理想の家づくりを行うためにも、土地選びはとても大切です。
しかし購入した後、思わぬ制限のために希望の間取りを実現出来ず後悔したという話も…。
失敗しないためにも、購入前から家づくりのプロである建築家に相談しましょう。
土地の販売形態とメリット・デメリット
建築条件付き土地
土地のみ
価格総額が決まっている建売住宅と違い、土地を購入して家を建てる場合は立地など、重視する部分により多くお金をかけ、不要な部分の金額は低く設定するというように、自分で予算配分をコントロールできます。建築条件付き土地でも参考の建物プランを変更することで価格を抑えられる場合があり、メリハリをつけることによって完成時の満足度は高くなります。
一方で、「安く購入出来たと喜んだら地盤が弱く補強工事が必要になり追加費用が発生した」、「変形した土地だったため特別な設計が必要になり建築コストが増えてしまった」、「法規制により希望どおりの建物が建てられなかった」、ということも。
知らないと損する建物のプランにかかわる法規制
気になる土地を見つけた時の最終判断の材料として、購入前に建築家に相談することはとても大切です。建築家はその土地にどれくらいのボリュームの建物が建てられるか、希望のプラン・理想の家づくりを行うためにはどのような土地が良いのか、確認することができるからです。購入前に確認するべき法規制はたくさんありますが、まずは以下の4つのポイントをおさえておきましょう。
「建ぺい率」と「容積率」をチェック
建ぺい率
…敷地面積に対する建築面積の割合。建築面積とは建物を真上から見下ろし、壁や柱の中心線で囲まれた部分のことです。2階が1階より飛び出しているような建物の場合、2階の飛び出している部分も建築面積に含まれます。
容積率
…敷地面積に対する延床面積(各階の床面積の合計)の割合。地域ごとに許容限度が決められており、建物のボリュームが決まります。
例えば敷地面積50坪の土地で建ぺい率が50%、容積率が100%の場合、
建物の床面積は最大25坪まで、各階の床面積の合計は全部で50坪までとなるどす?
「建ぺい率」と「容積率」によって日照時間や災害時の避難地域の確保など、
街の住環境を維持してるのだ!
「道路斜線制限」と「北側斜線制限」をチェック
北側斜線制限
…北側隣地境界線から5m(用途地域によって異なります)立ち上げたところから伸びる一定角度の斜線内に建物を収めなければならないというものです。
道路斜線制限
…前面道路の反対側の境界線から引いた斜線内に収めなければならないというものです。
※用途地域によって異なり、図は第一種・第二種低層住居専用地域の高さ制限と北側斜線制限の例。
2m接道義務とセットバックをチェック
2m接道義務
…幅4m以上の道路に2m以上接していないと家は建てられず、道幅が4mに満たない場合は道路の中心線から2m後退したところまで道路とみなされます。(セットバック)
道路とみなされたセットバック部分は家を建てられず、塀もつくることができません。
現在古屋が建っていたとしても、道路と2m以上接していない土地は「再建築不可」となり、古屋を取り壊すと、その土地に建物が建てられなくなる場合もあります。
地盤や土地の境界、インフラ・土地の現状も要チェック
現在コンクリート造や地下構造物などがある建物が建っている場合、その建物を解体するのに数百万円の解体費用が必要になることも!
インフラ整備や地盤補強などで別途、費用が発生する場合があるので、“誰が費用を負担するのか”まで事前に確認することが必要どす~
地盤の確認
…建物が建つ地盤の強度がどれくらいかを把握することはとても重要です。本格的な調査には費用がかかる場合が多いですが、自治体や近隣住民に確認して、その土地が以前なにに使われていたのかを確認するだけでも、地盤について知ることができます。
例えば畑や埋立地など軟弱な地盤の場合は、建物が傾いたり沈下しないように地盤改良工事が必要になることがあり、建物とは別に費用が発生する可能性があります。
全国の地盤の「ゆれやすさ」を確認できるiPhoneアプリ「耐震コロコロ。」は無料でダウンロード可能なので、土地探しの際は活用しましょう。
土地の境界
…隣家との土地の境界が確定しているのかを確認し、境界があいまいな場合は測量図とともに自治体の都市計画課、近隣住民立ち会いのもと、確認作業を行う必要があります。
インフラ・土地の現状チェック
…古屋が建っている場合は解体するのは誰なのか、「更地渡し」にしてもらえないか確認する必要があります。また更地の場合、ガス・水道管がどのような状態になっているのか確認し、引きこまれていない場合は別途工事費が必要になることもあるので注意しましょう。
土地の正面など玄関になるべき場所に電柱が建っている場合は、電力会社に相談し移動、もしくは撤去してもらう必要があります。その際、持ち出しの経費はかからない場合が多いですが、事前に経費がかからないか確認する必要があります。
まとめ
その他にも、都市計画道路にかかっていないか、用途地域がどの区分になっているかなど、事前に確認することはたくさんあり、専門知識や最新の情報を常に掴んでいる建築家に早い段階から相談することが失敗しない土地探しの第一歩です。
さらに家づくりの専門家である建築家は、法的な条件だけではなく、周辺地域や環境などの条件を含めて「この土地に家を建てるべきなのか」を見極めることができ、経験豊富な建築家だから判断できるもの。問題点が多く見えた土地でも、建築家の知識や技術・工夫によって解決できるのかを考え、「最終的な住空間」までトータルに見た時の土地のメリットをアドバイスできるのです。
理想の家づくりのためには、土地探しの段階から注文住宅づくりのプロである建築家に相談することをおすすめします。