建築家・ナイトウタカシさんのブログ「第二の新婚生活は、間取りから始まる」
第二の新婚生活は、間取りから始まる
2025/09/21 更新
■ 子どもが巣立った後に訪れる“静かな変化”
子どもが独立していった後、夫婦ふたりで暮らす家は、どこか広すぎるように感じられるものです。
2階の部屋は物置きになり、和室は使われないまま。掃除や光熱費は変わらないのに、実際に使っているのは家の一部だけ…。
そんなとき、「このままでいいのだろうか」と思ったことはありませんか?
実は、この“巣立ち後の静けさ”は、暮らしを見直す絶好のチャンス。夫婦ふたりの新しい生活を描き直すタイミングでもあるのです。
■ 間取りを変えることは、暮らしを変えること
家を見直すとき、多くの方が設備や外装を思い浮かべます。
もちろん大切ですが、本当に暮らしを変えるのは「間取り」です。
たとえば、
キッチンとリビングを一体化して、料理をしながら会話を楽しめる空間にする
使わない部屋をなくして動線を短くし、掃除や家事の負担を軽減する
趣味や在宅ワークに使える小さなスペースを確保する
子どもや孫が帰省したときに泊まれる“ゲストルーム”を整える
間取りを暮らし方に合わせて最適化すれば、家は「ただ住む場所」から「夫婦ふたりの時間を楽しむ場所」へと変わります。
■ 将来を見据えた安心設計
50代・60代でのリフォームやリノベーションには、将来を意識した工夫も欠かせません。
段差を減らして転倒リスクを抑える
トイレや浴室を広く取り、介助やバリアフリーに備える
高断熱化で冬の寒さや光熱費を抑える
今のうちに整えておけば、10年先、20年先も安心して暮らすことができます。
「まだ大丈夫」と思っているうちに準備するからこそ、いざというときに慌てずに済むのです。
■ 設計士と描く“第二の新婚生活”
大手のリフォーム会社や工務店では、どうしても画一的なプランになりがちです。
しかし夫婦ふたりの暮らしを豊かにするには、「ライフスタイルに合わせた間取り」が必要です。
設計士との対話を重ねながら、価値観や趣味、これからの暮らしを丁寧に形にしていく――。
そこから生まれる空間は、まさに“第二の新婚生活”を楽しむための舞台となります。
■ まとめ:暮らし直しは間取りから
子どもが巣立った後の家は、ただ広くなったわけではなく、「これからを描き直すための余白」が生まれたのだと考えてみてください。
夫婦ふたりの時間をどう過ごしたいか。
どんな空間なら心地よく暮らせるか。
その答えを見つける第一歩は、間取りを見直すことです。
第二の新婚生活は、家の中の小さな変化から始まります。
そしてその変化が、これからの人生を大きく豊かにしてくれるはずです。