共有型」の二世帯住宅
2世帯住宅の設計で最大のポイントとなるのは、各世帯間のプライバシーをどのように確保するか、という点。「いくら家族とはいえ、最低限のプライバシーは確保したい」という人は多いことでしょう。そんな人にピッタリなのが、「内部共有型」の二世帯住宅。リビングなどを広めにとり、両世帯共有の団らんスペースにしたうえで、寝室や個室は別々に設ける、といったスタイルが基本になります。
そこで重要になるのが、互いの存在をほどよい距離感で感じられるような仕掛け。建築家の二世帯住宅では、壁で完全に区分するのではなく、中庭で緩やかに仕切ったり、スリットを設けて気配だけが感じられるようにしたりといった工夫を凝らすことも。人それぞれ異なる家族との距離感を、建築家がうまく汲み取ってくれるでしょう。 -
プライバシーを重視した「完全分離型」の二世帯住宅
同じ敷地内の同じ建物に暮らしながらも、玄関からリビング・水廻りなどのスペースを個別に設けるスタイルが「完全分離型」の二世帯住宅です。階段の昇降が不要な1階を親世帯、外階段でアクセスする2階を子世帯に、というシンプルな区画方法が一般的なパターンです。以前はこのタイプの二世帯住宅は相続時に不利になるという難点がありましたが、法改正により、現在ではその制約もなくなりました。また、それぞれの生活スペースがきっちりと分離された完全分離型なら、将来、親世帯のスペースを賃貸物件として貸し出すことも可能となります。
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家族みんなの要望を叶える、建築家の二世帯住宅
以上、二世帯住宅の主なパターンをご紹介しましたが、実際に二世帯住宅を建てる際に重要になるのは、親世帯・子世帯の異なる要望をどのようにまとめ、実現していくのかという点です。
二世帯分の要望を聞きながら、バランスよく臨機応変に対応ができるのは、やっぱり住宅のプロである建築家。例えば、和風のデザインを好む親世帯と、モダンなデザインを好む子世帯の意見が衝突した場合でも、建築家なら両世帯が満足できる空間をつくることができるのです。
どちらかが一方的にガマンを強いられるような家ではなく、家族みんなの要望を盛り込んだ、末永く快適に暮らせる二世帯住宅を建築家とともにつくってみてはいかがでしょうか。
建築家による二世帯住宅事例
建築家がさまざまな工夫を凝らしデザインをした、こだわりの二世帯住宅をラインナップしてお届けします。
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北側テラスのある二世帯住宅
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GAPs/稲沢 国府宮の家
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
二世帯住宅設計のポイント
「親・子・孫」合計7人の三世代が一つ屋根の下に暮らす二世帯住宅です。1階が親世帯、2、3階が子世帯とし、建築は矩形のボリュームに三層の中庭が挿入されたシンプルな構成。収納の多さが興味の対象の親世帯と、洗練された生活空間が興味の対象の子世帯。この両極端に位置する要望のGAP(間隔)をGAPで一つに内包した建築です。
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BA.house
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
二世帯住宅設計のポイント
建て主の趣味の空間であるガレージによって二世帯分のつかずはなれずの居場所が確保された作品事例。二世帯に必要な柔らかく分節された部分と閉じた部分を趣味のガレージによって成立させることを目指した。1階はガラスで囲まれたガレージを中心に配置することで、リビングとダイニング・キッチンを柔らかく分節しつつ、視覚的に連続する一体的な空間とし、ガレージが緩衝空間となり、互いの距離感を保つ機能を担っているため、リビングとダイニング・キッチンをそれぞれの世帯が使い分けることも出来、居場所を確保し易い空間となっている。2階はガレージの吹抜けを中心に各寝室、水廻りといった閉じた空間を左右に振り分け、吹抜けを介して1階の開かれた空間と視線的に連続させている。
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ワークスペースのある二世帯住宅
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
二世帯住宅設計のポイント
二世帯住宅を設計するときには、長期的な視野を持って、家族構成やライフスタイルの変化などに対応できる住宅を考えます。10年後、20年後に家族それぞれがどのような生活をしているかは、現時点ではなかなか予測がつかないものです。現在の生活が快適になる住宅としながらも、作り込みすぎず、可変性のある構成にしておくことも重要と考えます。
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立体庭の家
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
二世帯住宅設計のポイント
2階の立体庭を介して、1階・3階の世帯ごとの生活空間を分けています。庭の周りは斜めの柱を現しています。庭を立体的に設けることで、街並みに対しての開きや上下2世帯それぞれに対して開くことを考えました。
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大津の家
