建築家・浪瀬朝夫さんのブログ「「家づくりのヒント」第九回」

「家づくりのヒント」第九回

2014/01/26 更新

少しお休みをいただきましたが、第二章「家」 2.「窓、開口部」から引き続きお送りします。

2. 窓、開口部

○ 窓と風景

 展覧会で風景画を鑑賞する際、どのような視点で鑑賞されるでしょうか。
私の場合、十八世紀のヨーロッパの風景画であれ、近代の日本の風景画であれ、頭の中で額縁をいったん外し自分がその画家になって、その風景の前に実際に立っているといった感じで鑑賞します。すると過去の風景にも関わらず、自分がその時代に存在してその風景を目の当たりにし、よい感じを持った場合には、画家のその時の気分などあれこれ想像したりするのです。目の前の風景画はその時、一瞬生き生きとして私の中に入ってくるような気がします。

 住宅の窓は、換気や採光といった生活するのに必要な物理的なものを提供してくれるとともに、外部の風景を見せてくれます。窓は室内においては外部の風景を切り取って、まるで額縁の絵の様に室内に豊かさを与えてくれます。部屋の大きさや家具の配置に合わせて効果的に窓を設置すれば、見る位置によって青空が見えたり、遠くの風景を獲得することができます。「ピクチャーウィンドー」とはこのような効果的な窓・開口部を指して言います。開口部がそれぞれの部屋にデザインされたなら、それぞれの部屋が異なった風景を得、ひとつの家の内部に、様々な風景が展開することになるのです。

 又、窓は外部の光を室内に導きます。南に設置すれば一日の光を、朝のさわやかな光から、夕暮れの穏やかな光までを楽しむことができます。西日を嫌う人もその開口部の大きさや形状、位置に配慮すれば、美しい光の演技を見ることができるのです。このようにして、外部の風景や光を自然のオブジェとして室内に取り入れることは、家具を効果的に選択し、配置することと同じくらい重要であるとも言えるのです。敷地の環境にもよりますが、その場所の風景やそこからでしか得られない自然光を積極的に取り入れることは又、その敷地の固有性を積極的に吸収していることと同じ意味になるのです。

次回は開口部のもう一つの特徴 広がりの獲得についてお話します。

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