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U邸二世帯住宅
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中野本町の2世帯住宅
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
二世帯住宅設計のポイント
上下階で完全に分離された二世帯住宅。親世帯は庭とのつながりを大切にした和のテイストを持つ空間、子世帯は北欧家具の似合う明るく開放的な空間です。上下階で完全に分離された二世帯住宅ですが、全く間取りの異なる2つの住宅を上下に重ね合わせるのには工夫が必要でしたが、それぞれに妥協することなく個別の住宅としても満足度の高いものとなりました。
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彦根の家
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
二世帯住宅設計のポイント
親世帯は平屋とし、中庭を中心に各諸室が円形に配置され回遊性のある平面計画としています。LDKは天井を高くして化粧梁を見せ、全体的に木質系の仕上げとしています。子世帯とは違う空間の性質を与えています。子世帯は2階建てとし、中庭を中心にU字型の平面計画としています。天井はフラット、床はタイル仕上げとしてクールで硬質な仕上げとしています。両世帯とも中庭を活用する事で採光や通風を促し、良好な生活環境を生み出すよう工夫しています。
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梅園の家
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鶴見の家
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
二世帯住宅設計のポイント
テレビ東京「完成!ドリームハウス」出演事例。有効宅地を広くするための擁壁の造り替え、車庫の鉄骨架台、中庭や目隠しスクリーン等、様々な工夫をすることで崖下の悪条件を克服して、明るくて開放感のある住まいに。
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S邸・N邸二世帯住宅
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ミドリノイエ −屋上に庭のある家−
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
二世帯住宅設計のポイント
前面道路沿いにつづく緑道の樹々やシンボルツリー、隣接する神社の大きな御神木など、樹々の緑に囲まれた二世帯住宅です。屋根の一部は緑化し、依頼主が望む土いじりのスペースを備えた天然芝の屋上庭園としています。屋上緑化は夏の遮熱対策としても非常に有効です。
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The Hill Length(店舗部)
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
二世帯住宅設計のポイント
代々続く酒屋の店舗併用住宅で、住宅部分を2世帯仕様に。基本的には、水まわりは共用とするが、2階の子世帯にはトイレ、洗面コーナーとセカンドリビングを設けある程度の独立性を保持。1階の階段スペースを使ったリビングは吹抜けとし、1階の親世帯と2階の子供世帯を繋ぐオープンなエリアにした。明るく開放的なため、雨の日でも明るさを確保でき、2世帯が団欒する為のゆったりしたスペースに。
住宅エリアは南側に大開口を取り、吹抜とする事で、安定した光を取り込む事ができました。
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関町の2世帯住宅
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
二世帯住宅設計のポイント
完全分離型の分棟型の二世帯住宅。親世帯と子世帯、お互いの床レベルは半層ずれているため視線が交わることはないが、庭木越しに光がこぼれ、リビングの雰囲気を伝える。親世帯の廊下とそれに沿って二棟に挟まれた中庭は、子世帯の屋内からはほとんど見えることはないが、樹木や壁に映る照明やブラインドの影で人の動きのあることがわかる。
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堺の家
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
二世帯住宅設計のポイント
航空機マニアの夫婦と子供1人、その祖父が住まう水廻りを共有した二世帯住宅です。それぞれの世帯の距離感や動線、将来的な介護を視野に入れたプランニングとなっています。子世帯と親世帯の中間に共有する水廻りをレイアウトし、メイン動線を分けて想定する事でそれぞれの世帯間に良好な距離が保てるよう配慮しています。外観上のアクセントになっているハイサイドライトは北面し、南面する中庭の開口部と対照的に柔らかな光を室内に取りこんでいます。
1階に両親、2階に若夫婦が住む二世帯住宅としての建替え。日当りと眺望の良い南側に大開口を設けた居間を配置し、2階北側に広めのテラスを設置。ゾーニングとして建物を北側と南側の空間に分け、その境界に光のレイヤーとしてリニアなトップライトを設けた。更に道路に面した北側を2分割し、西側は1階では駐車場、2階ではテラスとしてボリュームから凹ませたが、2階の垂れ壁を大きく取ることでハコ感を強調しつつ、北側の池への眺望を活かした。